ロナルド・レーガン

Ronald Reagan(CVN-76)
ロナルド・レーガンRonald Reagan(CVN-76)

アメリカ海軍原子力空母ニミッツ級の第9番艦

9隻目のニミッツ級原子力空母

※文頭写真:ハワイの真珠湾においてロナルド・レーガン(CVN-76)艦上からアリゾナ記念館に敬礼する船員たち。2005年1月22日。PHOTO USNAVY

ロナルド・レーガン(CVN-76)は、アメリカ海軍ニミッツ級航空母艦の第9番艦として2003年に就役しました。ニミッツ級原子力空母は、世界で初めて量産された原子力空母の級であり、世界最強アメリカ海軍の中でもそこに存在するだけで抑止力を発揮する、桁外れの存在です。

平成27年(2015年)5月に平成20年(2008年)以来の任務を終えて横須賀を出航したジョージ・ワシントン(CVN-73)に替わり2015年(平成27年)10月1日、横須賀に配備されました。キティ・ホーク(CVA-63)に替わってジョージ・ワシントン(CVN-73)が入港する際には、横須賀の海軍基地関係者はその準備に追われていましたが、今回は同級艦だけに落ち着いたものです。

発注は平成6年(1994年)12月8日、平成10年(1998年)2月12日に起工され、平成13年(2001年)3月4日に進水、平成15年(2003年)7月12日にアメリカ、カリフォルニア州コロナドの海軍基地において就役しています。

建造はアメリカ、バージニア州のニューポート・ニューズ造船所で行われました。同造船所は、アメリカ国内最大の民間造船所であり、全長333mという大きさに加えて最新の技術を駆使したニミッツ級空母を建造可能な唯一の造船所です。

全体のサイズは満載排水量10万1,400t、全長333m、全幅76.8m、吃水12.5m、速力30ノット+とこれまでのニミッツ級空母と同等です。機関も同じくウェスチングハウスA4W原子炉を2基、蒸気タービンを4基搭載し、4軸推進により26万shp(194MW)を出力します。建造費は45億ドル(約5,400億円/1ドル120円で換算)となっており、実験的要素もある次のジョージ・H・W・ブッシュ(CVN-77)の62億ドル(同約7,500億円)と比べると2,100億円程お安くなっています。

22か国が参加する環太平洋合同演習(RIMPAC)2014に参加するロナルド・レーガン(CVN-76)。2014年7月24日。PHOTO USNAVY
22か国が参加する環太平洋合同演習(RIMPAC)2014に参加するロナルド・レーガン(CVN-76)。2014年7月24日。PHOTO USNAVY

ロナルド・レーガン空母打撃群は、平成23年(2011年)3月11日、日本の観測史上最大のマグニチュード9.0を記録した東日本大震災において発生後の救援活動「トモダチ作戦」の主力として活躍しました。

アメリカ軍による東日本大震災の復興支援活動「トモダチ作戦」に感謝して表敬訪問する北澤俊美防衛大臣。2011年4月4日。PHOTO USNAVY
アメリカ軍による東日本大震災の復興支援活動「トモダチ作戦」に感謝して表敬訪問する北澤俊美防衛大臣。2011年4月4日。PHOTO USNAVY

ニミッツ級空母

ロナルド・レーガン(CVN-76)が9番艦となるアメリカ海軍のニミッツ級は世界最大となる軍艦の級であり、世界で初めて量産された原子力空母の級でもあります。

アメリカは原子力空母を1950年頃から計画しており、初の原子力空母となったエンタープライズ(CVN-65)は昭和32年(1957年)に発注され、昭和36年(1961年)に就役、平成24年(2012年)に退役して現在解体作業が行われています。

2006年6月28日、ハワイの真珠湾に入るロナルド・レーガン(CVN-76)。PHOTO USNAVY
2006年6月28日、ハワイの真珠湾に入るロナルド・レーガン(CVN-76)。PHOTO USNAVY

エンタープライズに次ぐ原子力空母となるニミッツ級のネームシップである第1番艦、ニミッツ(CVN-68)は昭和42年(1967年)に発注され、1972年に進水、昭和50年(1975年)に就役しました。その後平成21年(2009年)にジョージ・H・W・ブッシュ(CVN-77)が就役するまで34年間に渡り10隻が建造され、アメリカ海軍の主力として世界中に睨みをきかせています。ニミッツ級の耐用年数は45年〜50年といわれていますから、第10番艦のジョージ・H・W・ブッシュ(CVN-77)が退役する2060年頃まで第一線で活躍することとなります。

ロナルド・レーガン(CVN-76)とミサイル駆逐艦マッキャンベル(DDG-85)。PHOTO USNAVY
ロナルド・レーガン(CVN-76)とミサイル駆逐艦マッキャンベル(DDG-85)。PHOTO USNAVY

ニミッツ級の各部

船殻(せんこく=機関などを除く、船の骨格と外部を形成する構造主体)の特徴としては、まず第一にその大きさでしょうか。全長333m、全幅76.8m、満載排水量100,020t〜104,600tという巨体です。飛行甲板の面積は4.5エーカー(1.82ヘクタール)にもなります。ちなみに、戦艦大和は全長263m、全幅39m、満載排水量71,600tですから、その大きさがわかります。

空母の力となる艦載機数は最大90機ですが、艦上戦闘機56機、ヘリコプター15機、概ね70機程度を搭載して運用されています。最新の戦闘機を50機以上搭載する攻撃力は、例えばF-16を60機保有するノルウェー空軍に匹敵するものがあります。

太平洋グアム周辺において行われたアメリカ海軍の大規模演習、バリアント・シールド(勇敢な盾)に参加するエイブラハム・リンカーン(CVN-72)、キティ・ホーク(CVN-63)、ロナルド・レーガン(CVN-76)とそれぞれの空母打撃群。上空にはアメリカ空軍のステルス爆撃機、B-2スピリットが飛んでいます。2006年6月18日。PHOTO USNAVY
太平洋グアム周辺において行われたアメリカ海軍の大規模演習、バリアント・シールド(勇敢な盾)に参加するエイブラハム・リンカーン(CVN-72)、キティ・ホーク(CVN-63)、ロナルド・レーガン(CVN-76)とそれぞれの空母打撃群。上空にはアメリカ空軍のステルス爆撃機、B-2スピリットが飛んでいます。2006年6月18日。PHOTO USNAVY

そして、ニミッツ級では、これら艦載機が使用する燃料や武器・弾薬などの搭載量はそれまでの通常動力空母に比べて倍増しており、航空燃料約6,000t、航空機用の武器・弾薬約1,250tを搭載することができます。この搭載量のおかげで最大16日間という作戦行動を可能にしています。

近代空母の代名詞的な飛行甲板であるアングルド・デッキ、電波環境を良くするため後方に配置されたレーダーだらけの艦橋、船首吃水下にある赤い突起(バルバス・バウ)などが印象的です。

アングルド・デッキとは中心線から左舷側に8度以上(本艦の場合は9度4分)開いた着艦用の滑走帯のことです。飛行甲板が昔の空母のように直線のみによって構成されるのではなく、直線の他に斜めに滑走路があります。

アングルド・デッキは空母を変えた画期的な発明です。直線式飛行甲板の場合、前方に飛行機が駐機していると着艦に失敗した場合に接触事故を起こす他、オペレーションを阻害してしまいます。これに対して、アングルド・デッキは斜めに開いた着艦専用甲板を設けることにより、発艦・着艦のオペレーションを劇的に向上させました。

バルバス・バウは、船首吃水下につけられた赤い大きな突起。水をかき分けて進む際に生じる波の抵抗を打ち消すためのものです。

動力機関は、ウェスチングハウスA4W原子炉を2基、蒸気タービン4基を4軸により配し、26万馬力を出力します。エンタープライズでは4基であった原子炉は、技術の進歩により半分の2基となり、より効率的な艦内設計を可能にしています。

蒸気タービンは最高出力付近において最も効率良くなるため、全タービンを稼働して出力を調整するのではなく、4軸によりできるだけ最も効率的な最高出力付近で運用できるようにしています。

A4W原子炉の出力は商用原子炉の数分の1〜十数分の1といわれています。あらゆる過酷な環境下において確実な作動を要求される軍用機器は、民間のものより低性能であることがよくあります。例えば戦闘機のコンピュータは、最新のコンピュータよりもはるかに旧式のものが使われています。原子炉は主機関の他、蒸気カタパルトにも高圧蒸気を供給しています。

蒸気カタパルトは、アングルド・デッキとあわせて空母を劇的に変えた発明。航空機を蒸気の力によって射出する装置です。カタパルトの長さは約94mあり、約2秒で時速265km程度まで加速させることができます。ロナルド・レーガン(CVN-76)にはキティ・ホーク級のMk.13カタパルトの改良型であるMk.13-2が4基設置されています。

飛行機が着艦する際には飛行機の機体につけられたアレスティング・フックを艦のアレスティング・ワイヤーに引っ掛けて停止させます。ロナルド・レーガンにはMk.7-3と呼ばれるアレスティング・ワイヤーが採用されています。

主なレーダー

対空レーダーは、AN/SPS-49A(V)1が搭載されています。AN/SPS-49はアメリカのレイセオン社が開発した2次元対空レーダーです。レイセオン社は世界第一位のミサイルメーカーとして知られています。

探知距離はレーダー反射断面積(RCS=Radar Cross Section)1平米の目標に対して460km、探知高度は46,000m、精度は56mです。1975年に配備されて以来、改良を重ねながら世界各国の軍艦に搭載されている実績ある対空レーダーです。

ロナルド・レーガン(CVN-76)に搭載されているA(V)1型は1990年代に登場した改良型。目標毎の速度測定、クラッター抑制性能が向上するなどしています。クラッターとは、レーダースリーン上の乱れ(擾乱)のことです。

次世代のジェラルド・R・フォード級ではイージス艦に搭載されている多機能レーダーの最新型であるAN/APY-3が搭載される予定です。

射撃指揮レーダーはSPQ-9B。こちらも1970年代に就役した定評あるパルス・ドップラー・レーダーであり、水上目標と低高度の空中目標を対象とした捜索・追尾レーダー。探知距離は137km、探知高度は610mです。ロナルド・レーガン(CVN-76)に搭載されたB型はそれまでの2次元から3次元レーダーとなりました。3次元レーダーはビームを送受信することにより、方位と仰角を同時に走査することができます。

多くの艦上機を運用するニミッツ級は多数の航空管制レーダーを搭載しています。遠距離ではAN/URN-25戦術航法装置により誘導し、次いで92.6km〜55.56kmの探知距離を持つAN/APN-43航空管制捜索レーダーが航空機を補足します。さらに近づいてくるとAN/SPN-42やAN/SPN-46といった空母進入用レーダーが使われます。

空母への着艦は制御された墜落といわれる程難しく、海軍の飛行機乗り達は昔からこの技量を誇りにしていました。着艦は低速に強いレシプロ機でも難しかったわけですが、1950年代、戦闘機の動力がレシプロからジェットに変わると、レシプロ戦闘機より低速に弱かったジェット機の着艦はより難しさを増しました。

その後、空母が大型化すると同時に、先述のアングルド・デッキの発明、ジェット戦闘機の進歩、そして空母を劇的に進化させた光学着艦装置により離着艦の運用はスムースとなっていきます。

光学着艦装置は、縦横にライトを並べ、着艦の最終段階にある操縦士が進入角度や方向を判断することができる装置です。ニミッツ級空母にはより改良された改良型フランネルレンズ光学着艦装置が搭載されています。

主要兵装

いかに強力な艦上戦闘機群を持っていても、ニミッツ級空母はロナルド・レーガン(CVN-76)の約5,400億円(45億ドルを1ドル120円で換算)やジョージ・H・W・ブッシュの約7,500億円(65億ドルを1ドル120円で換算)のように大変高額であり、存在自体が政治力をも帯びており、撃沈されるということは現状ではあってはならないことです。

そのため、ニミッツ級空母が単独で行動することはなく、空母打撃群(CSG=Carrier Strike Group)という単位で行動し、艦上戦闘機を除いた兵装は控えめなものです。

構成は時代や状況により異なりますが、現在では原子力空母1隻、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦1隻、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦×2、ロサンゼルス級攻撃型原子力潜水艦1隻、補給艦1隻、総乗員は約7,000人というのが標準的な空母打撃群となっています。

ニミッツ級の主な兵装はMk.29 ESSMランチャー×2、RIM-116×2、ファランクスCIWS×4(9〜10番艦を除く)となっています。

Mk.29 ESSMランチャー
Mk.29 ESSMランチャーはRIM162 ESSM(Evolved Sea Sparrow Missile)艦対空ミサイルを発射します。速度はマッハ2.5〜3、射程距離は30〜50km、空母に搭載された射撃指揮装置(イルミネーター)からのレーダー波による誘導と、ミサイル自身のセンサによって自律誘導する慣性航法装置を併用したセミ・アクティブ・レーダー・ホーミング
(SARH=Semi Active Radar Homing)を採用しています。

ミサイル自身の能力のみに頼らないこの方式は、ミサイル開発の負担が軽減される反面、1目標に対してレーダーが1つ必要となり、飽和攻撃に対する同時多目標迎撃に弱点があったものの、近年では時間分割情報処理によりこの問題を解決しています。

RIM-116ローリング・エアフレーム・ミサイル
上記のRIM-162 ESSMが30〜50kmの対空迎撃を担当するのに対して、400m〜1.5kmという近距離を担当するのがRIM-116ローリング・エアフレーム・ミサイルです。こちらは艦のレーダーを活用せず、自身のレーダーのみによって対艦ミサイルを迎撃します。4枚の後翼によってゆるやかに回転しながら飛翔することから名前がつきました。艦のレーダーに依存せず、タ弾数近接迎撃が可能な21連裝の発射システムを2基搭載しています。

ロナルド・レーガン(CVN-76)の艦載機

アメリカ海軍の空母に艦載される航空機は、空母航空団(CVW=Carrier Air Wing)と名付けら編制されています。ロナルド・レーガン(CVN-76)に艦載されるのは第2空母航空団です。内訳は以下のとおり。

ロナルド・レーガン(CVN-76)の昇降機に載せられるアメリカ海兵隊第323戦闘攻撃飛行隊(VMFA-323)のF/A-18Cホーネット。かつて空母の昇降機は艦の中ほどにありましたが、このように外側にすることにより、より大型の戦闘機を運用できるようになりました。2011年3月2日。PHOTO USNAVY
ロナルド・レーガン(CVN-76)の昇降機に載せられるアメリカ海兵隊第323戦闘攻撃飛行隊(VMFA-323)のF/A-18Cホーネット。かつて空母の昇降機は艦の中ほどにありましたが、このように外側にすることにより、より大型の戦闘機を運用できるようになりました。2011年3月2日。PHOTO USNAVY

ロナルド・レーガン(CVN-76)艦上で発艦準備中のF/A-18E。PHOTO USNAVY
ロナルド・レーガン(CVN-76)艦上で発艦準備中のF/A-18E。PHOTO USNAVY

第2戦闘攻撃飛行隊(VFA-2)“バウンティ・ハンターズ”
FIGHTER ATTACK SQUADRON 2 “BOUNTY HUNTERS”
使用機:F/A-18F ブロック2

第137戦闘攻撃飛行隊(VFA-137)“ケストレルズ”
FIGHTER ATTACK SQUADRON 137 “KESTLELS”
使用機:F/A-18E

第86戦闘攻撃飛行隊(VFA-86)“サイドワインダーズ”
FIGHTER ATTACK SQUADRON 86 “SIDEWINDERS”
使用機:F/A-18E ブロック2

第34戦闘攻撃飛行隊(VFA-34)“ブルー・ブラスターズ”
FIGHTER ATTACK SQUADRON 34 “BLUE BLASTERS”
使用機:F/A-18C

第136電子攻撃飛行隊(VAQ-136)“ガントレッツ”
ELECTRONIC ATTACK SQUADRON 136 “GUNTLETS”
使用機:EA-18G

第113早期警戒飛行隊(VAW-113)“ブラック・イーグルズ”
CARRIER AIRBONE EALRY WARNING SQUADRON 113 “BLACK EAGLES”
使用機:E2-C 2K

第4ヘリコプター海上作戦飛行隊(HSC-4)“ブラック・ナイツ”
HELICOPTER SEA COMBAT SQUADRON 4 “BLACK KNIGHTS”
使用機:MH-60S

第78ヘリコプター海洋攻撃飛行隊(HSM-78)“ブルー・ホークス”
HELICOPTER MARITIME STRIKE SQUADRON 78 “BLUE HAWKS”
使用機:MH-60R

第30艦隊後方支援飛行隊・分遣隊(VRC-30 Det)“プロバイダーズ”
FLEET LOGISTICS SUPPORT SQUADRON 30 “PROVIDERS”
使用機:C-2A

種別原子力空母
運用者アメリカ海軍
ニミッツ級
製造者ノースロップ・グラマン・ニューポート・ニューズ造船所
母港アメリカ、カリフォルニア州、コロナド
排水量101,400t
全長333m
全幅76.8m
吃水12.5m
速力30ノット(55.6km/h)+
乗員約6,000名
発動機ウェスティングハウスA4W原子炉×2
蒸気タービン×4(260,000shp)
4軸
主な兵装RIM-7シースパロー短SAM×2
RIM-116REM×2
ファランクスCIWS
搭載機90機
進水2001年3月4日
就役2003年7月12日
退役-

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