ジェネラル・ダイナミクスF-111アードヴァーグ

General Dynamics F-111 Aardvark
ジェネラル・ダイナミクスF-111アードヴァーグGeneral Dynamics F-111 Aardvark

世界初の実用可変翼戦闘機

戦術爆撃機として大いに活躍

※文頭写真:USAF

ジェネラル・ダイナミクスF-111アードバーク(1964-1998/2010)は、アメリカが開発・採用した世界初の実用可変翼戦闘機です。戦闘機とはいっても空中戦ではなく、爆撃をメインとする戦術爆撃戦闘機です。

当初、米海空軍の統合戦闘機として開発されF-111Aが空軍型、F-111Bが海軍型として進められました。最終的には重量超過などを理由に海軍が難色を示し、F-111B(海軍型)は計画のみに終わりました。

飛行場で運用する空軍の陸上戦闘機と、航空母艦で運用する海軍の艦上戦闘機はそもそも要求される仕様が異なります。この点だけならF-4のように空軍・海軍ともに採用された機体もありますが、空軍は爆撃重視、海軍は敵戦闘機に対する防空を重視しており、さらには新しい技術であった可変翼を取り入れていたことなどが失敗の原因です。

実に優秀な爆撃性能を有する戦闘攻撃機となったF-111。PHOTO USAF
実に優秀な爆撃性能を有する戦闘攻撃機となったF-111。PHOTO USAF

この統合戦闘機というコンセプトは当時ジョン・F・ケネディ大統領の元で国防長官を務めていたロバート・マクナマラ(1916-2000)の発案によるものでした。それまで米空軍と海軍は別々に戦闘機を開発し、協力しあうというよりはむしろライバル心むき出しの関係にありました。

ロバート・マクナマラはハーバード大学卒業後、同校で教鞭をとり、会計士を経て第2次世界大戦中は米陸軍航空隊統計管理局に配属されていました。戦後は自動車会社フォードに採用され、フォード一族以外で初めて社長に就任した切れ者です。1960年ジョン・F・ケネディが大統領に就任すると、フォード社長に就任後まもない時期でしたが乞われて国防長官となりました。在任期間は1961年から1968年です。

システム分析を得意とするマクナマラはいわゆる文官として優勝な人物であり数々の戦略的成果を残していますが、統合戦闘機に関しては失敗したといわれています。米海軍はTFX(Tactical Fighter Experimental=実験的攻撃機)計画をすすめ、米海軍はFAD(Fleet Air Defence=艦隊防空)戦闘機計画をすすめていました。費用対効果を重視したマクナマラはコスト削減のため両者の計画を強引に統合します。

1987年(昭和62年)10月、訓練中のEF-111(電子戦機型)。PHOTO USAF
1987年(昭和62年)10月、訓練中のEF-111(電子戦機型)。PHOTO USAF

1961年10月に開発要求が各メーカーに提示され、その中からジェネラル・ダイナミクス案が選ばれます。いざ開発が始まると、空軍と海軍の異なる運用や主旨を満たそうとすることで機体重量は増加し、米海軍はF-111B計画をキャンセルしてしまいます。空軍型であるF-111Aはその後も開発が続き1964年12月に初飛行を行っています。

世界初の実用可変翼戦闘機であり、地形追従レーダーなど当時最新の技術を詰め込んだため、しばらくはトラブルにみまわれていましたが、ベトナム戦争中の1960年代末期に大きな検査・改修が行われたことで信頼性を高めていきます。その後、ベトナム戦争、リビア空爆、湾岸戦争などにおいて対地攻撃機として大いに活躍し、米空軍では1996年まで就役しました。

F-111アードバーグのコクピット。数多くの計器がところ狭しとならんでいます。PHOTO USAF
F-111アードバーグのコクピット。数多くの計器がところ狭しとならんでいます。PHOTO USAF

F-111は米空軍・海軍の統合戦闘機として失敗したわけですが、改修を続けて安定した運用性、優れた低空飛行能力と最大離陸重量45,300kg(自重21,410kg)という多大な兵器搭載量は特筆すべきものであり、米空軍の戦術爆撃機として非常に優秀な成果を残しました。

運用者アメリカ空軍
オーストラリア空軍
主要なバリエーションF-111A 最初の量産型。158機製造
F-111B 米海軍型。計画のみ
F-111C オーストラリア空軍型
F-111D 電子機器(アビオニクス)、エンジンなど改修
F-111E エアインテイク改修型
F-111F 最終量産型。電子機器やエンジンを換装。1996年まで使用された。106機製造
F-111G 訓練機
F-111K イギリス空軍向け。キャンセル
EF-111A 電子戦機。F-111Aを改造
生産数563
スペック型式F-111F
全 幅9.75m-19.2m
全 長22.4m
全 高5.22m
翼面積48.77㎡-61.07㎡
自 重21,400kg
総重量/最大離陸重量45,300kg
発動機TF30-P-100(8,119kg/AB 11,385kg)×2
最大速度2,665km/h
実用上昇限度20,100m
戦闘行動半径1,480km
航続距離5,950km
乗 員2名
初飛行1964年12月21日
就 役1967年7月
退 役1996年
兵 装20mm機関砲×1
AIM-9 Sidewinder
各種爆弾

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