ロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡ(A)

Lockheed Martin F-35 Lightning Ⅱ(A)
ロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡ(A)Lockheed Martin F-35 Lightning Ⅱ(A)

最新鋭ステルス戦闘機(通常離着陸型)

いよいよ運用迫る

※文頭写真:USAF

ロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡはアメリカが開発した最新の戦闘機です。一つの基本設計でアメリカ空・海・海兵隊の戦闘機を開発しようという、統合打撃戦闘機(JSF=Joint Strike fighter)計画からうまれました。

基本設計から生み出される形は3種類あり、通常の飛行場において運用するA型、垂直に離着陸できるB型(短距離離陸垂直離着陸)、航空母艦において運用するC型(艦上戦闘機)の3種類があります。

アメリカ空軍に引き渡され、カリフォルニア上空でテスト中のF-35A。PHOTO Lockeed Martin
アメリカ空軍に引き渡され、カリフォルニア上空でテスト中のF-35A。PHOTO Lockeed Martin

試作機AA-1(A型)のテスト飛行。PHOTO Lockeed Martin
試作機AA-1(A型)のテスト飛行。PHOTO Lockeed Martin

アメリカは1960年代にF-111という戦闘機で同じように基本設計を空・海軍で共用するという構想を進めましたが、艦上戦闘機の制約から海軍が不採用を決め、失敗に終わっています。

実に優秀な爆撃性能を有する戦闘攻撃機となったF-111。PHOTO USAF
実に優秀な爆撃性能を有する戦闘攻撃機となったF-111。PHOTO USAF

約30年を経て進化して復活した統合打撃戦闘機(JSF=Joint Strike fighter)計画は、どうやら成功しつつあります。電子機器の複雑化などにより戦闘機の開発は年々高度化、高額化しており、このJSF計画もアメリカを主とし、イギリス、イタリア、オランダ、ノルウェー、デンマーク、オーストリアなどが開発に参加する国際共同の形をとり、巨額の費用を賄っています。

1980年代に冷戦構造は弱まり始め、1991年には東の領主ソ連が崩壊します。最大にして唯一といってもいいライバルがいなくなったアメリカは、当然の如く軍事費削減が急ピッチで進みます。

いつ最新鋭機が出現するかもわからないソ連を凌駕する高性能な戦闘機を常に配備する必要がなくなり、高性能&高コストの兵器開発は次々に中止となっていきます。それでも戦闘機の老朽化は進み、1990年代には空軍、海軍ともに次期戦闘機の計画を立てる必要に迫られていました。

とはいえ高度な電子機器、ステルス技術、複雑化するソフト開発など現代の戦闘機開発は膨大な開発費が必要です。そこで1995年、空軍・海軍・海兵隊の戦闘機を共通の基本設計から造るという統合打撃戦闘機(JSF=Joint Strike fighter)計画が考えられました。

これには、ボーイング、ロッキード・マーチン、マクドネル・ダグラスの3社が設計案を提出し、ボーイングとロッキード・マーチンの案が選ばれ試作機が発注されました。とはいえマクドネル・ダグラスはこの後ボーイングに吸収されましたから、結果的に3社とも関わっていくことになります。

2000年にはボーイングのX-32、ロッキード・マーチンのX-35共に初飛行に成功し各種のテストが繰り返されていきます。2006年には1号機が完成し2010年頃から各軍に引き渡されテストフライトが行われており、A型は2016年、B型は2015年、C型は2018年の運用開始を目指しています。

通常離着陸型のX-32A。PHOTO Boeing
通常離着陸型のX-32A。PHOTO Boeing

F-35は空対空、空対地などの様々な任務をこなす多目的戦闘機(マルチロール)です。レーダーにほぼ映らないステルス機であり、アフターバーナーを使用せずに音速を超える超音速巡航(スーパークルーズ)能力を持ち、高度な電子機器を搭載、ディスプレイをみながら背後の敵を攻撃するなどということも容易にこなします。

F-35のコクピットは一般的に想像する計器だらけのコクピットとは全く違っています。ヘルメットにはターミネーターのように情報が表示され、正面にはipadのようなディスプレイが並び、操縦桿は電子式となっています。

中央に大きなパネル、左右にスティックが配されたF-35のコクピット。
中央に大きなパネル、左右にスティックが配されたF-35のコクピット。

アメリカが統合運用するリンク21という情報ネットワークに繋がり、情報はリアルタイムに共有されます。高度な電子機器と情報ネットワークを駆使し、一方的に敵を葬り去る能力は未来の戦闘機とも、空の忍者ともいいたい存在です。

F-35は空対空、空対地、双方をこれまでにない能力をもって遂行します。レシプロ戦闘機の時代から、戦闘機同士の戦いを制する鉄則は「先制発見、先制攻撃、即時逃走」であり、正々堂々と勝負などしてはいけないのです。肉眼で敵をみつけていた時代、エースパイロットといわれた人々は例外なく、良い目と優れた注意力を持っていました。

戦闘機が楽々と超音速で飛行する現在、敵を肉眼で捉えるということはありません。かわりに目となるのはレーダーとネットワークです。F-35を筆頭にアメリカ(及び西側)の戦闘機はネットワーク力に優れており、たとえ飛行性能が劣っていようともネットワークを駆使して先に敵の位置を掴めれば圧倒的優位に立つことができます。

F-35の敵戦闘機との戦いを想定してみます。
あるF-35が敵機を捉えたとします。敵機を捉えたF-35はネットワークに情報を送信したら即座に退避します。その情報はリンク21ネットワークに接続するすべての味方戦闘機が共有します。敵機を発見したF-35は敵機のレーダーに感知された可能性がごくわずかでもありますから、すぐに退避するわけです。

その中から最もリスクの少ない戦闘機がミサイルの射程圏内まで接近。最新のAIM-120アムラーム空対空ミサイルであれば、一昔前のように母機である戦闘機が途中まで敵機を補足してあげる必要はなく、自立誘導ですから射程距離である70km〜100kmに入ったところでミサイルを発射し、即座に退避します。

恐らく敵機はF-35の存在に気がついていないでしょうから、いきなり撃墜されて終わりということになります。

対地攻撃においては、信じられないように精密なピンポイント空爆が可能です。太平洋戦争末期にアメリカが日本にしたような、民間人でもおかまいなしにすべてを焦土と化すような絨毯爆撃は、現在では起こる可能性は少なく、一人もしくは一つの建物を狙い打つような暗殺空爆が起こりやすいシチュエーションです。

グリーンベレーやネイビーシールズ、特殊作戦群(USSOCOM)といったアメリカ軍の特殊部隊や、アメリカ中央情報局(CIA)などの情報機関が「この建物に標的がいる」と確定すれば、F-35は敵レーダーをかいくぐって「どの窓」という精度で爆撃が可能です。これだけの正確性がありますから、あえて火薬を積まずに狙うこともあります。

また、ステルス性と精密な爆撃精度、そして空中戦にも強いというF-35は、敵防空網が充分に機能している戦争初期段階での攻撃にはうってつけであり、ステルス戦闘機を持たないアメリカ海軍にとっては特に大変重要な役割を担うことになりそうです。

2013年(平成25年)5月14日、空中給油ミッション中のF-35。PHOTO USAF
2013年(平成25年)5月14日、空中給油ミッション中のF-35。PHOTO USAF

ステルス能力獲得のために形状制御されたフォルムは独特の美しさを感じさせます。PHOTO USAF
ステルス能力獲得のために形状制御されたフォルムは独特の美しさを感じさせます。PHOTO USAF

航空自衛隊 F-35A

◎F-35空自初号機、平成28年10月に納入と発表
航空自衛隊はF-35Aを航空自衛隊の次期主力戦闘機として採用しています。平成28年(2016年)7月22日、航空自衛隊の杉山良行 航空幕僚長は記者会見を行ない、10月に初号機が米国ロッキード・マーチン社より納入されると発表しました。
これにあわせ、11月から米国アリゾナ州にある米空軍基地において操縦訓練が実施され、平成29年度(2017年度)には青森県の空自三沢基地に配備される予定です。平成28年度(2016年度)は4機が納入され、その後、38機は国内組立により随時納入されることになっています。購入価格は1機約180億円です。

◎F-35配備可能となる。空自への納入も間近
米空軍は8月2日、F-35A(通常離着陸型)が初期運用能力を獲得し、配備可能になったと発表しました。これに伴い、自衛隊にも平成29年(2017年)3月末までに4機が引き渡される予定となっていて、最初の機体は平成28年9月にも引き渡される可能性があります。米海兵隊仕様のF-35Bは既に初期作戦能力を獲得しており、平成29年(2017年)に山口県の岩国基地に配備されることとなっています。(平成28年8月2日、時事通信他)

◎航空自衛隊F-35A、初号機の写真が公開される
平成28年(2016年)8月15日、航空自衛隊に全42機が納入されるF-35Aの写真が公開されました。公開されたのは平成24年度契約分4機のうちの初号機であり、米国ロッキード・マーティン社フォートワース工場において製造中のものです。初号機は、組み立て作業と塗装が完了し、地上試験等を実施中。機体側面にグレーの日の丸が描かれています。同年8月中にはさらに試験飛行が行われます。

平成28年(2016年)8月15日、初公開された航空自衛隊に納入予定のF-35A初号機。写真:航空自衛隊
平成28年(2016年)8月15日、初公開された航空自衛隊に納入予定のF-35A初号機。写真:航空自衛隊

平成28年(2016年)8月15日、初公開された航空自衛隊に納入予定のF-35A初号機。写真:航空自衛隊
平成28年(2016年)8月15日、初公開された航空自衛隊に納入予定のF-35A初号機。写真:航空自衛隊

◎航空自衛隊F-35A、初号機ロールアウト
航空自衛隊F-4EJ改の後継として平成23年(2011年)12月19日に採用が決定したF-35Aの初号機が完成し、平成28年(2016年)9月23日、製造元の米ロッキード・マーチン社フォートワース工場(テキサス州)において、日本の政府関係者を招いてロールアウト式典が行われました。ロールアウトとは、完成後に工場から出て公表されることです。航空自衛隊は平成28年(2016年)〜平成36年(2024年)にかけて42機を導入する計画となっています。うち4機は米国にて製造され、残りの38機は国内の三菱重工において組み立てが行われます。
米国にて4機が製造され、その機体を使って航空自衛隊のパイロットが米軍パイロットとともに訓練を行い、早ければ来年度にも三沢基地(青森県)に配備される予定となっています。

運用者-
主要なバリエーションX-35A 試作機。通常離着陸型(CTOL)
X-35C 試作機。艦上離着陸型
X35B X35Aを改造した試作機。短距離離陸・垂直着陸型(STOVL)
生産数-
スペック型式-
全 幅10.67m
全 長15.70m
全 高4.6m
翼面積42.73㎡
自 重12,426kg
総重量/最大離陸重量31,800kg
発動機F135-100(A/12,746kg/AB 19,505kg)×1
最大速度2,220km/h(A)
実用上昇限度15,240m
戦闘行動半径1,092km
航続距離2,220km
乗 員1名
初飛行2000年10月24日(検証機) 2006年12月15日(A)
就 役-
退 役-
兵 装20mmバルカン砲×1
AIM-120 AMRAAM
AIM-9X Sidewinder
IRIS-T
MBDA Meteor
AGM-88 AARGM
AGM-158 JASSM
Brimstone missile
JAGM
Storm Shadow missile
SOM
JSM
LRASM

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