ノース・アメリカンF-86Dセイバー

North American F-86D Sabre
ノース・アメリカンF-86DセイバーNorth American F-86D Sabre

F-86の全天候型

良くも悪くも肝となった先進の火器管制装置

※文頭写真:全天候型へと進化したF-86Dセイバー。レーダーを収めるために突き出したノーズコーンの様子から、セイバードッグと呼ばれました。PHOTO USAF

ノースアメリカンF-86Dセイバーはアメリカ空軍のジェット戦闘機。ジェット戦闘機史上の傑作F-86セイバーを基本として開発された単座の全天候型戦闘機です。

第2次世界大戦が終わると東西の覇権争いが生じ、ソ連が開発する長距離爆撃機はアメリカの新たな脅威となっていました。これらに対処するためアメリカ本土を守る全天候型の戦闘機が必要になります。

本機は名機F-86セイバーを基本にするとはいえ共通部品は約20%にとどまったため、計画はYF-95Aという新しいナンバーで始まりましたが、途中からYF-86Dに変更されています。F-86の発展型とすることで議会の予算承認を円滑に進めるためだと思われます。

試作機は1949年12月に初飛行し1952年に就役しています。試作機初飛行から就役まで間が空いているのは、全天候型ならではの火器管制システム(FCS)の開発に手間取ったためです。

この時代の全天候型戦闘機は操縦士とは別にレーダーの操作員が登場するため、2名が搭乗する複座型が普通でしたが、F-86Dは火器管制システム(FCS)の自動化を計り単座型としていました。そのため、当時としては格段に複雑なシステム開発に挑んでいました。

このシステムはE-4と呼ばれ、AN/APG-36全天候型レーダーを中心にAPA-84コンピュータ、ロケット弾照準器などを総合的に運用し、自動攻撃能力を付与されていました。最大捜索距離は約56kmといわれています。

F-86Dセイバー。PHOTO USAF
F-86Dセイバー。PHOTO USAF

F-86と本機F-86Dの共通部品は約20%しかありませんから、全体のフォルムも異なっています。最も特徴的なのはセイバードッグという愛称の由来となった犬の鼻のような機首です。F-86の空気取入口(インテイク)だった部分に出っ張っている部分にはレーダーが収められ。空気取入口はその下に配置されています。

胴体はF-86よりも太くなり、エンジンはF-86A型のJ47-GE-13からJ47-GE-17に換装されています。上空を飛ぶソ連の長距離爆撃機からアメリカ本土を守る迎撃機という性質上、強力な上昇力と高速性能が必要であったためです。

アメリカ空軍の戦闘機としては初めて機銃が取り外されたことも大きな変更点です。爆撃機を撃墜するために武装は24連式の空対空ロケット弾であるマイティ・マウスのみとなっています。これを火器管制システム(FCS)により制御・発射します。

F-86Dは配備後も肝といえる複雑な電子機器やエンジンに関するトラブルが頻発し、整備にとても手間と金のかかる機体でした。それでも重要な機種と位置づけられていたため、改修や整備は続きました。

運用者アメリカ空軍
航空自衛隊
デンマーク空軍
フランス空軍
ドイツ空軍
ギリシャ空軍
ホンジュラス空軍
イタリア空軍
オランダ空軍
ノルウェー空軍
フィリピン空軍
トルコ空軍
タイ空軍
ベネゼエラ空軍
ユーゴスラビア空軍
韓国空軍
主要なバリエーション-
生産数2,847
スペック型式-
全 幅11.31m
全 長12.27m
全 高4.57m
翼面積26.75㎡
自 重6,132kg
総重量/最大離陸重量9,060kg
発動機J47-GE-17B(2,460kg/AB 3,400kg)×1
最大速度1,115km/h
実用上昇限度15,163m
戦闘行動半径450km
航続距離1,238km
乗 員1名
初飛行1949年12月22日
就 役1951年3月
退 役1967年
兵 装

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