おやしお型

おやしお型

海自潜水艦隊の多勢を占める。

通常動力型(ディーゼル)としては世界最大級

※文頭写真:日米合同訓練のため米国ハワイのパール・ハーバーに寄港する「おやしお」(SS-590)。平成18年(2006年)1月30日。写真:US Navy

概要

「おやしお型」は日本の海上自衛隊が配備する国産潜水艦です。平成6年(1994年)〜平成20年(2008年)にかけて11隻が建造され、平成10年(1998年)から就役が始まり現在も就役中です。

今のところ日本は原子力潜水艦を配備せず、「おやしお型」もディーゼル・エレクトリック方式の通常動力型。全長82m、全幅8.9m、基準排水量2,750トン/水中排水量3,500トンであり、通常動力型としては世界最大級の大型艦です。建造費用は約420億円。建造は三菱重工神戸造船所と川崎造船神戸工場の神戸にある二つの造船所がほぼ交互に行いました。

「いそしお」(SS-594)。写真:海上自衛隊
「いそしお」(SS-594)。写真:海上自衛隊

ちなみに、海上自衛隊の潜水艦は「ゆうしお型」(基準2,200トン/水中2,900トン)、「はるしお型」(同2,450トン/3,200トン)、「おやしお型」(同2,750トン/3,500トン)、そして最新の「そうりゅう型」(同2,900トン/4,200トン)と大型化してきました。

11隻中、最初に造られた1番艦の「おやしお」(SS-590、TSS-3608)は平成27年(2015年)に練習艦に転籍し、それ以外の10隻は戦闘部隊の主力艦として配備されています。

「まきしお」(SS-593)。写真:海上自衛隊
「まきしお」(SS-593)。写真:海上自衛隊

最大の特徴は水中探知能力の向上。
前級「はるしお型」では艦首にバウ・ソナー、艦尾部に曳航式のTASS(曳航式ソナー)が装備されていましたが、「おやしお型」ではこれに加えて、船体側面にフランク・アレイ・ソナーが追加され、3つのソナーを統合したZQQ-6ソナーを搭載することにより、飛躍的な聴音能力向上が成されています。

次に、船体構造の変化とステルス性向上。
海自の潜水艦は、昭和46年(1971年)に就役した「うずしお型」以来、「ゆうしお型」、「はるしお型」と涙滴型と呼ばれる滴り落ちる涙のような流線型の形を踏襲してきましたが、本級「おやしお型」では葉巻型となり、かつ、構造も内外穀からなる復穀式から一部復穀式へと変更されました。

潜水艦の基本構造。
潜水艦の基本構造。

水上航行中の「くろしお」(SS-596)。数日に一度、水上もしくは水上近くまで浮上し、空気を取り入れなくてはなりません。ディーゼルエンジンを稼働して発電・蓄電したり、艦内の空気を入れ替えるためです。写真:海上自衛隊
水上航行中の「くろしお」(SS-596)。数日に一度、水上もしくは水上近くまで浮上し、空気を取り入れなくてはなりません。ディーゼルエンジンを稼働して発電・蓄電したり、艦内の空気を入れ替えるためです。写真:海上自衛隊
浮上する「たかしお」(SS-597)。写真:海上自衛隊
浮上する「たかしお」(SS-597)。写真:海上自衛隊

形状が変更されたのは、船体側面へのフランク・アレイ・レーダーの装備し、音波吸収材(無反響タイル)を使用するためです。音波吸収材(無反響タイル)は、自ら音波を発してその反射から相手の情報を得るアクティブ・ソナー等に対して、敵の発した音波を吸収してしまうことによって非発見性低減、ステルス性(非発見性)向上が図るものです。セイルの角度などについても形状によるステルス性が付与され、艦全体としてこれまでの海自潜水艦とは異なる大幅なステルス性を得ています。

海自潜水艦隊の多数を担いつつ、順次「そうりゅう型」と交代

海上自衛隊は現在16隻体制の潜水艦を平成33年(2021年)までに22隻体制に強化する方針です。現在(平成28年7月31日)、海上自衛隊の潜水艦隊は4隻からなる潜水隊が第1〜第5まで5つあり、これが第1潜水隊群(呉)、第2潜水隊群(横須賀)という二つの潜水隊群を構成しています。

これに、練習潜水隊、基地隊、教育訓練隊からなる直轄部隊が加わり「潜水艦隊」を成しており、横須賀に司令部を置いています。

艦艇の構成は「おやしお型」12隻(内練習艦2隻)、「そうりゅう型」7隻、潜水艦救難艦(ちよだ、ちはや)2隻、計21隻となっています。この内、戦闘艦は17隻であり、「おやしお型」が10隻を占めています。

最新の「そうりゅう型」の新型艦が配備される度に、前級である「おやしお型」は練習艦への転籍、あるいは除籍などとなり、押し出される形になりますが、まだしばらくは日本潜水艦隊の中枢を成す艦艇として活躍することになります。

「おやしお型」各艦

おやしお(SS-590、TSS-3608) 平成10年(1998年)就役、第1練習潜水隊(呉)
みちしお(SS-591) 平成11年(1999年)就役、第1潜水隊群第1潜水隊(呉)
うずしお(SS-592) 平成12年(2000年)就役、第2潜水隊群第2潜水隊(横須賀)
まきしお(SS-593) 平成13年(2001年)就役、第1潜水隊群第1潜水隊(呉)
いそしお(SS-594) 平成14年(2002年)就役、第1潜水隊群第1潜水隊(呉)
なるしお(SS-595) 平成15年(2003年)就役、第2潜水隊群第2潜水隊(横須賀)
くろしお(SS-596) 平成16年(2004年)就役、第1潜水隊群第3潜水隊(呉)
たかしお(SS-597) 平成17年(2005年)就役、第2潜水隊群第2潜水隊(横須賀)
やえしお(SS-598) 平成18年(2006年)就役、第2潜水隊群第4潜水隊(横須賀)
せとしお(SS-599) 平成19年(2007年)就役、第2潜水隊群第4潜水隊(横須賀)
もちしお(SS-600) 平成20年(2008年)就役、第3潜水隊群第1潜水隊(呉)

種別通常動力型潜水艦
運用者海上自衛隊
おやしお型
製造者三菱重工神戸造船所、川崎造船神戸工場
母港横須賀、呉
排水量2,750t
全長82m
全幅8.9m
吃水7.4m
速力20ノット
乗員70名
発動機ディーゼル・エレクトリック方式/川崎12V 25/25Sディーゼルエンジン×2、推進電動機×1
主な兵装水中発射管一式
シュノーケル
搭載機
進水1996年-2006年
就役1998年-
退役-

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です