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こんごう(DDG-173)

こんごう(DDG-173)

イージス護衛艦「こんごう型」1番艦

イージス武器システム、弾道ミサイル防衛(BMD)

※文頭写真:海上自衛隊
※「こんごう」(DDG-173)の性能など詳しい内容は「こんごう型」記事をご覧ください。

「こんごう」(DDG-173)は、海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう型」の1番艦です。平成2年(1990年)5月8日、三菱重工長崎造船所において起工され、平成3年(1991年)8月26日に進水、平成5年(1993年)3月25日に就役し、長崎県佐世保の第2護衛隊群第62護衛隊に編入され、その後改編により第1護衛隊群第5護衛隊(佐世保)の所属となりました。

艦名の「こんごう」は、日本海軍初の超弩級巡洋戦艦として第1次世界大戦、大東亜戦争において活躍した金剛型戦艦「金剛」(全長219.4m、排水量31,720t、乗員2,367名)以来となります。

戦艦「金剛」は建造当時世界屈指の戦艦であったことを考えると、海自初のイージス艦として建造された「こんごう」(DDG-173)が引き継ぐに相応しい艦名と思えます。イージス武器システムは、128以上の目標を同時に補足・追跡し、10以上の目標を同時迎撃可能といわれる強力な戦闘システムです。

本艦を含む「こんごう型」は弾道ミサイル防衛(BMD)を担っています。平成19年(2007年)12月18日、ハワイ・カウアイ島沖において弾道ミサイル防衛に使用するミサイルSM-3の迎撃演習を行ない、高度160kmの熱圏を飛翔する標的(ミサイル)の迎撃に成功しています。

平成24年(2012年)12月6日、翌平成25年(2013年)春と続けて北朝鮮が弾道ミサイルを発射実験を行った際には、破壊措置命令に従い出撃しました。

海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。写真:海上自衛隊

海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。写真:海上自衛隊
ハワイ沖でのミサイル発射実験のためハワイ真珠湾に停泊する、海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。平成19年(2007年)10月15日。写真:USNAVY
ハワイ沖でのミサイル発射実験のためハワイ真珠湾に停泊する、海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。平成19年(2007年)10月15日。写真:USNAVY
平成19年(2007年)12月18日、ハワイカウアイ島沖において弾道ミサイル迎撃実験のため、RIM-161スタンダードミサイル3(SM-3)を発射する、海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。写真:USNAVY
平成19年(2007年)12月18日、ハワイカウアイ島沖において弾道ミサイル迎撃実験のため、RIM-161スタンダードミサイル3(SM-3)を発射する、海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。写真:USNAVY
運用者海上自衛隊
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅21m
全 長161m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機COGAC方式/ゼネラル・エレクトリック(IHIライセンス生産)LM2500型ガスタービンエンジン(25,000ps)×4
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員300名
初飛行
就 役平成5年(1993年)3月25日
退 役-
兵 装

きりしま(DDG-174)

きりしま(DDG-174)

イージス護衛艦「こんごう型」2番艦

弾道ミサイル防衛を担うイージス護衛艦

※文頭写真:海上自衛隊
※「きりしま」(DDG-174)の性能など詳しい内容は「こんごう型」記事をご覧ください。

「きりしま」(DDG-174)は、海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう型」の2番艦です。平成4年(1992年)4月7日、三菱重工長崎造船所において起工され、平成5年(1993年)8月19日に進水、平成7年(1995年)3月16日に就役し、神奈川県横須賀の第1護衛隊群第61護衛隊に編入され、その後改編により第2護衛隊群第6護衛隊(横須賀)の所属となりました。

艦名の「きりしま」は、大日本帝国海軍金剛型戦艦の4番艦「霧島」を受け継いでいます。「霧島」は、大正4年(1915年)に就役し、大東亜戦争のソロモン海戦において沈没しました。

「きりしま」(DDG-174)が搭載するイージス武器システムは、128以上の目標を同時に補足・追跡し、10以上の目標を同時迎撃可能といわれる世界最強の戦闘システムです。本艦を含む「こんごう型」4隻はイージス武器システムを使用した弾道ミサイル防衛システム(BMD)能力を持っています。

弾道ミサイル防衛システム(BMD)はVLS垂直発射装置からSM-3(スタンダードミサイル3)を発射し、日本に飛来する弾道ミサイルを迎撃するものです。

海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊

海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
運用者海上自衛隊
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅21m
全 長161m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機COGAC方式/ゼネラル・エレクトリック(IHIライセンス生産)LM2500型ガスタービンエンジン(25,000ps)×4
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員300名
初飛行
就 役平成7年(1995年)3月16日
退 役-
兵 装

みょうこう(DDG-175)

みょうこう(DDG-175)

イージス護衛艦「こんごう型」3番艦

弾道ミサイル防衛能力を持つ高性能イージス艦

※文頭写真:海上自衛隊
※「みょうこう」(DDG-175)の性能など詳しい内容は「こんごう型」記事をご覧ください。

「みょうこう」(DDG-175)は、海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう型」の3番艦です。平成5年(1993年)4月8日、三菱重工長崎造船所において起工され、平成6年(1994年)10月5日に進水、平成8年(1996年)3月14日に就役し、京都府舞鶴の第3護衛隊群第63護衛隊に編入され、その後改編により第3護衛隊群第7護衛隊(舞鶴)の所属となりました。

本艦を含む「こんごう型」は弾道ミサイル防衛(BMD)を担っています。平成21年(2009年)、弾道ミサイル防衛(BMD)機能が付加され、ハワイ・カウアイ島沖において発射試験が行われ、模擬弾道ミサイルの迎撃に成功しました。

平成24年(2012年)12月6日、北朝鮮が弾道ミサイルを発射実験を行った際には、破壊措置命令に従い出撃しました。

海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)。写真:海上自衛隊

海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)から発射された弾道防衛用のSM-3(スタンダートミサイル3)。平成21年(2009年)10月28日、ハワイカウアイ島沖における実射実験。写真:USNSVY
海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)から発射された弾道防衛用のSM-3(スタンダートミサイル3)。平成21年(2009年)10月28日、ハワイカウアイ島沖における実射実験。写真:USNSVY
フィリピン海上において米海軍と訓練中の「みょうこう」(DDG-175)。となりを航行するのは米海軍原子力空母「ロナルド・レーガン」(CVN-76)。写真:USNAVY
フィリピン海上において米海軍と訓練中の「みょうこう」(DDG-175)。となりを航行するのは米海軍原子力空母「ロナルド・レーガン」(CVN-76)。写真:USNAVY
海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)。写真:海上自衛隊
運用者海上自衛隊
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅21m
全 長161m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機COGAC方式/ゼネラル・エレクトリック(IHIライセンス生産)LM2500型ガスタービンエンジン(25,000ps)×4
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員300名
初飛行
就 役平成8年(1996年)3月14日
退 役-
兵 装

ちょうかい(DDG-176)

ちょうかい(DDG-176)

イージス護衛艦「こんごう型」4番艦

弾道ミサイル防衛能力を持つ高性能イージス艦

※文頭写真:海上自衛隊
※「ちょうかい」(DDG-176)の性能など詳しい内容は「こんごう型」記事をご覧ください。

「ちょうかい」(DDG-176)は、海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう型」の4番艦です。平成7年(1995年)5月29日、石川島播磨重工東京第1工場において起工され、平成8年(1996年)8月27日に進水、平成10年(1998年)3月20日に就役し、長崎県佐世保の第4護衛隊群第64護衛隊に編入され、その後改編により第4護衛隊群第8護衛隊(佐世保)の所属となりました。

本艦を含む「こんごう型」は、イージス艦の開発国である米国以外で初めてのイージス艦です。また、イージス武器システムを使用した弾道ミサイル防衛(BMD)を担っています。
平成24年(2012年)12月6日、北朝鮮が弾道ミサイルを発射実験を行った際には、破壊措置命令に従い出撃しました。

海上自衛隊のイージス護衛艦「ちょうかい」(DDG-176)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「ちょうかい」(DDG-176)。写真:海上自衛隊

海上自衛隊のイージス護衛艦「ちょうかい」(DDG-176)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「ちょうかい」(DDG-176)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「ちょうかい」(DDG-176)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「ちょうかい」(DDG-176)。写真:海上自衛隊
「ちょうかい」(DDG-176)から発射された弾道ミサイル防衛用スタンダードミサイル3(SM-3)。ハワイカウアイ島沖において行われた発射実験の模様。平成20年(2008年)11月19日。写真:USNAVY
「ちょうかい」(DDG-176)から発射された弾道ミサイル防衛用スタンダードミサイル3(SM-3)。ハワイカウアイ島沖において行われた発射実験の模様。平成20年(2008年)11月19日。写真:USNAVY
運用者海上自衛隊
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅21m
全 長161m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機COGAC方式/ゼネラル・エレクトリック(IHIライセンス生産)LM2500型ガスタービンエンジン(25,000ps)×4
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員300名
初飛行
就 役平成10年(1998年)3月20日
退 役-
兵 装

こんごう型

こんごう型

海自初のイージス艦

日本の弾道ミサイル防衛を担うイージス艦

※文頭写真:環太平洋合同演習(RIMPAC)2014において航行中の「こんごう型」2番艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊

「こんごう型」は海上自衛隊初のイージス艦です。米海軍「アーレイ・バーク級」ミサイル駆逐艦をモデルに、三菱重工長崎造船所及び石川島播磨重工東京第1工場において建造されました。

イージス艦の母国、米国以外では日本が初めてのイージス艦保有国となりました。これは、ソ連の対艦飽和攻撃に脅威を感じた米国が、同盟国であり、自国空母の母港ともなっている日本にイージス武器システムを提供したものです。

昭和61年(1986年)・平成3年(1991年)の中期防衛力整備計画に基づいて、昭和63年(1989)に建造が始まり、平成5年(1993年)までに「こんごう」(DDG-173)、「きりしま」(DDG-174)、「みょうこう」(DDG-175)、「ちょうかい」(DDG-176)の4隻が建造されました。

※中期防衛力整備計画とは、日本における安全保障政策の指針、防衛計画大綱に従って策定される軍備の5か年計画です。状況により5年を待たずに変更されることもあります。

「こんごう型」建造計画が整備された昭和61年(1986年)〜平成3年(1991年)頃は冷戦(1945〜1989年)の終了前後にあたる激動の時代でした。

昭和60年(1985年)からソ連のゴルバチョフ書記長がペレストロイカ(政治改革運動)を推し進め、昭和61年(1986年)にはチェルノブイリ原子力発電所の事故、平成元年(1989年)ベルリンの壁が崩壊、中国天安門事件、平成3年(1991年)にはソ連崩壊という大事件が勃発しました。さらに同年、湾岸戦争が始まっています。

ソ連の対艦飽和攻撃への対抗策

日本のイージス艦建造が計画された頃は、冷戦の終末期。日米はソ連という強大な仮想敵国を持っていました。それゆえ、ソ連の対艦飽和攻撃による脅威が、日本がイージス艦を保有する大きな要因となったといわれます。対艦飽和攻撃とはどのようなもので、なぜソ連はその戦術を進めたのか、それを知るために簡単にソ連海軍の歴史を振り返ってみます。

ロシア海軍は、17世紀末のロシア帝国海軍創設に始まります。日露戦争頃には10隻の潜水艦を有する大海軍となっており、「南の土地、不凍港が欲しい」という、いかにも白人らしい徹底的な侵略嗜好により日露戦争となります。

自信満々で戦ったロシア帝国海軍でしたが、黄海海戦、日本海海戦などに大敗、大日本帝国海軍によってほとんど壊滅という状態に追い込まれます。そして、大正6年(1917年)のロシア革命によりロシア帝国海軍は終焉を迎え、ソ連海軍へと生まれ変わります。

ソ連海軍は陸軍戦力に重点を置いたため、海軍は沿岸警備という面が強く、そのために有効な潜水艦の増強を図ります。第2時世界大戦後も潜水艦の増強を進め、弾道ミサイル搭載艦などは西側自由陣営に先んじて配備しました。

米国は航空母艦を中心とした洋上戦力の強化を進め、ソ連は地理的条件から陸上戦力を中心に戦力を強化し続けます。昭和37年(1962年)のキューバ危機に際して、外洋における米国洋上戦力の力を思い知らされたソ連は、その対抗策に迫られ、対艦ミサイルによる飽和攻撃という戦術を進めます。

対艦ミサイルによる飽和攻撃は、大型爆撃機、水上艦、潜水艦などから一斉に米空母めがけて対艦ミサイルを発射し、空母部隊の防空能力を超えて撃沈しようというものです。ソ連はTu-22中距離爆撃機、長距離空対艦ミサイルKh-22(次第飛翔速度マッハ4.6、射程600km)を投入し、西側自由陣営の大きな脅威となりました。

対艦飽和攻撃に直面した場合、従来ような人の手に多くを負った戦闘システムでは対処しきれません。この脅威が日本のイージス艦保有に繋がりました。

128以上の目標を補足・追跡し、10以上の標的を同時に迎撃するイージス武器システム

「こんごう型」に搭載されたイージス武器システムは多機能レーダーAN/SPY-1Dを中心に各種レーダー、センサー、アンテナ、データリンクなどの情報を集約し、最適な戦闘をオペレートするものであり、人間が個々に情報収集し、判断、攻撃という時代とは比べ物にならない戦闘力を発揮します。128以上の目標を同時に補足追跡し、10以上の目標を同時に迎撃する能力を持っているといわれます。そして、このイージス武器システムを搭載した艦艇はイージス艦といわれます。

「こんごう型」2番艦「きりしま」(DDG-174)の艦橋。イージス武器システムの中核をなす多機能レーダーAN/SPY-1Dが納められています。写真:海上自衛隊
「こんごう型」2番艦「きりしま」(DDG-174)の艦橋。イージス武器システムの中核をなす多機能レーダーAN/SPY-1Dが納められています。写真:海上自衛隊

日本の海上自衛隊は、平成28年(2016年)現在、「こんごう型」4隻、「あたご型」2隻、計6隻のイージス艦を保有しており、これは米国に次ぐものです。さらに、平成29年・30年に計2隻のイージス艦建造計画があり、これが就役するとイージス艦8隻体制となります。

弾道ミサイル防衛を担う「こんごう型」

1998年(平成10年)北朝鮮がテポドン1号の打ち上げを強行したため、弾道ミサイル防衛(BMD)の日米共同開発が始まり、日本はイージス艦とPAC3による多層防衛システムを構築しました。

「こんごう型」は約340億円の予算によりBMD能力が付与され、続いて「あたご型」にも同様に改修がなされたため、横須賀の米軍基地を母港とする米海軍イージス艦とあわせ、10隻以上のBMD能力を持つイージス艦が日本にあることとなります。

平成18年(2006年)の北朝鮮による発射実験の際には、こんごう型の「こんごう」(DDG-173)と「みょうこう」(DDG-175)が日本海に展開し、テポドン1号の探知・追尾に成功しました。

平成19年(2007年)12月18日、ハワイカウアイ島沖において弾道ミサイル迎撃実験のため、RIM-161スタンダードミサイル3(SM-3)を発射する、海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。写真:USNAVY
平成19年(2007年)12月18日、ハワイカウアイ島沖において弾道ミサイル迎撃実験のため、RIM-161スタンダードミサイル3(SM-3)を発射する、海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。写真:USNAVY

武装

◎54口径127mm単裝速射砲
艦の前方に設置されている艦載砲。イタリアのオート・メラーラ社が開発した艦載砲システムです。昔の戦艦は艦載砲を主力としていましたが、今や軍艦における戦闘力の中心はすっかりミサイルと電子機器となりました。1950年代〜60年代のミサイル万能論全盛時には、米海軍でも艦砲を搭載しないミサイル巡洋艦が建造されたこともあります。

しかし艦砲の優れたコスト、近距離戦闘での利便性などから、現在では最新イージス艦においても艦砲が搭載されています。昔の戦艦が搭載していた巨大な艦砲とは異なり、単裝で口径も小さくなっていますが、技術の進歩により高性能化しています。本艦の「54口径127mm単裝速射砲」は1分間に45発を発射し、有効射程は約30km、遠隔操作化され砲塔内は無人です。

◎高性能20mm機関砲(CIWS)
54口径127mm単裝速射砲よりも近距離、約1.5kmを有効射程とする米国、レイセオンシステムズ社が開発した、近接防御火器システム(CIWS=Close In Weapon Systtem)です。半世紀以上前から使われているM61A1という20mmガトリング砲を、レーダーと火器管制システムにより完全自動化したものです。毎分3,000〜4,500発を発射します。

◎Mk41 VLS
打撃力の中心となるミサイルを発射するのはMk41 VLS(Vertical Launching System)と呼ばれる米国製のミサイル発射機です。日本語ではMk41垂直発射システムといい、その名のとおり、ミサイルを縦に1発収納した筒が整然と並んでおり、垂直にならんだ蜂の巣のようです。

「こんごう型」は艦首甲板に29筒(セル)、艦尾甲板に61筒(セル)、計90筒(セル)が裝備されています。発射する場合には、その筒の先端がパカっと空いて、そのまま発射されます。VLSからは、SM(スタンダードミサイル)-2、SM-3(弾道ミサイル防衛用)という対空ミサイル及び、VLA(VL-Asroc)という対潜ミサイルを発射します。

SM(スタンダードミサイル)は、西側自由諸国で標準的に利用される米国製ミサイル。主に「あたご型」のようなイージス艦に搭載され、飛来するミサイルや航空機を撃墜するために使用されます。

SM-2は通常のミサイルや航空機を迎撃し、SM-3は弾道ミサイル防衛に使われます。敵戦闘機や敵艦から発射されたミサイルが「あたご型」に襲来した場合にはSM-2で粉砕し、弾道ミサイルや偵察衛星などは、SM-3によって撃ち落とします。ちなみにSM-3の価格は1発約20億円です。

SM-2にはいくつかのバリエーションがありますが、概ね全長4.72m、直径0.35m、重量700g、射程距離70〜160kmといったスペックです。

弾道ミサイル防衛用のSM-3は、北朝鮮による度重なるミサイル発射実験を契機に開発・国産化が進められており、現在ではSM-3 Block2Aの生産体制の準備が予算化されています。当初のSM-3は射程距離700kmと中距離弾道ミサイルへの対処が限定的でしたが、Block2Aではこれに対処し、射程2,500km、最高高度1,500kmと飛躍的に性能向上がなされています。

VLA(VL-Asroc)はMk.41垂直発射システム(VLS)から発射するアスロック対潜ミサイル。射程距離は22km程です。

◎ハープーン4連装発射機
ハープーンは、米国マクドネル・ダグラス社が開発した対艦ミサイル。30以上の自由諸国が採用する代表的な対艦ミサイルです。全長は種類により差がありますが約4m、直径は約34cm、射程距離は124km〜315km、速度マッハ0.85で飛翔します。

発射されると自身のセンサーにより慣性誘導により飛翔し、目標近くになって自らのレーダーを作動させ、目標艦に向かいます。

◎68式3連装短魚雷発射管
米海軍が開発した水上艦用魚雷発射管。上記VLSから、VLAアスロックという対潜ミサイルが発射できるのだが、安価かつ信頼性が高いため裝備が続いています。

◎電子戦装置
「こんごう型」には技術研究本部が開発した国産のNOLQ-2電波探知妨害装置が裝備され、電波探知と電波妨害の両方を行ないます。「あたご型」にも改良型NOLQ-2Bが裝備されていることから、日本イージス艦の標準といってもいいでしょう。

◎艦載機
ハンガー(格納施設)はないものの、後部にはヘリコプター甲板があり給油機能ももっています。

運用者海上自衛隊
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅21m
全 長161m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機COGAC方式/ゼネラル・エレクトリック(IHIライセンス生産)LM2500型ガスタービンエンジン(25,000ps)×4
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員300名
初飛行
就 役平成5年(1993年)〜平成10年(1998年)
退 役
兵 装

あたご(DDG-177)

あたご(DDG-177)

イージス護衛艦「あたご型」1番艦

海自最強のイージス護衛艦

※「あたご」(DDG-177)の性能について詳しくは「あたご型」の記事をご覧ください。
※文頭写真:海上自衛隊

「あたご」(DDG-177)は、海上自衛隊のイージス護衛艦「あたご型」1番艦。海上自衛隊には「あたご型」の他に「こんごう型」4隻のイージス艦があり、計6隻のイージス艦が配備されています。現在計画中の新型イージス護衛艦が就役するまでは、海上自衛隊最強のミサイル護衛艦となります。

新型イージス艦は、平成30年(2018年)から2隻が進水しますから、これが成ればイージス艦8隻体制となります。当初、「こんごう型」のみが弾道ミサイル防衛(BMD)能力を持っていましたが、本艦も平成28年(2016年)に能力が付与されました。。

これらイージス弾道ミサイル迎撃システムに搭載する、弾道ミサイル迎撃用ミサイルSM-3の国産化も進んでおり、THAAD(Terminal High Altitude Area Defense missile=終末高々度防衛ミサイル)、PAC3(Patriot Advanced Capability 3)とともに、日本の領空・領土を犯そうとする輩を迎え撃ちます。

平成29年11月、珍しく横須賀に停泊する「あたご」(DDG-177)。
平成29年11月、珍しく横須賀に停泊する「あたご」(DDG-177)。

「あたご」(DDG-177)の起工は平成16年(2004年)4月5日、進水は平成17年(2005年)8月24日、就役は平成19年(2007年)3月15日、造船は三菱重工業長崎造船所です。京都府の愛宕山にちなんで名づけられました。就役翌年の平成20年(2008年)、同艦が漁船と衝突するという事故がありました。

平成29年11月、珍しく横須賀に停泊する「あたご」(DDG-177)。
平成29年11月、珍しく横須賀に停泊する「あたご」(DDG-177)。

「あたご」(DDG-177)は、全長165m、全幅21m、満載排水量10,000トン(基準排水量7,700トン)、就役後は第3護衛隊群第63護衛隊(舞鶴)に編入、組織改編にともない平成20年(2008年)第3護衛隊群第3護衛隊(舞鶴)となりました。

「あたご」(DDG-177)。写真:海上自衛隊
「あたご」(DDG-177)。写真:海上自衛隊
2011年11月4日、太平洋上において日米年次訓練にのぞむ「あたご」(DDG-177)。写真USNAVY
2011年11月4日、太平洋上において日米年次訓練にのぞむ「あたご」(DDG-177)。写真USNAVY
見上げている大きな構造物にはイージス武器システムの中心となるSPY-1Dレーダーがあります。現代艦には、その他にも様々なレーダーやソナー、情報処理端末など数多くの電子機器が搭載されています。写真:海上自衛隊
見上げている大きな構造物にはイージス武器システムの中心となるSPY-1Dレーダーがあります。現代艦には、その他にも様々なレーダーやソナー、情報処理端末など数多くの電子機器が搭載されています。写真:海上自衛隊
運用者海上自衛隊
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅21m
全 長165m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機COGAC方式/ゼネラル・エレクトリック(IHIライセンス生産)LM2500-30型ガスタービンエンジン(25,000ps)×4
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員300名
初飛行
就 役平成19年(2007年)3月15日
退 役-
兵 装

あしがら(DDG-178)

あしがら(DDG-178)

「あたご型」イージス護衛艦の2番艦

海自のイージス護衛艦「あたご型」2番艦

※「あしがら」(DDG-178)の性能等について詳しくは「あたご型」の記事をご覧ください。
※文頭写真:海上自衛隊

海上自衛隊の「あしがら」(DDG-178)は、平成28年現在、海自最強の軍艦です(「いずも型」、「ひゅうが型」はヘリ空母型ですから除きます)。イージス武器システムとそれを利用したイージス弾道防衛システムを備えています。

全長165m、全幅21m、基準排水量7,700トン(満載排水量10,000トン)、石川島播磨重工がライセンス生産したガスタービンエンジン4基を2軸推進方式で配置し10万馬力を発します。

起工は平成17年(2005年)4月6日、平成18年(2006年)8月30日に進水、平成20年(2008年)3月13日に就役、佐世保の第2護衛隊群第2護衛隊に編入されました。造船は三菱重工長崎造船所です。

ミサイル発射のメイン裝備となるのは、Mk.41VLS(Vertical Launching System=垂直発射装置)です。甲板に縦に埋め込まれた筒が整然と並び、ミサイルはこの筒(発射装置)に収まっています。発射の際には蓋がパカっと空いて発射、ミサイルが飛び出します。

使用するミサイルはSM-2(スタンダードミサイル2)とSM-3です。SM-2は通常のミサイルや航空機を迎撃し、SM-3は弾道ミサイル防衛に使用します。VLS(垂直発射装置)は8セル一組になっており、「あしがら」(DDG-177)には96セルが設置されています。

就役当初はSM-3を使用した弾道ミサイル防衛能力が備わっておりませんでしたが、平成24年(2012年)に予算化され、平成30年(2018年)に能力付与が完了することとなっています。

他にも単装砲、機関砲、対艦誘導弾、魚雷発射管などを備え、ヘリコプター1機が搭載できます。これらの火器はイージス武器システムにより統括され、人力で目標の補足から攻撃までを行っていた時代とは隔世の戦闘力を発揮します。一般的には128以上の目標を同時に補足・追跡し、10以上の目標を同時に迎撃できるといわれています。

「あしがら」(DDG-178)のような現代における一流の軍艦は、各種のレーダー、センサー、ソナー、データ・リンクによる大量の情報をコンピュータ化して迅速・確実に処理し、武器を統制するイージス武器システムが精密に迎撃します。

こういったハイテク化は日進月歩で進んでいますが、それとともにサイバー攻撃の脅威も大きくなっています。すでにアメリカと中国は激しくやりあっていると聞きます。海上自衛隊が誇る艦艇が能力を発揮するためには、サイバー攻撃を跳ね返し、場合によっては防衛のために攻撃しなくてはいけません。艦艇の裝備とともに、自衛隊が世界一のサイバー部隊を保持してほしい、自衛隊ならやってくれると思っています。

「あしがら」(DDG-178)。写真:海上自衛隊
「あしがら」(DDG-178)。写真:海上自衛隊

「あしがら」(DDG-178)。写真:海上自衛隊
「あしがら」(DDG-178)。写真:海上自衛隊
「あしがら」(DDG-178)。写真:海上自衛隊
「あしがら」(DDG-178)。写真:海上自衛隊
「あしがら」(DDG-178)。写真:海上自衛隊
「あしがら」(DDG-178)。写真:海上自衛隊
運用者海上自衛隊
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅21m
全 長165m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機COGAC方式/ゼネラル・エレクトリック(IHIライセンス生産)LM2500-30型ガスタービンエンジン(25,000ps)×4
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員300名
初飛行
就 役平成20年(2008年)3月13日
退 役-
兵 装

あたご型

あたご型

弾道ミサイル防衛を担う日本のイージス艦

日本海軍力の中核を担う1隻

※文頭写真:「あたご型」2番艦の「あしがら」(DDG-178)。写真:海上自衛隊

「あたご型」護衛艦は、平成16年(2004年)から平成20年(2008年)にかけて、三菱重工長崎造船所において建造された海上自衛隊のミサイル護衛艦です。

1番艦の「あたご」(DDG-177)、2番艦「あしがら」(DDG-178)の2艦が就役しています。建造費用は1隻約1,500億円。全長165m、全幅21m、満載排水量10,000トン、ステルス性を付与した形状が特徴的です。

イージス武器システム、イージス弾道ミサイル防衛システムを搭載した(追加搭載中)、世界トップクラスの強力な軍艦といっていいでしょう。

あたご(DDG-177)。イージス武器システムを搭載した大型艦です。写真:海上自衛隊
あたご(DDG-177)。イージス武器システムを搭載した大型艦です。写真:海上自衛隊

米国が開発したイージス武器システムを中心に、多数のハイテク機器・兵器を搭載したいわゆるイージス艦は、現在世界最強の軍艦です。そのイージス艦の中でも最強といえるのが、母国米国のタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦(27隻)、次いで同じくアーレイバーグ級ミサイル駆逐艦(68隻・建造中含む)であり、このアーレイバーグ級をモデルに造られたのが日本のイージス艦、「こんごう型」及び本級「あたご型」です。

「あたご型」と前級「こんごう型」の大きな相違点は、イージスシステムの新型化、ヘリコプター格納庫の設置等ヘリコプター運用能力強化、ステルス能力強化、機関出力強化といったところです。

あたご(DDG-177)の艦橋。イージス武器システムの中核を担うSPY-1レーダーが格納されています。また艦橋前方の甲板には垂直発射装置(VLS)がみえます。写真:海上自衛隊
あたご(DDG-177)の艦橋。イージス武器システムの中核を担うSPY-1レーダーが格納されています。また艦橋前方の甲板には垂直発射装置(VLS)がみえます。写真:海上自衛隊

あたご(DDG-177)の艦橋後方は、艦橋後部側面に付けられたレーダーに干渉しないために角度がつけられています。構造物後部甲板には垂直発射装置(VLS)があります。写真:海上自衛隊
あたご(DDG-177)の艦橋後方は、艦橋後部側面に付けられたレーダーに干渉しないために角度がつけられています。構造物後部甲板には垂直発射装置(VLS)があります。写真:海上自衛隊

「あたご型」に続く新型のイージス護衛艦は、平成27年度計画において1番艦1,680億円、翌28年度計画では2番艦1,675億円の予算が計上されています。予定では平成30年(2018年)には1番艦が進水しますから、我々一般人も各種報道でお目にかかれるはずです。新型イージス艦2隻が就役すると、日本のイージス艦は8隻体制となります。

「あたご型」は弾道ミサイル防衛を想定した艦ではありますが、当初は能力が付与されておりませんでした。平成24年度の予算において組み込まれており、予定通りに進めば新型イージス艦が進水する平成30年に弾道ミサイル防衛(BMD)能力の付与が完了することとなっています。

米国、日本以外では、スペイン(5隻)、ノルウェー(5隻)、韓国(3隻)、オーストラリア(建造中1隻、計画2隻)がイージス艦を保有しています。いずれもコストダウン、簡易化が施されており、おそらく能力的には日本のイージス艦には及ばないものと思われます。韓国のイージス艦については、あまりにお粗末な報道が散見され、それらを見る限り、イージス艦としてというより、そもそも軍艦としてきちんと行動できるかどうか疑問を持たざるを得ません。

あたご(DDG-177)。写真:海上自衛隊
あたご(DDG-177)。写真:海上自衛隊

兵装

◎VLS
打撃力の中心となるミサイルを発射するのはMk41 VLS(Vertical Launching System)と呼ばれる米国製の発射機です。日本語ではMk41垂直発射システムといい、その名のとおり、ミサイルを縦に1発収納した筒が整然と並んでおり、垂直にならんだ蜂の巣のようです。

垂直発射システム(VLS=Vertical Launching System)。写真:海上自衛隊
垂直発射システム(VLS=Vertical Launching System)。写真:海上自衛隊

8筒(セル)を1単位としており、「あたご型」には64筒+32筒、計96筒が裝備されています。発射する場合には、その筒の先端がパカっと空いて、そのまま発射されます。VLSからは、SM(スタンダードミサイル)-2、SM-3という対空ミサイル及び、VLA(VL-Asroc)という対潜ミサイルを発射します。

SM(スタンダードミサイル)は、西側自由諸国で標準的に利用される米国製ミサイル。主に「あたご型」のようなイージス艦に搭載され、飛来するミサイルや航空機を撃墜するために使用されます。

SM-2は通常のミサイルや航空機を迎撃し、SM-3は弾道ミサイル防衛に使われます。敵戦闘機や敵艦から発射されたミサイルが「あたご型」に襲来した場合にはSM-2で粉砕し、弾道ミサイルや偵察衛星などは、SM-3によって撃ち落とします。

SM-2にはいくつかのバリエーションがありますが、概ね全長4.72m、直径0.35m、重量700g、射程距離70〜160kmといったスペックです。

弾道ミサイル防衛用のSM-3は、北朝鮮による度重なるミサイル発射実験を契機に開発・国産化が進められており、現在ではSM-3 Block2Aの生産体制の準備が予算化されています。当初のSM-3は射程距離700kmと中距離弾道ミサイルへの対処が限定的でしたが、Block2Aではこれに対処し、射程2,500km、最高高度1,500kmと飛躍的に性能向上がなされています。

VLA(VL-Asroc)はMk.41垂直発射システム(VLS)から発射するアスロック対潜ミサイル。射程距離は22km程です。

◎機関砲、単装砲
機関砲は20mm、CIWS(Close In Weapon System)というシステムにより射撃統制されます。有効射程は数km程度であり、至近距離にきたミサイルや航空機などを自動的に補足し射撃します。最後の防御手段というところです。

62口径5インチ単装砲(Mk.45mod4)は、見た目はみんなが知っている戦艦の砲という外観ですが、現代の単装砲は完全自動化されています。1分間に20発を発射でき、最大射程は37kmです。

62口径5インチ砲(Mk.45 5インチ単装砲)。写真は胴型を搭載した米海軍のイージス・ミサイル駆逐艦、アーレイ・バーク級「ベンフォールド」のものです。写真:USNAVY
62口径5インチ砲(Mk.45 5インチ単装砲)。写真は胴型を搭載した米海軍のイージス・ミサイル駆逐艦、アーレイ・バーク級「ベンフォールド」のものです。写真:USNAVY

◎90式艦対艦誘導弾
「あたご型」には国産の90式艦対艦誘導弾が搭載されます。上述のVLSからではなく、独自の4連装発射筒(2基)から発射されます。防衛省技術研究本部と三菱重工により開発され、全長約5m、重量660kg、時速1,150kmにて飛翔し、射程距離は150kmです。

90式艦対艦誘導弾は発射後すぐにシースキミング式巡航に移行します。シースキミングとは、海面スレスレを飛行することで地球の丸みを利用し、敵のレーダーに発見され難くする戦術です。飛行機が対艦攻撃する際にも用いられます。

◎68式3連装短魚雷発射管
米国製Mk.32単魚雷発射管を日本がライセンス生産したものです。米国製Mk.44、M.k46、73式短魚雷などの魚雷を発射します。「あたご型」では2基が裝備されています。

艦載機

「あたご型」は「こんごう型」を前級としていますが、「こんごう型」から「あたご型」への更新にあたり最も大きな変更点であったのが、航空機運用能力の強化です。「こんごう型」ではヘリコプター甲板のみでしたが、「あたご型」ではSH-60J/K哨戒ヘリコプターを1機搭載可能な格納庫が設けられています。

日米のような強力な艦隊にとっては唯一の大きな脅威は潜水艦であり、そのため、対潜哨戒ヘリコプターの搭載は推進される傾向にあります。

イージス武器システム

「あたご型」はイージス武器システム(ベースライン7.1J)という戦闘システムが搭載されています。これは、多機能レーダーAN/SPY-1D(v)を中心に各種レーダー、センサー、アンテナ、データーリンクなどの情報を集約し、最適な戦闘をオペレートするものであり、人間が個々に情報収集し、判断、攻撃という時代とは比べ物にならない戦闘力を発揮します。128以上の目標を同時に補足追跡し、10以上の目標を同時に迎撃する能力を持っているといわれます。

運用者海上自衛隊
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅21m
全 長165m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機COGAC方式/ゼネラル・エレクトリック(IHIライセンス生産)LM2500-30型ガスタービンエンジン(25,000ps)×4
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員300名
初飛行
就 役平成19年(2007年)〜平成20年(2008年)
退 役-
兵 装

ラッセン

Lassen(DDG-82)
ラッセンLassen(DDG-82)

フライト2A能力向上型、イージス駆逐艦

横須賀を母港とする第7艦隊に所属

ラッセン(2001-)は、イージス・システムを搭載したアメリカ海軍のアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の32番艦です。1998年8月に起工され、1999年10月に進水、2001年4月に就役しました。製造費は約800億円(1ドル100円として)。横須賀を母港とする第7艦隊に所属しています。

南シナ海において訓練中のラッセン(DDG-82)。マーク45 5インチ砲を発射しています。PHOTO USnavy
南シナ海において訓練中のラッセン(DDG-82)。マーク45 5インチ砲を発射しています。PHOTO USnavy

同級は弾道ミサイル防衛の一翼を担う高性能艦であり、アメリカ海軍の優秀な軍艦の中でも最も成功を収めたといえ、現在も製造が続き70隻以上が建造される予定となっています。

最新鋭イージス駆逐艦らしく、数多くのアンテナや電子設備に囲まれた艦橋。手前のCIWSからは硝煙が漂っています。2015年9月16日。PHOTO USnavy
最新鋭イージス駆逐艦らしく、数多くのアンテナや電子設備に囲まれた艦橋。手前のCIWSからは硝煙が漂っています。2015年9月16日。PHOTO USnavy

アメリカ海軍のアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦は他の兵器と同じく随時能力向上が進められており、ラッセンは最新のフライト2Aという能力が付与されています。大きな特長は警戒能力を高めるヘリを2機搭載するための格納庫が設置されていることです。

ラッセン(DDG-82)から離艦するMH-60Rシーホーク。同艦に搭載されるヘリは能力を飛躍的に高めてくれます。PHOTO USnavy
ラッセン(DDG-82)から離艦するMH-60Rシーホーク。同艦に搭載されるヘリは能力を飛躍的に高めてくれます。PHOTO USnavy

また、ミサイルを発射するVLS(Vertical Launch Systems)はこれまでの90セルから96セルに増強されています。VLSからはトマホーク(対地・対艦巡航ミサイル)、スタンダードSAM-2(艦対空ミサイル)、ESSM SAM(艦対空ミサイル)、アスロック(艦対潜ミサイル)などを発射することができます。

対地巡航ミサイルトマホークを発射するラッセン(DDG-82)。PHOTO USnavy
対地巡航ミサイルトマホークを発射するラッセン(DDG-82)。PHOTO USnavy

至近距離においてミサイルや航空機を迎撃する兵器として2基の20mmファランクス シウス(CIWS=Close In Weapon System)が搭載されています。日本語でいうと近接防御火器システムとなります。

ファランクスCIWSを発射するラッセン(DDG-82)。PHOTO USnavy
ファランクスCIWSを発射するラッセン(DDG-82)。PHOTO USnavy

ラッセン(DDG-82)艦上の射撃訓練。PHOTO USnavy
ラッセン(DDG-82)艦上の射撃訓練。PHOTO USnavy

中国の侵略進む南シナ海に派遣される

中国は南シナ海において、国際法において領海や領域の根拠とすることが認められない、満潮時に水没する岩礁を埋め立て、勝手に領海として権利を主張しています。これに対してアメリカは2015年(平成27年)10月27日、「航行の自由作戦」と題して本艦を派遣。中国が勝手に領海であると主張している人工島の12海里内を航行しました。

運用者アメリカ海軍
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅20.4m
全 長155m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機LM2500-30ガスタービンエンジン(27,000shp)×4基(2軸)
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員
初飛行
就 役2001年4月21日
退 役-
兵 装

アンティータム

Antietam(CG-54)
アンティータムAntietam(CG-54)

アメリカ海軍イージス巡洋艦

シャイロー(CG-67)とともに横須賀を母港とするイージス巡洋艦

アンティータム(1986-)は、イージス・システムを搭載したアメリカ海軍のタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の8番艦です。1984年11月に起工され、1986年2月に進水、1987年6月に就役しました。

2013年2月よりカウペンス(CG-63)と交代し、横須賀を母港としています。

タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦については、ポート・ロイヤルの項を参照ください。

運用者アメリカ海軍
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅16.8m
全 長173m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機ゼネラル・エレクトリック LM2500×4(80,000shp)、2軸推進
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員
初飛行
就 役1987年6月6日
退 役-
兵 装