ひゅうが型

ひゅうが型

海自初の空母型護衛艦

海自護衛艦隊旗艦を務めるヘリ空母

※文頭写真:海上自衛隊。「ひゅうが型2隻」の勇壮な姿。前をいくのは「ひゅうが」(DDH-181)、後は「いせ」(DDH-182)。

どんな軍艦か?

ヘリコプター搭載型護衛艦ひゅうが型は、潜水艦の天敵ともいえる存在です。満載排水量19,000トン、全長197m、最大11機のヘリコプター(通常4機程度)を搭載し、350名が乗員します。

充実した指揮管制能力、輸送能力を備え、島嶼奪還などの上陸作戦においては自衛隊統合作戦の中心的な存在となります。これらの能力に加えて医療設備も備えており、災害時にも大いに活躍してくれるでしょう。

潜水艦の天敵、ヘリコプターの母艦であり、自身も強力なソナー(超音波探信儀)を裝備、NATO諸国において広く使用される米国製高性能対潜ミサイル、アスロックを搭載するなど日本の領土や資産を狙う(またはすでに侵略している)諸外国にとって脅威となります。

ネームシップである1番艦の「ひゅうが」(DDH-181)は平成18年(2006年)5月30日に起工され、平成19年(2007年)8月23日に進水、平成21年(2009年)就役し第1護衛隊群第1護衛隊に編入、横須賀に配備されました。その後平成27年(2015年)3月25日、第3護衛隊群第3護衛隊所属となり舞鶴が母港となりました。

2番艦の「いせ」(DDH-182)「ひゅうが」(DDH-181)の起工から2年後の平成20年(2008年)5月30日に起工され、平成21年(2009年)8月21日に進水、平成23年(2011年)3月16日に就役し第4護衛隊群第4護衛隊に編入、呉に配備されました。

潜水艦の脅威

海上自衛隊の対潜水艦能力は世界有数です。海上自衛隊は世界第6位の海洋面積を持つ日本海域において、潜水艦の脅威を取り払うことを最重要任務としおり、その計画にそってひゅうが型も建造されています。そして日本の対潜水艦能力、機雷掃海能力は世界有数です。

海上自衛隊の海軍力は現在世界第2位。同盟国の米国は圧倒的世界第1位ですから、日米艦隊は最強の存在です。しかし、そんな最強艦隊にとって唯一といってもいい脅威が潜水艦です。

日米艦隊において攻撃的な能力を担うのは米海軍であり、具体的には原子力空母を中心として、ミサイル巡洋艦、駆逐艦、フリゲート艦などの護衛艦に潜水艦、補給艦などが加わる空母打撃群です。昔は10隻前後の艦艇により構成されていましたが、最近は艦艇の能力向上により6隻編制となっています。

海上自衛隊は、日米同盟において攻撃力を担う米軍艦艇の航行ルートから潜水艦の脅威を取り除く大変重要な任務を担っているというわけです。このあたりは我々一般市民でもすぐに読むことの出来る防衛省の防衛計画にも書かれていますから、ネット等で簡単に読むことが出来ます。

海上自衛隊では対潜水艦任務の重要性を踏まえて、1970年代前半に建造され2011年に全艦退役した「はるな型」、1977年〜1981年にかけて建造され1980年から就役している「しらね型」を配備してきました。「しらね型」に続いて建造されたのが「ひゅうが型」、さらに現在では「いずも型」も就役しています。

平成29年(2017年)には「しらね型」の「くらま」(DDH-144)が退役予定となっており、これにより海上自衛隊のヘリコプター搭載型護衛艦は「ひゅうが型」、「いずも型」各2隻、計4隻となり。全艦が全通甲板を備えており、通俗的にいうと、ヘリコプター空母4隻配備という状態となっています。

しらね型」のヘリコプター搭載数は3機、「ひゅうが型」では最大11機、いずも型は最大14機となっており、海上自衛隊におけるヘリコプター運用能力は飛躍的に高まっています。

ちなみに、原子力ではない通常動力型の潜水艦建造能力においては、世界一の技術を有しており、現在のところ日本の海中における優位は、北朝鮮や中国とは比較にならない強力なものです。オーストラリアに技術提供という話がありますが、同国は中国と仲良しですから危険を感じます。

ヘリコプター搭載能力

一目見て、これまでの護衛艦と違うのは、197mとそれまでの海自護衛艦よりも大きな船体、艦首から艦尾まで全面に貫かれた全通甲板です。甲板にはヘリコプター発着ポイントが4か所あり、甲板下の格納・整備区画は長さ120m、幅20mを確保しています。海上自衛隊過去最大の大きさは、最大11機のヘリコプター運用を可能にしています。

「ひゅうが」(DDH-181)。写真:海上自衛隊
「ひゅうが」(DDH-181)。写真:海上自衛隊

搭載されるヘリコプターは、通常SH-60J/K哨戒ヘリコプター、MCH-101掃海・輸送ヘリコプターです。日米合同訓練では米海兵隊のMV-22Bオスプレイも運用されました。

八代湾において「ひゅうが」(DDH-181)に着艦する米海兵隊のMV-22オスプレイ。平成28年(2016年)4月に発生した熊本地震の救援活動を行っています。写真:USNAVY
八代湾において「ひゅうが」(DDH-181)に着艦する米海兵隊のMV-22オスプレイ。平成28年(2016年)4月に発生した熊本地震の救援活動を行っています。写真:USNAVY

SH-60Jはアメリカのシコルスキー・エアクラフト社が開発しアメリカ海軍が採用していたSH-60Bを日本仕様とし、三菱重工がライセンス生産した哨戒ヘリコプターです。主に対潜哨戒、敵ミサイルや航空機の探知などを行ない、捜索救難、輸送、機雷除去、通信中継など多用途に活躍します。高性能なレーダーやソナー、カメラ、逆探知装置、Mk46短魚雷を備えており、レーダーの画像は護衛艦でも同時に見ることができます。護衛艦の索敵能力を飛躍的に高めることができ、データリンクにより護衛艦のシステムと直結しており、HS(ヘリコプターシステム)とも呼ばれます。

SH-60Kは、SH-60Jを防衛庁と三菱重工が独自に能力向上を行ったヘリコプターです。2001年に初飛行し、現在でも調達・配備が続いています。機体形状、エンジン、ローターなど主要部分の変更、戦術情報処理表示装置を備えるなど、ほぼ新型機といってもいい程の改良がなされました。

「ひゅうが」(DDH-181)に着艦するSH-60J。写真:海上自衛隊
「ひゅうが」(DDH-181)に着艦するSH-60J。写真:海上自衛隊

レーダーやソナーが強化され、SH-60JではMk46短魚雷と機銃のみだった武装は、97式短魚雷、AGM-114M ヘルファイアⅡ 対艦ミサイル、対潜爆弾などが加わり、より攻撃力が強化されています。コクピットもディスプレイが並ぶグラスコクピットとなり、より高度な情報処理を可能にしています。

SH-60K。写真:海上自衛隊
SH-60K。写真:海上自衛隊

兵装

ひゅうが型はヘリコプター運用に特化しているため、自身の防空・対艦能力は限定的です。主な兵装は次のようになっています。
12.7mmM2重機関銃:7基
近接防御火器システム(CIWS)20mm機関砲:2基
Mk.41VLSミサイル発射機:1基
Mk.32短魚雷発射管:2基

2007年に就役した海自最新のイージス護衛艦あたご(DDG-177)の場合は次のようになっています。
62口径5インチ単装砲:1基
近接防御火器システム(CIWS)20mm機関砲:2基
Mk.41VLSミサイル発射機:2基
90式艦対艦ミサイル発射筒:2基
63式3連装単魚雷発射管:2基
電波探知妨害装置:1基

単純に兵装を比べただけでも「あたご」(DDG-177)の兵装は強力であり、さらにイージス武器システムを搭載しています。イージス武器システムは、AN/SPY-1D(V)という多機能レーダーを中心として兵装をシステム化し、データ・リンクにより情報システムとも連携することにより128以上の目標を同時追尾し、10以上の目標を同時攻撃可能です。「イージス艦」というのは、戦艦や巡洋艦のように艦級を表すのではなく、この「イージス武器システム」を搭載している艦艇をいいます。

イージス武器システムではないひゅうが型もコンピュータ制御の優秀な武器システムを有していますが、防空に関しては他の護衛艦が主に担うということになります。

現代の艦艇は、昔のように人が目標を探して撃つということはほぼありません。レーダーが探知し自動的に照準・射撃を行ないます。情報処理においても高度な電子化が施され、「ひゅうが型」もまた例外ではありません。

「ひゅうが型」には戦術処理のためのC4ISTARシステムが搭載されています。C4Iシステムは正確には「C Quadruple I system/シークウォドルプル・アイ・システム」といい、要するに軍全体の情報処理システムの総称です。

基本的にアメリカ軍に準じたものとなっており、戦闘時に指揮官の意思決定を助けたり、指揮を伝達するだけではなく事務管理を含めた海上自衛隊全体の情報を統括しており、さらには、陸・空自衛隊のC4ISTARシステムとの連携により、全体の情報が統合運用されています。

「ひゅうが型」に搭載されたC4Iは海上作戦部隊指揮管制システム MOFシステム(Maritime Operation Force System)、海上用汎地球指揮統制システム GCCS-M、海軍戦術情報システム NTDS、戦闘指揮装置 OYQ-10により構成されています。

個々の武装を統括する「ひゅうが型」の戦闘指揮はATECS(Advanced Technology Combat System)と呼ばれます。中心にはOYQ-10という指揮戦闘装置があり、これに対空を担当する艦載用射撃指揮装置FCS-3(00式射撃式装置3型)や、対潜戦闘装置OQQ-21、NOLQ-3C電波探知妨害装置(電子戦装置)などが連携され、最適な戦闘行動を行うことができます。

新戦闘指揮装置ACDS(Advanced Combat Direction System)であるOYQ-10が搭載され、従来の戦闘指揮装置よりもより一層迅速な戦術状況判断、強化された同時多目的処理能力を持つなど戦闘能力が向上しています。

日本の防衛省技術研究本部が開発した艦載用射撃指揮装置FCS-3(00式射撃式装置3型)、対潜情報処理装置ASWCS (Anti Submarine Warfare Control System)、水上艦用EW管制装置EWCSなどの各装置がOYQ-10と連携し状況に応じた最適な戦闘行動を行うことができます。

ひゅうが型に続いて開発・配備されたより大型のヘリコプター搭載型護衛艦いずも型は、ミサイルなど自身の裝備をより少なくし、ヘリコプター搭載数の増加、指揮管制・輸送能力の強化などが計られています。これは、米原子力空母のように自艦の防衛・攻撃は搭載する戦闘機や艦隊を構成する他の艦船に任せるということです。

固定翼戦闘機の運用

「ひゅうが型」も「いずも型」も、戦闘機の搭載についての言及が報道によくみられますが、防衛省が「固定翼戦闘機を搭載する計画はない」という主旨のコメントをしている通りだと思います。

現在の日本は基本的に他国を先制攻撃することはありません。戦闘機を搭載した空母というのは、自国を離れた場所において打撃力を発揮するものですから、現状では保持する理由がありません。

今日、日本が侵略されている場所は、北方領土、竹島、主に侵略される恐れがあるのは尖閣諸島です。例えば、竹島を奪回する場合でも、空母を建造するよりも本土の飛行場や空中給油を利用する方がはるかに効率が良いです。ただし、「ひゅうが型」の指揮通信能力や輸送能力が大いに発揮されることは想像できます。

将来的にアジア全域を中国の覇権から守る役割を担うとすれば、純粋な空母が必要になるかもしれません。その場合には、日本は「いずも型」、「ひゅうが型」の改修ではなく、新たに空母を建造するでしょう。

空母に限らなければ個別防衛のために攻撃型艦船は必要ともいえます。日本は、北朝鮮という国家に国民を拉致され、固有の領土である竹島や北方領土を侵略され、海底を通して中国に資源を奪われているわけですから、これは迅速に解決しなくてはいけません。国家国民の生命財産を守ることですから。

充分な戦力があり「交渉に応じない場合には自衛隊を派遣し、万難を排してでも拉致被害者を取り返す」という当然の意志があって初めて北朝鮮も本気で拉致被害者を返し、今後同様の犯罪行為を行わなくなるのではないでしょうか。

普通に考えて、盗みを働いたプロの犯罪者を捕まえもせず罰する強制力もなく、ただ返してくれといったところでまともに交渉に応じるとは考えられません。国内で警察が犯罪者にやっていることを当たり前にやらなければだめでしょう。

種別ヘリコプター搭載型護衛艦
運用者海上自衛隊
ひゅうが型
製造者ジャパン マリンユナイテッド(横浜事業所磯子工場)
母港ひゅうが(舞鶴)、いせ(呉)
排水量13,950(19,000t)
全長197m
全幅33m
吃水7m
速力30ノット
乗員347名
発動機COGAC方式/ゼネラル・エレクトリック(IHIライセンス生産)LM2500型ガスタービンエンジン(25,000ps)×4
主な兵装高性能20mm機関砲CIWS×2基
12.7mm重機関銃M2×7基
Mk.41mod.22VLS(16セル)
3連装短魚雷発射管×2基
搭載機通常:対潜・哨戒ヘリコプター(SH-60K)3機、掃海・輸送ヘリコプター(MCH-101)1機。最大搭載機数:11機
進水平成19年(2007年)〜平成21年(2009年)
就役平成21年(2009年)〜平成23年(2011年)
退役-

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