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カール・ヴィンソン

カール・ヴィンソン

※文頭写真:2012年5月4日、太平洋を航行中のカール・ヴィンソン(CVN-70)。写真:米海軍

カール・ヴィンソン(CVN-70)は、アメリカ海軍ニミッツ級航空母艦の第3番艦として昭和57年(1982年)に就役しました。ニミッツ級原子力空母は、世界で初めて量産された原子力空母の級であり、中でもそこに存在するだけで抑止力を発揮します。世界の形をつくっているといっても大げさではない桁外れの存在です。

発注は昭和49年(1974年)4月5日、昭和50年(1975年)10月11日に起工され、昭和55年(1980年)3月15日に進水、昭和57年(1982年)3月13日に就役、カリフォルニア州サンディエゴのコロナド海軍基地を母港としています。

建造はアメリカ、バージニア州のニューポート・ニューズ造船所で行われました。同造船所は、アメリカ国内最大の民間造船所であり、全長333mという大きさに加えて最新の技術を駆使したニミッツ級空母を建造可能な唯一の造船所です。

全体のサイズは満載排水量10万1,200t、全長333m、全幅76.8m、吃水12.5m、速力は30ノット+(時速56km以上)と他のニミッツ級空母と同等です。機関も同じくウェスチングハウスA4W原子炉を2基、蒸気タービンを4基搭載し、4軸推進により26万shp(194MW)を出力します。

アメリカは初の原子力空母となったエンタープライズ(CVN-65)を昭和32年(1957年)に発注、昭和36年(1961年)に就役し、平成24年(2012年)に退役して現在解体作業が行われています。

エンタープライズに次ぐ原子力空母となるニミッツ級のネームシップである第1番艦、ニミッツ(CVN-68)は昭和50年(1975年)に就役しました。その後平成21年(2009年)にジョージ・H・W・ブッシュ(CVN-77)が就役するまで34年間に渡り10隻が建造され、現在でもアメリカ海軍の主力として世界中に睨みをきかせています。

2013年2月15日、太平洋において精密着陸システム(PALS=Precision Approach Landing System)の検証を行うカール・ヴィンソン(CVN-70)。写真:米海軍
2013年2月15日、太平洋において精密着陸システム(PALS=Precision Approach Landing System)の検証を行うカール・ヴィンソン(CVN-70)。写真:米海軍
2013年2月15日、太平洋において精密着陸システム(PALS=Precision Approach Landing System)の検証を行うカール・ヴィンソン(CVN-70)。写真:米海軍
2013年2月15日、太平洋において精密着陸システム(PALS=Precision Approach Landing System)の検証を行うカール・ヴィンソン(CVN-70)。写真:米海軍

戦闘力

全長333m、全幅76.8m、満載排水量100,020t〜104,600t、乗員約5,000名という巨体が生み出す飛行甲板の面積は4.5エーカー(1.82ヘクタール)にもなります。ちなみに、戦艦大和は全長263m、全幅39m、満載排水量71,600tですから、その大きさがわかります。

空母の戦闘力は艦載される最大90機の航空機が担います。通常、戦闘機56機、ヘリコプター15機、概ね70機程度を搭載して運用されています。最新の戦闘機を50機以上搭載する攻撃力は、単純比較すれば、F-16を60機保有するノルウェー空軍に匹敵するものがあります。

2017年4月26日、フィリピン沖を通過するカール・ヴィンソン(CVN-70)と海上自衛隊のあたご型護衛艦「あしがら」(DDG-178)とむらさめ型護衛艦「さみだれ」(DD-106)。写真:米海軍
2017年4月26日、フィリピン沖を通過するカール・ヴィンソン(CVN-70)と海上自衛隊のあたご型護衛艦「あしがら」(DDG-178)とむらさめ型護衛艦「さみだれ」(DD-106)。写真:米海軍

さらに、ニミッツ級では燃料や武器・弾薬などの搭載量もそれまでの通常動力空母に比べて倍増しており、航空燃料約6,000t、航空機用の武器・弾薬約1,250tを搭載することができ、最大16日間という作戦行動を可能にしています。

カール・ヴィンソン(CVN-70)のフライトオペレーションルーム。2013年2月26日。写真:米海軍
カール・ヴィンソン(CVN-70)のフライトオペレーションルーム。2013年2月26日。写真:米海軍

艦載された戦闘機は、約94mの蒸気カタパルトにより、約2秒で時速265km程度まで加速されます。中国には一応空母が2隻あり、報道等にてスキージャンプのようなジャンプ台がついているのを見た方もいると思います。あれは、カタパルトの技術がないためのものです。

2013年2月25日、カール・ヴィンソン(CVN-70)から発艦する第122戦闘攻撃飛行隊のF/A-18F。写真:米海軍
2013年2月25日、カール・ヴィンソン(CVN-70)から発艦する第122戦闘攻撃飛行隊のF/A-18F。写真:米海軍

空母は1隻で行動することはなく、空母打撃群を率いて行動します。本ニミッツ級もしくはジェラルド・R・フォード級1隻、タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦1隻、アーレイ・バーク級2隻、ロサンゼルス級もしくはバージニア級原子力潜水艦1隻という構成が基本です。1つの空母打撃群の総乗員は約7,000名にも及びます。米軍はこの空母打撃群を12個保持するとしています。

2017年3月28日、フィリピン沖を航行するカール・ヴィンソン(CVN-70)空母打撃群。写真:米海軍
2017年3月28日、フィリピン沖を航行するカール・ヴィンソン(CVN-70)空母打撃群。写真:米海軍

主なレーダー

対空レーダーは、AN/SPS-49A(V)1が搭載されています。AN/SPS-49はアメリカのレイセオン社が開発した2次元対空レーダーです。レイセオン社は世界第一位のミサイルメーカーとして知られています。

探知距離はレーダー反射断面積(RCS=Radar Cross Section)1平米の目標に対して460km、探知高度は46,000m、精度は56mです。1975年に配備されて以来、改良を重ねながら世界各国の軍艦に搭載されている実績ある対空レーダーです。

主要兵装

いかに強力な艦上戦闘機群を持っていても、ニミッツ級空母はロナルド・レーガン(CVN-76)の約5,400億円(45億ドルを1ドル120円で換算)やジョージ・H・W・ブッシュの約7,500億円(65億ドルを1ドル120円で換算)のように大変高額であり、存在自体が政治力を帯びていることもあり、撃沈されるということは現状ではあってはならないことです。

そのため、ニミッツ級空母が単独で行動することはなく、空母打撃群(CSG=Carrier Strike Group)という単位で行動し、艦上戦闘機を除いた兵装は控えめなものです。空母打撃群の構成については先述の通りです。

ニミッツ級の主な兵装はMk.29 ESSMランチャー×2、RIM-116×2、ファランクスCIWS×4(9〜10番艦を除く)となっています。

南カリフォルニアにおいて演習中のカール・ヴィンソン(CVN-70)から発射されるRIM-116ローリング・エアフレーム・ミサイル。2016年11月2日。写真:米海軍
南カリフォルニアにおいて演習中のカール・ヴィンソン(CVN-70)から発射されるRIM-116ローリング・エアフレーム・ミサイル。2016年11月2日。写真:米海軍

カール・ビンソン(CVN-70)の艦載機

アメリカ海軍の空母に艦載される航空機は、空母航空団(CVW=Carrier Air Wing)と名付けら編制されています。カール・ビンソン(CVN-70)に艦載されるのは第2空母航空団です。内訳は以下のとおり。

第2戦闘攻撃飛行隊(VFA-2)“バウンティ・ハンターズ”
使用機:F/A-18F

第137戦闘攻撃飛行隊(VFA-137)“ケストレルズ”
使用機:F/A-18E

第192戦闘攻撃飛行隊(VFA-192)“ゴールデン・ドラゴンズ”
使用機:F/A-18E

第34戦闘攻撃飛行隊(VFA-34)“ブルー・ブラスターズ”
使用機:F/A-18E

第136電子攻撃飛行隊(VAQ-136)“ガントレッツ”
使用機:EA-18G

第113早期警戒飛行隊(VAW-113)“ブラック・イーグルズ”
CARRIER AIRBONE EALRY WARNING SQUADRON 113 “BLACK EAGLES”
使用機:E2-C 2K

第4ヘリコプター海上作戦飛行隊(HSC-4)“ブラック・ナイツ”
使用機:MH-60S

第78ヘリコプター海洋攻撃飛行隊(HSM-78)“ブルー・ホークス”
使用機:MH-60R

カール・ヴィンソン(CVN-70)から発艦しようとする第34戦闘攻撃飛行隊のF/A-18Cホーネット。2017年4月10日。写真:米海軍
カール・ヴィンソン(CVN-70)から発艦しようとする第34戦闘攻撃飛行隊のF/A-18Cホーネット。2017年4月10日。写真:米海軍
運用者アメリカ海軍
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅76.8m
全 長333m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機ウェスティングハウスA4W原子炉×2、蒸気タービン×4(260,000shp)4軸
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員約6,000名
初飛行
就 役1982年3月13日
退 役-
兵 装