
超音速水上迎撃戦闘機
水上機唯一の音速突破機
※文頭写真:超音速水上戦闘機という挑戦的な試みであったXF2Yシーダートでしたが、試作に終わりました。PHOTO USNAVY
コンベアXF2Yシーダートは、米海軍が開発、1953年に初飛行させた超音速水上迎撃戦闘機です。Xの文字が示すとおり計画のみに終わったものの、唯一超音速で飛行した水上機です。
空母をいくつも持つ米海軍は、なぜ明らかに開発の困難な水上戦闘機開発に乗り出したのでしょうか?
第2次世界大戦末期から1950年代、対地攻撃を中心にレシプロ機もまだまだ現役でしたが、徐々にジェット戦闘機が艦上を占め始めていました。このままジェット戦闘機の開発が進むと、機体は大きく、重く、速くなっていくことは明白でした。この流れに対して航空母艦を大型化することは困難と考えられた時期に、対策の一手として考えられたのが超音速水上戦闘機計画でした。
米海軍は1948年10月、超音速水上迎撃戦闘機の基本案提出を各社に求め、1951年1月にはコンベア社に対して試作機2機の製作を発注しました。コンベア社はドイツの流体力学者アレクサンダー・リピッシュ博士の協力を仰ぎ、デルタ翼を採用し最大速度マッハ1.4という高性能機計画を提出していました。
1952年試作1号機が完成、1953年には離水テストに成功、1954年8月、緩降下時の音速突破にも成功したものの、11月には空中分解を起こします。1955年に入っても試行錯誤が続いていましたが、同じ時期、空母の歴史上最も革新的な3つの発明がうまれます。
それは、蒸気射出装置(スチーム・カタパルト)、アングルド・デッキ、ミラー・ランディング・システムの3つです。特に本編と関係してくるのは前者の2つです。それまでの油圧式よりも格段にパワーアップした「スチーム・カタパルト」と、滑走帯が中心線より左舷側に開いた「アングルド・デッキ」です。
これらによりジェット戦闘機の空母運用における将来性が確保されます。さらには、そもそもマッハ1.4という超音速飛行をする水上機の設計や、大きく波打つ外洋での運用が困難であることも明らかになり、量産機は生産されることなく計画は終了しました。
運用者 | - |
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主要なバリエーション | XF2Y-1 試作機。1機製造 YF2Y-1 試作機。4機製造 F2Y エンジン換装。計画のみ |
生産数 | 5 |
スペック型式 | - |
全 幅 | 10.26m |
全 長 | 16.03m |
全 高 | 4.93m |
翼面積 | 52.4㎡ |
自 重 | 5,730kg |
総重量/最大離陸重量 | 7,480kg |
発動機 | J46-WE-2(2,767kg)×2 |
最大速度 | 1,328km/h |
実用上昇限度 | 16,700m |
戦闘行動半径 | 820km |
航続距離 | 2,460km |
乗 員 | 1名 |
初飛行 | 1953年4月9日 |
就 役 | - |
退 役 | - |
兵 装 | 20mm機関砲×4 2.75インチロケット弾×44 |