いずも型

いずも型

海自、戦後最大の艦艇級

全長248mのヘリコプター搭載型護衛艦

※文頭写真:海上自衛隊

「いずも型」は海上自衛隊の最新艦級にして戦後最大の護衛艦です。就役済の第1番艦「いずも」(DDH-183)と第2番艦「かが」(DDH-184)の2隻があります。全長248m、基準排水量19,500t、最大搭載航空機数14機、5か所のヘリコプター発着ポイントを有しています。造船はジャパン マリンユナイテッド株式会社。建造費用は約1隻1,140億円です。

これまでの護衛艦はイージスシステムにより制御されたミサイルや砲塔といった各種兵装を搭載していましたが、「いずも」は近接防衛ミサイルであるSee RAMを2基と20mm機関砲CIWS2基のみの兵装となっており、自身の防衛は専ら艦隊を組む他の艦に依存することとなります。これは、アメリカの原子力空母と似た運用です。

米海軍原子力空母ロナルド・レーガン(CVN-76、手前)と並走する「いずも」(DDH-183)。写真:海上自衛隊
米海軍原子力空母ロナルド・レーガン(CVN-76、手前)と並走する「いずも」(DDH-183)。写真:海上自衛隊
近接防御兵器システム「SeaRAM」。最大11発のミサイルを装填し、敵ミサイルを迎撃します。「いずも型」には2基搭載されています。写真:世界の兵器
近接防御兵器システム「SeaRAM」。最大11発のミサイルを装填し、敵ミサイルを迎撃します。「いずも型」には2基搭載されています。写真:世界の兵器
近接防御兵器システム「Phalanx CIWS」。「いずも型」には2基搭載されています。写真:世界の兵器
近接防御兵器システム「Phalanx CIWS」。「いずも型」には2基搭載されています。写真:世界の兵器
「いずも」(DDH-183)の艦橋。正面に四角っぽい簡易FCS-3レーダーがみえています。写真:世界の兵器
「いずも」(DDH-183)の艦橋。正面に四角っぽい簡易FCS-3レーダーがみえています。写真:世界の兵器

いずも(DDH-183)は海上自衛隊第1護衛隊群(神奈川県横須賀市)に所属し、かが(DDH-184)は2015年8月27に進水、2017年の就役を予定しています。

これまでの護衛艦とどう違うか? どのような場面で活躍するのか?

これまでの護衛艦との違いを挙げるとおおまかに4つあります。

〈1〉ヘリ空母型、全通甲板、戦後最大
〈2〉指揮管制・情報処理能力
〈3〉輸送・給油能力
〈4〉病院船能力

横須賀基地に停泊する「いずも」(DDH-183)。写真:世界の兵器
横須賀基地に停泊する「いずも」(DDH-183)。写真:世界の兵器
横須賀基地に停泊する「いずも」(DDH-183)と奥にみえる護衛艦隊。写真:世界の兵器
横須賀基地に停泊する「いずも」(DDH-183)と奥にみえる護衛艦隊。写真:世界の兵器
横須賀基地に停泊する「いずも」(DDH-183)。写真:世界の兵器
横須賀基地に停泊する「いずも」(DDH-183)。写真:世界の兵器
「いずも」(DDH-183)の母港である横須賀基地。左手が海上自衛隊、右手が米海軍です。写真:世界の兵器
「いずも」(DDH-183)の母港である横須賀基地。左手が海上自衛隊、右手が米海軍です。写真:世界の兵器

〈1〉ヘリ空母型、全通甲板、戦後最大

外観上すぐにわかる大きな違いは全長248m、全幅38m、排水量19,500tという巨体と艦上を覆う全通甲板です。太平洋戦争時、大日本帝国海軍が造った戦艦大和・武蔵(全長261m)や、大東亜戦争初期に空母機動部隊の旗艦として活躍した空母「赤城」(全長260m)に迫る大きさです。最大速度は海自の他護衛艦にあわせ30ノットとなっており、他国の同類艦と比較し高速といえます。

横須賀基地に停泊する「いずも」(DDH-183)。写真:世界の兵器
横須賀基地に停泊する「いずも」(DDH-183)。写真:世界の兵器

ヘリコプターを最大14機搭載し、5か所のヘリコプター発着ポイントを持っています。これだけ多くの航空機を運用できる艦船は戦後の日本においては初めてです。また、航空機を昇降するためのサイドエレベーターがこれも戦後初めて裝備され、整備作業の中断なくヘリの出し入れが可能になっています。

「いずも」(DDH-183)の甲板。実際に立ってみると全長245mの甲板は想像以上に大きいです。写真:世界の兵器
「いずも」(DDH-183)の甲板。実際に立ってみると全長245mの甲板は想像以上に大きいです。写真:世界の兵器
「いずも」(DDH-183)のエレベータ。写真:世界の兵器
「いずも」(DDH-183)のエレベータ。写真:世界の兵器
「いずも」(DDH-183)のエレベータ。写真:世界の兵器
「いずも」(DDH-183)のエレベータ。写真:世界の兵器
「いずも」(DDH-183)のデッキサイド式後部エレベータ。写真:世界の兵器
「いずも」(DDH-183)のデッキサイド式後部エレベータ。写真:世界の兵器

固定翼戦闘機の運用について言及されることがありますが、それについては後ほど述べます。

ヘリコプターというのは潜水艦の天敵といってもいい存在です。ヘリコプターは空中に停止(ホバリング)し、吊下式聴音器やソノブイ(吊下式ソナー内蔵の無線浮標)によりじっくり海中を探索、魚雷により攻撃します。潜水艦を見つけることができなければ、海上の艦船はあっけなく沈められてしまうため、ヘリコプターは大変有効な対潜水艦兵器であり、米海軍でも護衛艦にヘリ運用能力を付与することが増えています。

日米は世界の海軍力トップ2であり、日米同盟が発揮する海軍力は世界のどの国も全く太刀打ちできるものではありません。しかし、それだけの力の差があっても、潜水艦だけは唯一の脅威です。日本には、世界最先端の「そうりゅう型」潜水艦がありますが、潜水艦を潜水艦で攻撃する場合、速度の関係からどうしても展開力が落ちます。だから、ヘリは重要な存在なのです。

ヘリコプターは潜水艦に強いのですが、いかんせん航続距離が短いという難点があります。SH-60Jは580km、SH-60Kは800kmであり、ホバリング(空中停止)しながらディッピングソナーやソノブイという潜水艦探索装置を海中に吊り下げて使用するため、さらに航続距離は短くなりますから、洋上での運用には母艦が必須となってきます。

日米同盟を基本にした安全保障体制をとる日本には、米海軍がアメリカ本土以外に唯一原子力空母の母港としている横須賀基地があります。(もう一隻原子力空母を増やすという情報があります。)

有事の際には横須賀から原子力空母が出撃することになりますが、その際、潜水艦は通常戦力では唯一の大きな脅威となるため、対潜・掃海は海上自衛隊において重要な任務です。

いずも型に搭載されるヘリコプターは主に以下の機種です。

いずも型は最大で14機のヘリコプターを搭載できますが、通常は対潜哨戒ヘリSH-60J/Kを7機、掃海・輸送ヘリMCH-101を2機(最大では14機程度)というのが定数となります。いずれは作戦能力を獲得したCV-22オスプレイも艦上に加わる可能性があります。

〈SH-60J〉
海上自衛隊護衛艦の主任務となる敵潜水艦との戦闘においては、搭載するSH-60J/Kヘリコプターが大きな力を発揮します。

SH-60Jはアメリカのシコルスキー・エアクラフト社が開発しアメリカ海軍が採用したSH-60Bの対潜能力をより強化した日本仕様。三菱重工がライセンス生産しました。

主に対潜哨戒、敵ミサイルや航空機の探知などを行ない、捜索救難、輸送、機雷除去、通信中継など多用途に活躍します。高性能なレーダーやソナー、カメラ、逆探知装置、Mk46短魚雷を備えており、レーダーの画像は護衛艦でも同時に見ることができます。護衛艦の索敵能力を飛躍的に高めることができ、データリンクにより護衛艦のシステムと直結し、HS(ヘリコプターシステム)とも呼ばれます。

〈SH-60K〉
SH-60Kは、SH-60Jを基に防衛庁と三菱重工が独自に能力向上を行ったヘリコプターです。2001年に初飛行し、現在でも調達・配備が続いています。機体形状、エンジン、ローターなど主要部分の変更、戦術情報処理表示装置を備えるなど、ほぼ新型機といってもいい程の改良がなされました。

レーダーやソナーが強化され、SH-60JではMk46短魚雷と機銃のみだった武装は、97式短魚雷、AGM-114M ヘルファイアⅡ 対艦ミサイル、対潜爆弾などが加わり、より攻撃力が強化されています。コクピットもディスプレイが並ぶグラスコクピットとなり、より高度な情報処理を可能にしています。「いずも型」の高度な情報処理能力とあわせ、強力なネットワーク戦力を発揮します。

SH-60K。写真:海上自衛隊
SH-60K。写真:海上自衛隊
「いずも」(DDH-183)の主要搭載機であるSH-60K。最新のコクピットにはディスプレイが並んでいます。写真:世界の兵器
「いずも」(DDH-183)の主要搭載機であるSH-60K。最新のコクピットにはディスプレイが並んでいます。写真:世界の兵器

〈CV-22オスプレイ〉
いずも型は自衛隊が導入を予定している新型輸送機オスプレイも着艦可能となっています。
防衛省では2013年度予算案に輸送機であるオスプレイ調査費が計上され、2015年度には陸上自衛隊に17機が配備される予定です。

オスプレイは主翼にある2基の可動式プロペラにより、ヘリコプターとプロペラ機の能力を併せ持ち、ヘリコプターのような運用のしやすさ、プロペラ機の速度(時速約509km)と長い航続距離(約3,900km)を発揮します。この形状はティルトローターといわれます。輸送力は人員約25名です。自衛隊では災害救援や輸送、そして、離島防衛を念頭に配備が予定されています。

安全性が危惧されていますが、事故率は他の機体とくらべて特段に高いということはなく、事故の原因もこの画期的なティルトローター形式によるものではないようです。それより気になるのは陸自17機の予算額3,600億円です。これは高い。

〈MCH-101〉
ウェストランド社(英)とアグスタ社(伊)が共同開発した大型の汎用ヘリコプター、アグスタウェストランドAW-101を海上自衛隊が掃海・輸送ヘリコプターMCH-101として採用したもの。川崎重工業によりライセンス生産され、海上自衛隊へは2003年から2012年にかけて6機が納品されています。

AW101は元々アメリカ海軍が採用したシコルスキーS-61シーキングという対潜ヘリの後継として開発されたことから、大量の機材運搬能力、長大な航続距離を持ち、ローターと尾部に折りたたみ機構により艦載機運用を可能にしています。

〈2〉指揮管制・情報処理能力

「いずも型」は洋上の司令部となることができる高度な指揮管制能力を備え、離島防衛作戦や有事、大規模災害の際には内部の多目的区画に100名程度を収容する統合司令室を設置することができます。

現代の戦闘は、特に日米のように最新鋭の兵器が揃う軍事組織においては、兵器や基地をネットワーク化した高度なネットワーク戦が遂行されます。

いずも型の司令部には大きなディスプレイが並び、ネットワーク化された日米の情報が集約されます。航空自衛隊のF-2や次期主力戦闘機F-35などの新しい戦闘機や陸上自衛隊の最新戦車10式などにも、ディスプレイが備えられています。

自衛隊は陸海空ともに、統合作戦能力の強化に努めています。これは、特にハイテク兵器のネットワーク化が生み出す高い作戦遂行能力を中心とした強化です。日本独自のネットワークだけでなく、アメリカを中心とした自由諸国はアメリカが運用するリンク16というネットワークを活用しており、強力な情報体制を敷いています。

例えば、1機の早期警戒機が海上の敵戦闘機を発見した場合、ネットワークに繋がった陸海空すべての戦力に情報が共有され、司令部となった「いずも型」が、近くの味方兵器(例えば戦闘機)に攻撃命令を行ないます。

すると、戦闘機は共有された敵機の情報をインプットし、最新の撃ちっぱなしミサイルを発射。即座にその場を退避するという一方的な戦い方ができます。戦闘機が自身のレーダーを照射することなく攻撃するということは、敵機にレーダーを逆探知されることもありませんから、一方的に相手を撃破することができます。

〈3〉輸送・給油能力

「いずも型」はその巨体を活かした大きな輸送能力を持っており、乗員の他に500名の兵員や陸自の73式大型トラック50両を搭載可能。さらに護衛隊群(護衛艦隊)全体に補給できる程の燃料や水を搭載することができますから、洋上作戦の中核をなす母艦といえます。他国に侵略されている竹島や北方領土から侵略軍を追い出す、他国による犯罪行為である拉致の被害者を救出するといった個別的自衛権発動の際にも重要な役割を担うでしょうし、災害時には代えがたい大きな存在となるでしょう。

「いずも」(DDH-183)の艦内。写真:世界の兵器
「いずも」(DDH-183)の艦内。写真:世界の兵器

〈4〉病院船能力

「いずも型」は35床の入院設備を有する病院船としての機能を備えています。戦時の負傷者の治療はもとより、災害時にも力を発揮するでしょう。ただし、純粋に病院船としては活動できません。国際法上、病院船として活動するには、船体を白に塗装し、兵器は艦内秩序維持のための最小限のものにする、また夜間は電飾するなど様々な決まりがあるため、戦闘艦である「いずも型」では不可能です。

「いずも型」と似た他国の軍艦

〈米海軍/揚陸指揮艦ブルー・リッジ〉

「いずも型」は大雑把にアメリカの軍艦にあてはめると、横須賀を母港とする揚陸指揮艦ブルー・リッジ(LCC-19)の指揮能力と、ワスプ級強襲揚陸艦の輸送展開能力を総合して差し引きしたようなイメージです。

日本の横須賀を母港とするアメリカ最大、ということはもちろん世界最大の第7艦隊旗艦であるブルー・リッジ(LCC-19)は、最新のコンピュータや通信施設を積んだ最新鋭指揮艦です。洋上の司令部であるとともに、その名のとおり強襲揚陸する車両や人員を搭載することができます。

全長193.2m、全幅32.9m、全体の形状はいずも型に似ており、甲板は、揚陸指揮艦として最も重要な通信能力発揮のため、電波干渉を起きにくくする目的で平板になっています。1970年に就役し、ベトナム戦争にも参加した古い艦ですが、コンピュータや通信設備は最新のものに更新されています。神奈川県の横須賀を母港としており、周辺の道々や公園などからみることができます。

〈米海軍/アメリカ級強襲揚陸艦〉
この級は現在「アメリカ」(LHA-6)のみが就役し、今後12番艦まで建造される予定です。その名の通り、敵地に強襲揚陸する戦闘艦であり、約1,000名の乗組員の他に約1,700名の海兵隊員、垂直離着陸戦闘機、大型輸送ヘリ、攻撃ヘリ、エアクッション型揚陸艇(LCAC、3番艦以降)などを搭載し、敵地に乗り込むという攻撃的任務を遂行します。

正規空母のような航空機運用能力に加えて、エアクッション型揚陸艇(LCAC、3番艦以降)も運用するこの艦は、全長257.3m、全幅32.3m、満載排水量45,570tと大型になっています。3番艦以降は搭載運用兵器の増加によりさらに大型化する予定です。

〈スペイン海軍/ファン・カルロス1世〉
スペイン海軍の強襲揚陸艦。2013年に軽空母プリンシペ・デ・アストゥリアスが退役したため、同軍唯一の空母能力を有した艦となりました。全長は230.82m、満載排水量24,660t(軽空母運用)/27,082t(揚陸艦運用)、全幅32m、最大速度21ノット。ヘリコプター12機、垂直離陸戦闘機10機の他、上陸用舟艇を搭載でき、500名を超える要員の他に地上部隊を900名以上運ぶことができます。航空機運用をせずに輸送揚陸だけで運用した場合にはレオポルド2主力戦車を46両収容できます。また、集中治療室を備えるなど医療機能も充実しています。

〈韓国海軍/独島級揚陸艦〉
独島級揚陸艦「独島」は2007年に就役した韓国海軍最大の艦艇。他国の領土を勝手に艦名にするという不可思議で挑発的な行為が話題になりました。全長199m、全幅31m、基準排水量14,300t、最大速力23ノット(巡航18ノット)、全通甲板を有しています。大きさや形状、機能は「いずも型」よりも「ひゅうが型」に似ています。

就役当時はアジア最大との触れ込みで、輸送艦だがいずれ軽空母として運用できるなどと韓国人の自尊心を満たしていました。しかし、就役から8年経った現在でもまともに運用されたことはありません。

近接防御用の機関砲は自艦を撃ってしまう位置に誤配置され(冗談のようですが実話です)、国産を目指した搭載ヘリコプターが開発できず艦上は空っぽ。エンジンは出力不足でひゅうが型の3.5分の1の馬力しかありません。さらには、レーダーは虚偽標的(ゴースト)が表示されるという致命的な欠陥を改良しないまま就役しています。

2014年9月に行われた軍の記念イベントでは、現地に向けて航行中に発電機が発火して動力を失い、「漂流」するという軍艦としては聞いたことがない事態となりました。

これらは、報道により日本の一般市民である筆者が知りうる限りですから、実態はさらに多くの不具合を抱えていると想像されます。

詳しくは独島級揚陸艦の項をご覧ください。

固定翼戦闘機の搭載について

一部報道では、垂直離着陸型の戦闘機を運用できるというような内容がみられます。技術的には可能ですが、あまり現実的とはいえません。

現在日本が直面している主な問題は、領土・領海侵犯、拉致です。具体的にはロシアが不法占拠している北方領土、韓国が不法占拠している島根県の竹島、中国が海底から日本の資源を盗掘している東シナ海、北朝鮮による国家犯罪、日本国民拉致ということになります。さらには、国連が1970年に石油埋蔵を発表してから突如として中国が自国領土だと主張し始めた尖閣諸島が加わります。

いずれも、他国が日本の主権・領土を侵犯している、またはしようとしているものであって、日本が国家であればどのような手段を使ってでも完全に解決しなくてはいけません。侵略者を国土から撤退させ、拉致被害者は救出し、盗掘を止めさせるということです。

そのためには、まずは国家間の外交交渉ということになります。日本の非は皆無ですが、ただ返しなさいと正当性を主張するだけで侵略者や犯罪者が、はいどうぞと応じるわけがありません。日本の当たり前の主張に話し合いで応じられないのなら、拉致被害者の救出に自衛隊が出動するというように、実力行使を行うという当然の流れがなければ解決しません。それがあって初めて話し合いは成立し、問題は解決に向かいます。

自衛隊は上記のような領土・領海侵犯、拉致、盗掘を実力行使により解決する軍事力を備える必要があります。固定翼のいわゆる戦闘機を載せる空母を運用するのは、本土から離れた場所において作戦活動をするためであって、日本が抱える上記の侵犯・拉致は比較的近い場所で発生しています。

例えば、北朝鮮の平壌から新潟までは約1,160km、北海道の千歳から択捉島までは約550kmです。空自のF-2やF-15の航続距離は約3,500km程度です。これならば作戦内容により空中給油を活用した方が、正規空母を運用するよりもずっと効率的です。米軍のように他国において軍事力を発揮する必要があれば正規空母は絶大な威力を発揮しますが、日本の場合は、当面個別的自衛権の範囲ですから、事情が異なるのです。

したがって、島嶼防衛及び奪回、拉致被害者救出となると、制空権は日本各地の基地にある日米戦闘機が誇る世界最強の空軍力が担い、「いずも型」は航空機としてはヘリコプターを搭載し潜水艦の脅威を排除しつつ、車両や兵員を輸送し、護衛艦隊旗艦として高い司令部機能を持っていた方がよいということになります。

日本が戦闘機を運用する正規空母を活用してアジアの平和と民主主義を守るという責任を具体的に担う将来が訪れれば、その時は空母が必要でしょう。改修を実施して「いずも型」において垂直離着陸の戦闘機を運用することは技術的には充分可能ですが、いまのところ、5兆円弱という限られた予算を他のことに割いたほうがよいと思われます。

種別護衛艦
運用者海上自衛隊
いずも型
製造者ジャパン マリンユナイテッド(横浜事業所磯子工場)
母港
排水量19,500t(27,000t)
全長248m
全幅38m
吃水7.3m
速力30ノット
乗員470名(970名・便乗者含む)
発動機COGAC方式/ゼネラル・エレクトリック(IHIライセンス生産)LM2500IEC型ガスタービンエンジン(28,000ps)×4
主な兵装高性能20mm機関砲×2基
対艦ミサイル防御装置)×2基
魚雷防御装置 1式
対水空レーダー 1基
対水上レーダー 1基
水上艦用ソーナーシステム 1式
EW装置 1式
情報処理装置 1式
搭載機
進水2013年-
就役2015年-
退役

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