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ロッキード・マーチンF-22ラプター

Lockheed Martin F-22 Raptor
ロッキード・マーチンF-22ラプターLockheed Martin F-22 Raptor

世界最強のステルス戦闘機

圧倒的な戦闘力から抑止力をも発揮

ロッキード・マーチンF-22ラプター(1990-)はアメリカのロッキード・マーチン社が開発したアメリカ空軍のステルス戦闘機です。2005年(平成17年)から運用が開始され、現代最強の戦闘機として突出した能力を有しています。

北朝鮮のきな臭さが危険な域に達した時、アメリカは原子力空母を派遣しました。洋上を移動する巨大な軍事力であるアメリカ海軍原子力空母は、そこにいるというだけで強烈な抑止力を発揮します。

F-22は戦闘機でありながら、規模は違えど空母と同じ種類の抑止力を発揮します。このような抑止力を持つ戦闘機はこれまで存在したことがありません。

F-22については2つのキャッチフレーズが与えられています。一つは「Air Dominance Fighter」(航空支配戦闘機)、もう一つは「First look,First shoot,First kill」(先に発見、先制攻撃、先に撃墜)です。

1970年代に登場し、現在まで一度も撃墜されたことのないアメリカのF-15には「Air Superiority Fihter」(航空優勢戦闘機)というキャッチフレーズが与えられていました。F-22ではさらに進化し、航空支配という言葉が使われています。

F-22ラプター。PHOTO Lockeed Martin
F-22ラプター。PHOTO Lockeed Martin

「First look,First shoot,First kill」(先に発見、先制攻撃、先に撃墜)はF-22の性能を端的に表わしています。

これは、戦闘機は誕生した時(1915年頃)から変わらない鉄則です。第1次世界大戦や第2次世界大戦など有視界で空中戦を行っていた時代でも、レーダーやネットワークを駆使した現代のハイテク戦闘でも基本は同じです。

敵より先に発見し、先に攻撃し、速やかにその場を立ち去る。要するに、不意打ちして即離脱するというのが空中戦の勝者となる道であり、正面から正々堂々と戦うなどというのは最後の手段です。

F-22の戦い方はこうです。

ステルスにより敵に発見されることなく、優れた自身のレーダーと僚機やイージス艦など味方勢力の情報が収集されたリンク21と呼ばれるネットワークの情報を駆使して、先に敵機を発見し、ミサイルの射程圏内まで接近します。

敵機のデータを入力し、70km以上の長射程を持ち、撃ちっぱなし(fire and forget)可能な空対空ミサイル(AIM-120 AMRAAM)を発射し、即座に離脱します。超音速巡航(スーパークルーズ)能力を持つF-22に追いつくことは困難です。というよりも、敵機は何もわからずいきなり撃墜されることになるでしょう。

もし、自分より敵機に近いところに僚機がいれば、目標のデータを送信してミサイルを発射してもらう、ということも可能です。

F-22ラプター。PHOTO Lockeed Martin
F-22ラプター。PHOTO Lockeed Martin

F-22の特長

① ステルス
② スーパークルーズ
③ アビオニクス(電子機器)とネットワーク
④ 高機動性/推力偏向装置

① ステルス

ステルスというのは、隠れるということです。超音速という高速で移動し、肉眼でみえる距離(有視界)よりもはるか遠くからミサイルを発射しあう現代の戦闘においては、レーダーなどのセンサ類に感知されにくくするということは、とてつもなく重要な技術です。F-22はほとんど映らないといわれます。

F-22ラプター三面図。PHOTO:USAF
F-22ラプター三面図。PHOTO:USAF

ステルス性を高めるには概ね以下のような項目に注意が必要です。「目視発見の回避」、「レーダー反射断面積(RCS=Radar Cross Section)の低減」、「飛行音の低減」、「自身が発する電波を探知されない」、「赤外線探知の回避」、F-22は、これらすべてにおいて世界最高の技術が投入されており、レーダー反射断面積(RCS)値に関しては0.001〜0.01平米といわれています。RCS値は通常の平米表記とは違うため一概に表現できませんが、ほとんど映らないと考えてよいでしょう。

F-22ラプターの後部。全周囲ステルスのF-22は後ろから見ても角度が揃えられています。PHOTO USAF
F-22ラプターの後部。全周囲ステルスのF-22は後ろから見ても角度が揃えられています。PHOTO USAF

ステルス性維持のため兵装は胴体に格納されます。PHOTO USAF
ステルス性維持のため兵装は胴体に格納されます。PHOTO USAF
胴体側面にも兵装を格納します。PHOTO USAF
胴体側面にも兵装を格納します。PHOTO USAF

② スーパークルーズ

戦闘機が誕生した時から、スピードは生命線です。迅速に目標に到達することができ、戦闘時もアドバンテージがあり、敵の大軍が接近していようと、スピードにおいて勝っていれば逃げられます。ミサイルを発射する時でも自らの速度をミサイルに与えることができます。

戦闘機の最高速度を表すとき、F-22以前のジェット戦闘機の多くはアフターバーナーという技術を使用しています。ジェットエンジンの排気に再度燃料を吹き付けて一時的に高出力を得るものです。

急加速を可能にするアフターバーナーですが、全開で使用すると15分程度で燃料を空にしてしまいますから、緊急措置でもあります。

スーパークルーズ(超音速巡航)というのは、このアフターバーナーを使わず、通常のエンジン使用のみで超音速を実現することです。F-22はプラット&ホイットニー社のF119-PW-100を2基搭載し、マッハ1.58という超音速巡航を可能にしています。

③ アビオニクス(電子機器)とネットワーク

F-22にはAN/APG-77レーダー、CNIシステム(データ・リンク)、電子戦システムなど多様なアビオニクス(電子機器)を搭載しています。プログラムも複雑化しており、F-15の20万行に比べてF-22は220万行にも及んでいるといわれます。最近の戦闘機開発はソフト面の比重が増加しており、プログラム開発の遅れによる開発計画の遅延がしばしば報告されます。

F-22ラプターのコクピット。PHOTO Lockeed Martin
F-22ラプターのコクピット。PHOTO Lockeed Martin

AN/APG-77レーダーはアメリカのノースロップ・グラマン社とレイセオン社が開発して高性能レーダーです。アンテナが可動することで探知範囲を飛躍的に向上させた、アクティブ電子走査アレイ(AESA=Active Electronically Scanned Array)方式のレーダーとなっており、走査角度は垂直・水平共に120度、走査距離は約250kmであり、後発のF-35に搭載されているAN/APG-81レーダーを除けば最高性能のレーダーです。

3重のデジタル飛行制御システム(フライ・バイ・ワイヤ)は、パイロットが無理な操作をしても自動的に体勢を維持し、パイロットの失神などの際には水平飛行を維持するといわれています。

BAEシステムズ社の電子戦システムAN/ALR-94は機体全体に30個以上のアンテナを持つ全周囲のミサイル探知能力、460km先からのレーダー電波を探知する能力をF-22に与えています。また、同社のフレア(赤外線誘導ミサイル用デコイ)AN/ALE-52を搭載しています。

F-22はアメリカ軍を中心にNATO諸国及び同盟国が統合運用するリンク16という統合戦術伝達システムから情報を受信することができます。味方の早期警戒管制機(AWACS)、イージス艦、地上のレーダー、地上小隊の端末、司令部などの情報が集約されています。

リンク16上に敵機の情報があれば、ステルス性を損失する自身のレーダー使用を行うことなく、目標に対してミサイル攻撃を行うことができます。

④ 高機動性/推力偏向装置

F-22のエンジンは高出力なだけでなく、推力偏向ノズルを備え、±20度の偏向能力を有しています。敵機がF-22に気がつく前に遠方から撃墜し、即座にスーパークルーズ能力を駆使してその場を離脱するという戦い方が得意なF-22ですが、従来のような遷音速(マッハ0.9〜1.1)における格闘戦でもF-15を上回る機動性を持っています。

平成19年(2007年)7月13日、初デモンストレーション。離陸直後、最大出力で急上昇するF-22ラプター。Photo:USAF
平成19年(2007年)7月13日、初デモンストレーション。離陸直後、最大出力で急上昇するF-22ラプター。Photo:USAF

推力偏向装置を備えた強力なエンジン。PHOTO USAF
推力偏向装置を備えた強力なエンジン。PHOTO USAF

高度や上昇力、速度、機動性、戦闘機の運動性能におけるあらゆる分野でF-22は現在最高の能力を有しているといえます。

運用者アメリカ空軍
主要なバリエーションYF-22 試作機。2機製造
F-22 量産型。187機製造
F-22B 訓練などに用いる複座型。開発中止
FB-22 戦闘爆撃機型。計画のみ
F-22N 米海軍向け艦載機。計画のみ
生産数195
スペック型式-
全 幅13.56m
全 長18.92m
全 高5.08m
翼面積78.04㎡
自 重19,700kg
総重量/最大離陸重量38,000kg
発動機F119-PW-100(AB 15,872kg)×2
最大速度2,575km(巡航速度1,825km)
実用上昇限度15,240m
戦闘行動半径1,300km
航続距離2,960km
乗 員1名
初飛行1990年9月29日(YF-22)
就 役2003年9月
退 役-
兵 装

ロッキードF-117ナイトホーク

Lockheed F-117 Nighthawk
ロッキードF-117ナイトホークLockheed F-117 Nighthawk

世界初のステルス戦闘機

湾岸戦争での活躍は戦場のハイテク化を印象づけた

※文頭写真:USAF

ロッキードF-117ナイトホーク(1981-2008)はアメリカ空軍とロッキード社が開発した世界初のステルス戦闘機(攻撃機)です。

その異様な姿は不気味な迫力を感じさせ、湾岸戦争の報道画面にみた時は誰もが驚いたことでしょう。

現在、ステルス戦闘機技術はアメリカが突出した存在となっており、無敵のF-22や自衛隊次期主力戦闘機のF-35、B-2爆撃機などが稀に報道されます。そのせいかステルスという言葉も一般的になったように思えます。

F-117は1981年(昭和56年)には初飛行しており、開発は昭和59年(1974年)に始まっています。同年、アメリカ国防高等研究計画局(DARPA=Defense Advanced Research Projects Agency)はレーダー反射断面積(RCS=Radar Cross Section)の低減に関する研究を、グラマン、ジェネラル・ダイナミクス、マクドネル・ダグラス、フェアチャイルド、ノースロップの5社に対して依頼します。後にロッキード社が食い込むことに成功し、1976年(昭和61年)には各社の案を抑えてロッキード社案が採用されます。

試作機「ハブ・ブルー」は1977年(昭和62年)11月に完成し12月には初飛行に成功しています。この頃、ソ連の科学者ピョートル・ユフィンチェフが1964年に発表した「エッジ波の物理的解析理論」なる論文を発見、この理論を応用することにより機体のレーダー反射断面積(RCS)値をより正確に測ることが可能になります。試作機ハブ・ブルーと量産機F-117の形状の違いにはこの理論が大きく貢献しているといわれます。

生産初号機は昭和56年(1981年)に完成し、空戦能力はなく実態は攻撃機でしたが、戦闘機を意味するFナンバーがついたF-117Aという制式呼称を得ています。革新的な機体ということもあり生産型がロールアウトして以降も試験を続けながら59機を製造、昭和57年(1982年)より部隊配備されました。

ステルス性を最優先したため、最高速度はマッハ0.85であり運動性能も低レベルになっています。それどころか、F-117を昔ながらの人間の手によるコントロールで飛行させることはできず、フライ・バイ・ワイヤというデジタル飛行制御によって飛行が可能になっています。

直線のみを使用して構成された機体が異様な印象を与えますが、これは当時のコンピュータ演算能力では、現在のステルス機(B-2やF-22、F-35)のように曲線を使用した設計ができなかったためです。

実戦初参加は1989年(平成元年)12月のパナマ攻撃作戦でしたが、爆撃は失敗に終わりました。そしていよいよ湾岸戦争(1990年)が勃発、40機以上のF-117が展開し爆撃任務を遂行し1,200回を超える出撃回数を記録、1機も撃墜されることはありませんでした。

この時F-117が主に使用したGBU-27は1986年(昭和61年)に配備が始まった最新の精密誘導爆弾、ペイブウェイⅢレーザー誘導爆弾の一つです。ステルス戦闘機F-117と相まって、未来的な戦場の形を我々にまざまざとみせてくれました。

湾岸戦争では1機も撃墜されることなく任務を遂行しましたが、1999年(平成11)のコソボ空爆では、セルビアの首都ベオグラード近郊において、セルビア防空軍の旧式な地対空ミサイルに撃墜され、これが退役するまで唯一の撃墜例となりました。撃墜されたF-117は敵側に回収され、ロシアやソ連が密かに部品を入手したともいわれます。

2000年代に入ってイラクの自由作戦にも参加していますが、ここでも撃墜されることなく任務を遂行しています。

F-117は飛行機に興味のない一般の人々にも強烈な印象を残した画期的な怪物でしたが、ステルス性を追求したため飛行安定性は低く、事故率が高かったことや、先端技術ならではの高額な維持費もあり、2008年には全機退役しています。

湾岸戦争に斬新な衝撃を与えたF-117ステルス戦闘機。まさに砂漠の嵐作戦中の写真です。PHOTO USAF
湾岸戦争に斬新な衝撃を与えたF-117ステルス戦闘機。まさに砂漠の嵐作戦中の写真です。PHOTO USAF

ステルスについて

先に敵を発見し、自らは発見されないということは、絶対的な優勢を得ることができます。広義では迷彩塗装などもステルスの一種であり、古くは戦闘機を透明にするなどという試みもあったようです。

レーダーの進歩により、戦闘機においてみえないということはレーダーに映らないということを意味するようになりました。レーダーは自身のレーダーが発した電波の反射から相手の位置や大きさを探索しますから、敵機に戻る反射をゼロにすれば全くレーダーに映らないということになります。

このレーダー反射断面積をRCS(Radar Cross Section)といいます。この値はF-117では0.025平米程度といわれています。ステルス性に配慮されていないF-15では10平米、F-117よりも進化したF-22やF-35では0.01平米です。(※RCS値は土地の広さなどとは違う表現ですので、詳しくはウィキペディアのRCS値の項目などをご覧ください。)

こういった形状によるステルス性は形状制御といわれています。他にも、赤外線、機体表面の処理、レーダー使用など様々な要素があります。

形状制御の他に、エンジンの放射熱制御や機体表面をレーダーを反射しにくい素材にするなどの工夫が必要です。また、自らレーダーを発してしまえばそれを探知されてしまいますから、F-117はレーダーを搭載していません。爆撃目標を指定するためには、レーザーや赤外線を使用しています。

運用者アメリカ空軍
主要なバリエーション-
生産数64
スペック型式-
全 幅13.20m
全 長20.09m
全 高3.78m
翼面積73㎡
自 重13,380kg
総重量/最大離陸重量23,800kg
発動機F404-GE-F1D2(4,900kg)×2
最大速度993km/h
実用上昇限度13,716m
戦闘行動半径930km
航続距離1,720km
乗 員1名
初飛行1981年6月18日
就 役1983年10月
退 役2008年4月
兵 装

ロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡ(C)

Lockheed Martin F-35 Lightning Ⅱ(C)
ロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡ(C)Lockheed Martin F-35 Lightning Ⅱ(C)

最新鋭ステルス戦闘機(艦上戦闘機型)

初の艦上ステルス機

※文頭写真:Lockeed Martin
※F-35の基本性能等については、ロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡ(A)記事をご覧ください。

ロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡはアメリカが開発した最新の戦闘機です。一つの基本設計でアメリカ空・海・海兵隊の戦闘機を開発しようという、統合打撃戦闘機(JSF=Joint Strike fighter)計画からうまれました。

基本設計から生み出される形は3種類あり、通常の飛行場において運用するA型、垂直に離着陸できるB型(短距離離陸垂直離着陸)、航空母艦において運用するC型(艦上戦闘機)の3種類があります。

C型は航空母艦において運用する艦載機型です。F-35は英国や日本、イタリア、オランダなどアメリカと同盟関係にある国々が導入しますが、艦載機型のC型は米海軍と海兵隊のみが導入します。

アメリカ海軍の主力戦闘機としては久しぶりの単発機。エンジンの信頼性が向上してきたのでしょう。PHOTO Lockeed Martin
アメリカ海軍の主力戦闘機としては久しぶりの単発機。エンジンの信頼性が向上してきたのでしょう。PHOTO Lockeed Martin

陸上の飛行場から離発着するA型と違い、C型は狭い空母の甲板に離発着するため低速時の安定性が求められることから、主翼、垂直・水平尾翼がそれぞれ大型化しています。また、離着陸時の衝撃に耐えるため、機体構造や降着装置の強化が行われ、主翼も折りたためるようになっています。戦闘機は主翼に燃料を搭載しているため、主翼を大型化したC型は、燃料搭載量が増え航続距離が延びています。

F-35Cの試験機。離着艦時の揚力を得るため主翼が大きくなっているのが最も特徴的です。PHOTO Lockeed Martin
F-35Cの試験機。離着艦時の揚力を得るため主翼が大きくなっているのが最も特徴的です。PHOTO Lockeed Martin

空母を中心とし他の追随を許さない断トツの洋上戦力を持つアメリカ海軍にまたひとつ、ステルス戦闘機という武器が加わります。PHOTO Lockeed Martin
空母を中心とし他の追随を許さない断トツの洋上戦力を持つアメリカ海軍にまたひとつ、ステルス戦闘機という武器が加わります。PHOTO Lockeed Martin

ステルス性維持のため兵装は胴体内に格納します。そのためすっきりとした胴体下面。ただ、主翼下にハードポイントをつけるテストも行われています。それほどステルス性が問われない任務に対するものでしょう。PHOTO Lockeed Martin
ステルス性維持のため兵装は胴体内に格納します。そのためすっきりとした胴体下面。ただ、主翼下にハードポイントをつけるテストも行われています。それほどステルス性が問われない任務に対するものでしょう。PHOTO Lockeed Martin

F-35は昔のように脚の間に太い操縦桿があり、加える力によって運動が加減されるのではなく、電気信号を伝達するステッィクにより操縦します。大雑把にいえばゲームのジョイスティックと同じ様なものです。さらに、戦闘機乗りにとっても難しい空母への着艦を、ある程度自動で行われるオートスラスト機能(自動推力制御装置)が装備されています。

試験中のF-35C(艦載機型)。PHOTO Lockeed Martin
試験中のF-35C(艦載機型)。PHOTO Lockeed Martin

多用途性と信頼性の高さから現在、アメリカ海軍空母の艦上を占拠することとなったF/A-18(前)とF-35(後)。PHOTO Lockeed Martin
多用途性と信頼性の高さから現在、アメリカ海軍空母の艦上を占拠することとなったF/A-18(前)とF-35(後)。PHOTO Lockeed Martin

米海軍としては、初めてのステルス艦上戦闘機となります。米海軍のニミッツ級原子力空母に最新鋭のステルス戦闘機が配備される、ということは日本にとっても大変良い抑止力となるでしょう。

F-35には最新のヘッドマウントディスプレイ(HMD)が採用されています。バイザーには飛行情報や戦術データなどの情報が表示され、前を向いたまま全周囲をカバーできます。
F-35には最新のヘッドマウントディスプレイ(HMD)が採用されています。バイザーには飛行情報や戦術データなどの情報が表示され、前を向いたまま全周囲をカバーできます。

運用者-
主要なバリエーションX-35A 試作機。通常離着陸型(CTOL)
X-35C 試作機。艦上離着陸型
X35B X35Aを改造した試作機。短距離離陸・垂直着陸型(STOVL)
生産数-
スペック型式-
全 幅13.11m
全 長15.70m
全 高4.6m
翼面積62.1㎡
自 重13,924kg
総重量/最大離陸重量31,800kg
発動機F135-400(C/12,746kg/AB 19,505kg)×1
最大速度2,220km/h(C)
実用上昇限度15,240m
戦闘行動半径1,111km
航続距離2,520km
乗 員
初飛行2010年6月8日(C)
就 役-
退 役-
兵 装

ロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡ(B)

Lockheed Martin F-35 Lightning Ⅱ(B)
ロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡ(B)Lockheed Martin F-35 Lightning Ⅱ(B)

最新鋭ステルス戦闘機(短距離離陸垂直離着陸型)

短距離離陸・垂直着陸型

※文頭写真:F-35 Lightning II program F-35 Lightning II program
※F-35の基本的な性能等についてはロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡ(A)の記事をご覧ください。

ロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡはアメリカが開発した最新の戦闘機です。一つの基本設計でアメリカ空・海・海兵隊の戦闘機を開発しようという、統合打撃戦闘機(JSF=Joint Strike fighter)計画からうまれました。

基本設計から生み出される形は3種類あり、通常の飛行場において運用するA型、垂直に離着陸できるB型(短距離離陸垂直離着陸)、航空母艦において運用するC型(艦上戦闘機)の3種類があります。

アメリカ海兵隊に引き渡されてテスト中のF-35B。2014年3月。PHOTO Lockeed Martin
アメリカ海兵隊に引き渡されてテスト中のF-35B。2014年3月。PHOTO Lockeed Martin

STOVL(短距離離陸垂直離着陸)のB型は、垂直に離着陸することができます。これまで米海兵隊で運用されていたSTOVL戦闘機は米国マクドネル・ダグラス社(現 ボーイング社)が開発したAV-8BハリアーⅡ(1978年初飛行)でした。もともとは、英国ホーカー・シドレー社が開発したハリアーGR.1(1960年初飛行)であり、これを米国のマクドネル・ダグラス社が改良したのがAV-8BハリアーⅡです。

米海兵隊の強襲揚陸艦USSパターンにおいて垂直着陸を行う、AV-8ハリアー。PHOTO USNAVY
米海兵隊の強襲揚陸艦USSパターンにおいて垂直着陸を行う、AV-8ハリアー。PHOTO USNAVY

垂直離着陸機は必然、構造が複雑となり陸上戦闘機や艦上戦闘機に比べ戦闘能力にも劣っており、米軍としては、ハリアーの後継としてすでに海兵隊で使用されている艦載機のF/A-18ホーネットなどの戦闘攻撃機を考えていましたが、世界中に部隊を展開する米海兵隊は、必ずしも設備の整った飛行場ばかりを使うわけではありませんから、米海兵隊としては垂直離着陸機にこだわりがありハリアーⅡが開発されることになりました。そして、そのハリアーⅡの後継がF-35Bということになります。ちなみに、ハリアーⅡは日本も導入計画がありました。

F-35Bの試作機BF-02とBF-03。PHOTO Lockeed Martin
F-35Bの試作機BF-02とBF-03。PHOTO Lockeed Martin

アメリカ海軍の強襲揚陸艦USSワスプにおいて着艦テスト中のF-35B。空母だけでなくF-35BはSTOVL能力を活かし、空母でなくても運用できます。PHOTO Lockeed Martin
アメリカ海軍の強襲揚陸艦USSワスプにおいて着艦テスト中のF-35B。空母だけでなくF-35BはSTOVL能力を活かし、空母でなくても運用できます。PHOTO Lockeed Martin

垂直離着陸の際には、ジェットエンジンの排気をノズルを折り曲げることにより下方に向け、同時にクラッチを介して前方のリフトファンを動かします。これら垂直離着陸用の構造が他の性能を低下させることはハリアーⅡと変りなく、航続距離はA型(通常離着陸型)、C型(艦載機型)と比べ約70%となり、兵装搭載量も20%程少なくなっています。

2013年(平成25年)8月13日、アメリカ海軍の強襲揚陸艦USSワスプ艦上において短距離離陸のテストを行うイギリス軍のF-35B。PHOTO Lockeed Martin
2013年(平成25年)8月13日、アメリカ海軍の強襲揚陸艦USSワスプ艦上において短距離離陸のテストを行うイギリス軍のF-35B。PHOTO Lockeed Martin

ユーロファイター・タイフーン(手前2機)と飛ぶF-35B。PHOTO Lockeed Martin
ユーロファイター・タイフーン(手前2機)と飛ぶF-35B。PHOTO Lockeed Martin
F-35に搭載されている最新のAN/APG-81火器管制レーダー。レーダー反射断面積(RCS)が1平米程のステルス性に優れたラファールなどでも150km先から探知できます。同時に23個もの標的を探知できる能動型電子走査配列のレーダーです。
F-35に搭載されている最新のAN/APG-81火器管制レーダー。レーダー反射断面積(RCS)が1平米程のステルス性に優れたラファールなどでも150km先から探知できます。同時に23個もの標的を探知できる能動型電子走査配列のレーダーです。

米海兵隊、英国空海軍、イタリア海軍などがB型の導入を予定しており、平成25年(2013年)には米国において垂直離陸に成功し、平成27年(2015年)から運用が始まっています。

運用者-
主要なバリエーションX-35A 試作機。通常離着陸型(CTOL)
X-35C 試作機。艦上離着陸型
X35B X35Aを改造した試作機。短距離離陸・垂直着陸型(STOVL)
生産数-
スペック型式-
全 幅10.67m
全 長15.60m
全 高4.6m
翼面積42.73㎡
自 重13,888kg
総重量/最大離陸重量27,300kg
発動機F135-600(B/12,746kg/AB 19,505kg)×1
最大速度1,960km/h(B)
実用上昇限度15,240m
戦闘行動半径833km
航続距離1,670km
乗 員
初飛行2008年7月11日(B)
就 役-
退 役-
兵 装

ロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡ(A)

Lockheed Martin F-35 Lightning Ⅱ(A)
ロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡ(A)Lockheed Martin F-35 Lightning Ⅱ(A)

最新鋭ステルス戦闘機(通常離着陸型)

いよいよ運用迫る

※文頭写真:USAF

ロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡはアメリカが開発した最新の戦闘機です。一つの基本設計でアメリカ空・海・海兵隊の戦闘機を開発しようという、統合打撃戦闘機(JSF=Joint Strike fighter)計画からうまれました。

基本設計から生み出される形は3種類あり、通常の飛行場において運用するA型、垂直に離着陸できるB型(短距離離陸垂直離着陸)、航空母艦において運用するC型(艦上戦闘機)の3種類があります。

アメリカ空軍に引き渡され、カリフォルニア上空でテスト中のF-35A。PHOTO Lockeed Martin
アメリカ空軍に引き渡され、カリフォルニア上空でテスト中のF-35A。PHOTO Lockeed Martin

試作機AA-1(A型)のテスト飛行。PHOTO Lockeed Martin
試作機AA-1(A型)のテスト飛行。PHOTO Lockeed Martin

アメリカは1960年代にF-111という戦闘機で同じように基本設計を空・海軍で共用するという構想を進めましたが、艦上戦闘機の制約から海軍が不採用を決め、失敗に終わっています。

実に優秀な爆撃性能を有する戦闘攻撃機となったF-111。PHOTO USAF
実に優秀な爆撃性能を有する戦闘攻撃機となったF-111。PHOTO USAF

約30年を経て進化して復活した統合打撃戦闘機(JSF=Joint Strike fighter)計画は、どうやら成功しつつあります。電子機器の複雑化などにより戦闘機の開発は年々高度化、高額化しており、このJSF計画もアメリカを主とし、イギリス、イタリア、オランダ、ノルウェー、デンマーク、オーストリアなどが開発に参加する国際共同の形をとり、巨額の費用を賄っています。

1980年代に冷戦構造は弱まり始め、1991年には東の領主ソ連が崩壊します。最大にして唯一といってもいいライバルがいなくなったアメリカは、当然の如く軍事費削減が急ピッチで進みます。

いつ最新鋭機が出現するかもわからないソ連を凌駕する高性能な戦闘機を常に配備する必要がなくなり、高性能&高コストの兵器開発は次々に中止となっていきます。それでも戦闘機の老朽化は進み、1990年代には空軍、海軍ともに次期戦闘機の計画を立てる必要に迫られていました。

とはいえ高度な電子機器、ステルス技術、複雑化するソフト開発など現代の戦闘機開発は膨大な開発費が必要です。そこで1995年、空軍・海軍・海兵隊の戦闘機を共通の基本設計から造るという統合打撃戦闘機(JSF=Joint Strike fighter)計画が考えられました。

これには、ボーイング、ロッキード・マーチン、マクドネル・ダグラスの3社が設計案を提出し、ボーイングとロッキード・マーチンの案が選ばれ試作機が発注されました。とはいえマクドネル・ダグラスはこの後ボーイングに吸収されましたから、結果的に3社とも関わっていくことになります。

2000年にはボーイングのX-32、ロッキード・マーチンのX-35共に初飛行に成功し各種のテストが繰り返されていきます。2006年には1号機が完成し2010年頃から各軍に引き渡されテストフライトが行われており、A型は2016年、B型は2015年、C型は2018年の運用開始を目指しています。

通常離着陸型のX-32A。PHOTO Boeing
通常離着陸型のX-32A。PHOTO Boeing

F-35は空対空、空対地などの様々な任務をこなす多目的戦闘機(マルチロール)です。レーダーにほぼ映らないステルス機であり、アフターバーナーを使用せずに音速を超える超音速巡航(スーパークルーズ)能力を持ち、高度な電子機器を搭載、ディスプレイをみながら背後の敵を攻撃するなどということも容易にこなします。

F-35のコクピットは一般的に想像する計器だらけのコクピットとは全く違っています。ヘルメットにはターミネーターのように情報が表示され、正面にはipadのようなディスプレイが並び、操縦桿は電子式となっています。

中央に大きなパネル、左右にスティックが配されたF-35のコクピット。
中央に大きなパネル、左右にスティックが配されたF-35のコクピット。

アメリカが統合運用するリンク21という情報ネットワークに繋がり、情報はリアルタイムに共有されます。高度な電子機器と情報ネットワークを駆使し、一方的に敵を葬り去る能力は未来の戦闘機とも、空の忍者ともいいたい存在です。

F-35は空対空、空対地、双方をこれまでにない能力をもって遂行します。レシプロ戦闘機の時代から、戦闘機同士の戦いを制する鉄則は「先制発見、先制攻撃、即時逃走」であり、正々堂々と勝負などしてはいけないのです。肉眼で敵をみつけていた時代、エースパイロットといわれた人々は例外なく、良い目と優れた注意力を持っていました。

戦闘機が楽々と超音速で飛行する現在、敵を肉眼で捉えるということはありません。かわりに目となるのはレーダーとネットワークです。F-35を筆頭にアメリカ(及び西側)の戦闘機はネットワーク力に優れており、たとえ飛行性能が劣っていようともネットワークを駆使して先に敵の位置を掴めれば圧倒的優位に立つことができます。

F-35の敵戦闘機との戦いを想定してみます。
あるF-35が敵機を捉えたとします。敵機を捉えたF-35はネットワークに情報を送信したら即座に退避します。その情報はリンク21ネットワークに接続するすべての味方戦闘機が共有します。敵機を発見したF-35は敵機のレーダーに感知された可能性がごくわずかでもありますから、すぐに退避するわけです。

その中から最もリスクの少ない戦闘機がミサイルの射程圏内まで接近。最新のAIM-120アムラーム空対空ミサイルであれば、一昔前のように母機である戦闘機が途中まで敵機を補足してあげる必要はなく、自立誘導ですから射程距離である70km〜100kmに入ったところでミサイルを発射し、即座に退避します。

恐らく敵機はF-35の存在に気がついていないでしょうから、いきなり撃墜されて終わりということになります。

対地攻撃においては、信じられないように精密なピンポイント空爆が可能です。太平洋戦争末期にアメリカが日本にしたような、民間人でもおかまいなしにすべてを焦土と化すような絨毯爆撃は、現在では起こる可能性は少なく、一人もしくは一つの建物を狙い打つような暗殺空爆が起こりやすいシチュエーションです。

グリーンベレーやネイビーシールズ、特殊作戦群(USSOCOM)といったアメリカ軍の特殊部隊や、アメリカ中央情報局(CIA)などの情報機関が「この建物に標的がいる」と確定すれば、F-35は敵レーダーをかいくぐって「どの窓」という精度で爆撃が可能です。これだけの正確性がありますから、あえて火薬を積まずに狙うこともあります。

また、ステルス性と精密な爆撃精度、そして空中戦にも強いというF-35は、敵防空網が充分に機能している戦争初期段階での攻撃にはうってつけであり、ステルス戦闘機を持たないアメリカ海軍にとっては特に大変重要な役割を担うことになりそうです。

2013年(平成25年)5月14日、空中給油ミッション中のF-35。PHOTO USAF
2013年(平成25年)5月14日、空中給油ミッション中のF-35。PHOTO USAF

ステルス能力獲得のために形状制御されたフォルムは独特の美しさを感じさせます。PHOTO USAF
ステルス能力獲得のために形状制御されたフォルムは独特の美しさを感じさせます。PHOTO USAF

航空自衛隊 F-35A

◎F-35空自初号機、平成28年10月に納入と発表
航空自衛隊はF-35Aを航空自衛隊の次期主力戦闘機として採用しています。平成28年(2016年)7月22日、航空自衛隊の杉山良行 航空幕僚長は記者会見を行ない、10月に初号機が米国ロッキード・マーチン社より納入されると発表しました。
これにあわせ、11月から米国アリゾナ州にある米空軍基地において操縦訓練が実施され、平成29年度(2017年度)には青森県の空自三沢基地に配備される予定です。平成28年度(2016年度)は4機が納入され、その後、38機は国内組立により随時納入されることになっています。購入価格は1機約180億円です。

◎F-35配備可能となる。空自への納入も間近
米空軍は8月2日、F-35A(通常離着陸型)が初期運用能力を獲得し、配備可能になったと発表しました。これに伴い、自衛隊にも平成29年(2017年)3月末までに4機が引き渡される予定となっていて、最初の機体は平成28年9月にも引き渡される可能性があります。米海兵隊仕様のF-35Bは既に初期作戦能力を獲得しており、平成29年(2017年)に山口県の岩国基地に配備されることとなっています。(平成28年8月2日、時事通信他)

◎航空自衛隊F-35A、初号機の写真が公開される
平成28年(2016年)8月15日、航空自衛隊に全42機が納入されるF-35Aの写真が公開されました。公開されたのは平成24年度契約分4機のうちの初号機であり、米国ロッキード・マーティン社フォートワース工場において製造中のものです。初号機は、組み立て作業と塗装が完了し、地上試験等を実施中。機体側面にグレーの日の丸が描かれています。同年8月中にはさらに試験飛行が行われます。

平成28年(2016年)8月15日、初公開された航空自衛隊に納入予定のF-35A初号機。写真:航空自衛隊
平成28年(2016年)8月15日、初公開された航空自衛隊に納入予定のF-35A初号機。写真:航空自衛隊

平成28年(2016年)8月15日、初公開された航空自衛隊に納入予定のF-35A初号機。写真:航空自衛隊
平成28年(2016年)8月15日、初公開された航空自衛隊に納入予定のF-35A初号機。写真:航空自衛隊

◎航空自衛隊F-35A、初号機ロールアウト
航空自衛隊F-4EJ改の後継として平成23年(2011年)12月19日に採用が決定したF-35Aの初号機が完成し、平成28年(2016年)9月23日、製造元の米ロッキード・マーチン社フォートワース工場(テキサス州)において、日本の政府関係者を招いてロールアウト式典が行われました。ロールアウトとは、完成後に工場から出て公表されることです。航空自衛隊は平成28年(2016年)〜平成36年(2024年)にかけて42機を導入する計画となっています。うち4機は米国にて製造され、残りの38機は国内の三菱重工において組み立てが行われます。
米国にて4機が製造され、その機体を使って航空自衛隊のパイロットが米軍パイロットとともに訓練を行い、早ければ来年度にも三沢基地(青森県)に配備される予定となっています。

運用者-
主要なバリエーションX-35A 試作機。通常離着陸型(CTOL)
X-35C 試作機。艦上離着陸型
X35B X35Aを改造した試作機。短距離離陸・垂直着陸型(STOVL)
生産数-
スペック型式-
全 幅10.67m
全 長15.70m
全 高4.6m
翼面積42.73㎡
自 重12,426kg
総重量/最大離陸重量31,800kg
発動機F135-100(A/12,746kg/AB 19,505kg)×1
最大速度2,220km/h(A)
実用上昇限度15,240m
戦闘行動半径1,092km
航続距離2,220km
乗 員1名
初飛行2000年10月24日(検証機) 2006年12月15日(A)
就 役-
退 役-
兵 装

ボーイング JSF X-32

Boeing JSF X-32
ボーイング JSF X-32Boeing JSF X-32

JSF計画の一方

F-35に敗れたX-32

ボーイングX-32はアメリカ軍による統合打撃戦闘機(JSF:Joint Strike Fighter)計画の過程で開発された試作機の一つです。競作されたロッキード・マーチン社のF-35に敗れたため採用には至りませんでした。

統合打撃戦闘機とは、一種類の基本設計からいくつかの戦闘機を造り、基本設計を共有することで開発・生産を効率化しコストを削減させようとするものです。アメリカ空軍(F-16)、海軍・海兵隊のF/A-18及び同海兵隊とイギリス空・海軍のハリアーⅡなどが統合の対象となり、開発が進められロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡとして結実、現在試験運用中です。

通常離着陸型のX-32A。ステルス性維持のため兵装は機内に格納されます。PHOTO Boeing
通常離着陸型のX-32A。ステルス性維持のため兵装は機内に格納されます。PHOTO Boeing

開発はアメリカを主体としてイギリスやイタリア、オランダ、ノルウェー、デンマーク、オーストラリア、トルコ、カナダなどが参加した国際共同形式となっています。F-35は日本も採用を決定していますが、開発には参加していません。

ただし、F-2開発時に米国が日本に強要した「日本の技術を無償で米国に供与すること」という条件により、最先端繊維素材による一体成型技術、AESAレーダー技術など大変重要な技術が要するに脅迫的に盗まれているわけです。そして、それらがF-35F-22に活かされていますから、大きな功労者といってもいいのではないでしょうか。これは、以前、別の仕事において、F-2関連の技術者に取材した際に確認しましたから間違いないと思われます。技術者は自分の技術が最先端戦闘機に使われていたことに誇りを持っていたようでした。それはそれで素晴らしいことですが、やはり、日本の技術が脅迫的に奪われたことに変わりないのではないでしょうか。

短距離離陸垂直離着陸型のX-32B。PHOTO Boeing
短距離離陸垂直離着陸型のX-32B。PHOTO Boeing

昨今の戦闘機開発は巨額の費用と数多くのエキスパート、そして長い時間が必要とされるため、このような形式がとられることがあります。ちなみに、本計画で制式採用されたF-35ライトニングⅡの場合、開発が始まってから2011年までに30兆円を超える費用がかかっているといわれています。

統合打撃戦闘機(JSF)計画は1995年に始まり、ボイーン社とロッキード・マーチン社に概念実証機の開発が発注されました。ボーイング社はX-32をロッキード・マーチン社はX-35を造り比較試験が行われました。X-32は通常離着陸型(CTOL)、短距離離陸垂直離着陸型(STOVL)の2種類が製造されました。

垂直離着陸試験中のX-32B。胴体中央下面に大きなエンジンノズルがみえています。写真ではみえませんが、前後にそれぞれ2つずつ傾き調整用の小さなエンジンノズルがついています。PHOTO Boeing
垂直離着陸試験中のX-32B。胴体中央下面に大きなエンジンノズルがみえています。写真ではみえませんが、前後にそれぞれ2つずつ傾き調整用の小さなエンジンノズルがついています。PHOTO Boeing

F/A-18スーパーホーネットと並ぶX-32。PHOTO Boeing
F/A-18スーパーホーネットと並ぶX-32。PHOTO Boeing

X-32の主な特長は、F-35と同じように一つの基本設計から通常離着陸型、艦載型、短距離離陸垂直離着陸型の3つの機体を造る統合性がまず第一。そしていまや通常のニュースでも使われるようになったステルス戦闘機であることです。ステルスとは、レーダーに探知され難くする技術です。

X-32B STOVL型のコクピット。PHOTO Boeing
X-32B STOVL型のコクピット。PHOTO Boeing

レーダーは電波を出しその反射によって探知していますが、ステルス機はこの反射を形状と表面加工などの技術によって小さくする技術です。この反射の大きさはRCSという言葉で表現され値が小さいほどレーダーには小さく映ります。

このRCS値はステルス機ではないF-15イーグルだと10㎡、X-32に買って採用されたF-35は0.01㎡といわれています。通常のレーダーにはほぼ映らないといっていいのではないでしょうか。
029_ Lockheed Martin F-35 Lightning Ⅱ(B)_3

X-32が採用されなかった理由はウェポンベイ(兵器搭載庫)が装備しずらいなどといわれていますが、詳細は定かではありません。「カッコ悪い」などという憶測もあります。

運用者-
主要なバリエーションX-32A 通常離着陸型
X-32B 短距離離陸垂直離着陸型
生産数-
スペック型式-
全 幅10.97m
全 長15.47m
全 高5.28m
翼面積54.8㎡
自 重-
総重量/最大離陸重量17,200g
発動機F135ターボファン(11,793kg/AB 15,876kg)×1
最大速度1,931km/h
実用上昇限度-
戦闘行動半径1,390km
航続距離-
乗 員1名
初飛行2000年9月18日
就 役-
退 役-
兵 装

ノースロップYF-23

Northrop YF-23
ノースロップYF-23Northrop YF-23

F-22と採用を争ったステルス戦闘機

選には漏れたものの高性能を発揮

※文頭写真:USAF

ノースロップYF-23(1990)は、アメリカのノースロップ社が開発したアメリカ空軍のステルス戦闘機です。

一度も撃墜されたことのないF-15という無敵の制空戦闘機を持つアメリカでしたが、1977年にはソ連のSu-27/30フランカーが出現し、F-15に匹敵する能力を有していました。アメリカはF-15の後継戦闘機を開発すべく、1980年頃から先進戦術戦闘機(ATF)計画をスタートします。

これにそって開発されたのがF-22なのですが、その選定の過程でロッキード・マーティン社のF-22と競ったのがノースロップ社のYF-23です。

YF-23。PHOTO USAF
YF-23。PHOTO USAF

F-22よりもどことなく未来を感じさせるYF-23。PHOTO USAF
F-22よりもどことなく未来を感じさせるYF-23。PHOTO USAF

1990年(平成2年)に初飛行し、F-22とともに選定試験に供されました。ステルス能力はF-22を上回り、スーパークルーズ(超音速巡航)などでもF-22に劣らぬ性能を発揮していたとされ、外見はF-22に比べ先進的なスタイルとなっています。

無敵の戦闘機として君臨するF-22ラプター。PHOTO USAF
無敵の戦闘機として君臨するF-22ラプター。PHOTO USAF

充分な能力を有していたYF-23でしたが、1991年(平成3年)4月22日、アメリカ空軍がF-22を採用したため試作機が2機造られた段階で終了しました。どうしてF-22だったのか、はっきり知りたいところですが選定の詳細は公表されていません。

YF-23の正面。PHOTO USAF
YF-23の正面。PHOTO USAF

YF-23の後面。推力偏向装置は搭載されていません。PHOTO USAF
YF-23の後面。推力偏向装置は搭載されていません。PHOTO USAF
工場でのYF-23。PHOTO USAF
工場でのYF-23。PHOTO USAF
運用者-
主要なバリエーション
生産数2
スペック型式-
全 幅13.30m
全 長20.60m
全 高4.30m
翼面積88㎡
自 重13,100kg
総重量/最大離陸重量23,322kg
発動機YF119-PW-100(AB 15,876kg)×2
最大速度2,335km/h+
実用上昇限度19,800m
戦闘行動半径800km
航続距離4,500km+
乗 員1名
初飛行1990年8月27日
就 役-
退 役-
兵 装