「多任務戦闘機」タグアーカイブ

ロッキード・マーチンF-16ファイティング・ファルコン

Lockheed Martin F-16 Fighting Falcon
ロッキード・マーチンF-16ファイティング・ファルコンLockheed Martin F-16 Fighting Falcon

最新鋭の軽量級戦闘機

アメリカ空軍のベストセラー

ジェネラル・ダイナミクス(現 ロッキード・マーティン)F-16ファイティング・ファルコン(1974-)はアメリカ空軍にとってF-86以来のベストセラーとなった軽量級戦闘機です。最新のテクノロジーとコストカットを両立させた傑作戦闘機として世界各国で運用されています。日本のF-2戦闘機はこのF-16を母体として開発されました。

アメリカ空軍は、1972年(昭和47年)に最強の制空戦闘機F-15の初飛行に成功し、1974年(昭和49年)から部隊配備を開始していました。本来であれば、F-15を必要数揃えられればいうことなかったわけですが、全てに最高・最強を目指したF-15の価格は、現在の感覚でいえば概ね1機あたり100億円以上と大変に高額です(飛行機の価格は比較が難しいためあくまで感覚的な参考価格)。

下からF-15、F-16、P-51マスタング。
下からF-15、F-16、P-51マスタング。

ベトナム戦争の影響によるアメリカ国内のインフレやいつもながらの議会のコストカット要求も相まって、アメリカ空軍の希望は叶えられそうにありません。
そこで、機能を絞った小型軽量の優秀な戦闘機を開発し、不足分を補おうということになりF-16の開発が始まりました。F-15を「High」、F-16を「Low」として「ハイ・ロー・ミックス」と呼ばれる戦力構築を目指したわけです。開発発注における選考では後のアメリカ海軍艦上戦闘機F/A-18と争い、F-16が勝利しています。

イスラエル空軍の独自改修型F-16Dブラキート(複座型)。ワイルド・ヴィーゼル(敵防空網制圧)機です。単座型はF-16Cバラクと名付けられています。PHOTO USAF
イスラエル空軍の独自改修型F-16Dブラキート(複座型)。ワイルド・ヴィーゼル(敵防空網制圧)機です。単座型はF-16Cバラクと名付けられています。PHOTO USAF

自身満々、最高級の重量級戦闘機を揃えて失敗したベトナム戦争の教訓

常に考えうる限り最強の戦闘機を目指し続けてきたアメリカ空軍は、過去ほとんどの戦闘機において、最新の電子機器やミサイルなどを裝備し、多大な燃料を搭載した大型の機体を大出力のエンジンで引っ張るという開発方針でしたから、軽量級戦闘機を敬遠する傾向にありました。

イラクで作戦中のF-16。PHOTO USAF
イラクで作戦中のF-16。PHOTO USAF

ところが、それぞれが得意分野において最高の性能を発揮していたセンチュリーシリーズやF-4ファントムⅡといった、超がつく高級重量級ファイターを配備して自身満々でのぞんだベトナム戦争において、大きくつまづくことになりました。

アメリカ空軍の最高級&重量級ファイターに比べれば、貧弱といってもいい電子裝備や旧式な機体構造で軽快な運動性能だけが頼りの、ソ連製MiG-17/19/21といった戦闘機を相手に1.5:1もしくは2:1という程度のキルレシオ(撃墜被撃墜比率)しか残せなかったのです。

ファイター・マフィアのボス、ジョン・ボイド少佐

この反省から、いかなる状況においても敵機を圧倒し制空権を確保する最強の制空戦闘機としてF-15が開発されたわけですが、「有視界の格闘戦に勝利する小型軽量の戦闘機」があれば制空権は確保できると主張する「ファイター・マフィア」と呼ばれる空軍の一派がありました。

ベトナム戦争や中東戦争をみても、マッハ2で戦闘機が戦い合うということは少なく、ほとんどは音速以下、かつ昼間に有視界で行われていました。ならば、空戦に影響の少ない機体の大型化は避け、最高速度は下げて電子裝備を簡易にしても、機動性が高ければ空戦に勝利できるというわけです。

イラク上空でKC-135ストラトタンカーから空中給油を受けるF-16C。PHOTO USAF
イラク上空でKC-135ストラトタンカーから空中給油を受けるF-16C。PHOTO USAF

ファイター・マフィアのボスは空戦理論家としても著名だった、ジョン・ボイド少佐でした。アメリカ海軍戦闘機兵器学校(FWS)の戦闘機教官を務めた後、ジョージア工科大学に物理学と熱力学を学び、後に画期的な航空機の機動性を導き出す、エネルギー機動性理論(E-M理論)を構築します。

これは、航空機の機動性は機動エネルギーと運動エネルギーの総和であるというもので、Ps(航空機の比エネルギー)=(T[推力]ーD[効力])V(速度)/W(機体重量)という公式で表されます。

後には世界の兵法家やその戦史を研究し続け、戦闘・軍事理論を壮大なスケールで構築し、アメリカ空軍のみならず、アメリカ陸軍や海兵隊にも大きな影響を与え、退役後はアメリカ国家機関のコンサルタントとして活躍しました。

アメリカ空軍の伝統的な重量級戦闘機路線と闘ったように、官僚機構との衝突を辞さなかった気骨の人だったようです。国家機関コンサルタント時代、質素な家に住み、周囲から揶揄されても意に介さず、少額の給与しか受け取らなかったという行動からも、その片鱗が伺えます。

F-16が導入した革新的テクノロジー

安価な軽量級戦闘機というと安物のように聞こえますが、そうではありません。F-16は無駄をそぎ落とし、有視界の格闘戦に勝利するための革新的なテクノロジーを備えた戦闘機です。

F-16は機体形状とコンピュータ制御による4重もの飛行制御システム(フライ・バイ・ワイヤ)によって高い運動性を発揮しています。これは、静安定性緩和(RSS)もしくは操縦性優先形態機(CCV)と呼ばれ、実験機ではなく実用機で採用されたのはF-16が初めてです。

飛行するということは一方向の安定性(静安定性)が必要とされますが、空中で機動するということは反対に不安定性が必要とされます。要するに運動性を確保するためには、わざと静安定性を崩さなくてはなりません。静安定性を崩すということは失速や墜落と同じ延長線上にあるということです。

静安定性を崩せば崩すほど、急な機動が可能になるわけですが、その分、人の能力ではまともに真っ直ぐ飛ぶこともできないということになり、失速や墜落のリスクは高くなります。このアンバランスなバランスをコンピュータによって制御することでリスクをカットし、機動性を向上させたのがフライ・バイ・ワイヤと呼ばれる飛行制御システムです。

フライ・バイ・ワイヤと人との最大の接点である操縦桿は、F-16ではジョイスティックとなっています。戦闘機の操縦といえば、股の間にある操縦桿を操作するイメージがあり、実際F-16以前はそうでした。しかし、F-16はパイロットの右側に置かれたジョイスティック(デジタル式操縦桿)によって操縦を行います。

F-16Cのコクピット。PHOTO USAF
F-16Cのコクピット。PHOTO USAF

機体構造には、ブレンデッド・ウィング・ボディが採用されています。主翼と胴体は美しくなだらかに融合されており、全体がまるで一つの翼のようです。この構造は飛行特性は向上させ、構造の単純化により重量軽減ともなっています。

ケンタッキー空軍州兵基地のF-16。PHOTO USAF
ケンタッキー空軍州兵基地のF-16。PHOTO USAF

コストカット

F-16では最新技術を導入すると同時にコストカットも徹底して行われました。1950年代からアメリカの戦闘機に多く使われてきた高額のチタン合金をF-15の10分の1程度に減らし、進化してきた複合素材を多用することで材料費を軽減しています。

既存部品の活用と小改造を合わせると全体の80%にも及び、生産工程の簡易化もあわせて進められました。エンジンはF-15と同じプラット&ホイットニー社製F100を採用し、量産効果による取得価格低下を図っています。

ベストセラー

高性能と取得しやすい価格を実現したF-16はアメリカ軍で2,200機以上が導入された他、現在に至るまで4,500機以上が生産され、ベストセラー戦闘機となっています。F-16A型とC型は米空軍曲技飛行隊サンダーバーズの使用機となっています。A型が昭和58年(1983年)〜平成3年(1991年)、続いてC型が平成4年(1992年)〜現在まで使用されています。ジェット戦闘機の開発サイクルが長くなったとはいえ、30年以上に渡り使用され続けいることはF-16の高い飛行性能を物語っています。

採用した国はアメリカを始め、トルコ、シンガポール、イスラエル、台湾、エジプト、ベルギー、オランダ、ノルウェー、ギリシャなど世界20か国に及び、数多くの派生型、発展型をうみながら、現在も生産が続いています。

2003年に初飛行した発展型のF-16E/Fデザートファルコン。コクピットはグラスコクピットとなり、液晶ディスプレイが並びます。他にも多くの改修が行われ戦闘力が強化されています。PHOTO USAF
2003年に初飛行した発展型のF-16E/Fデザートファルコン。コクピットはグラスコクピットとなり、液晶ディスプレイが並びます。他にも多くの改修が行われ戦闘力が強化されています。PHOTO USAF

運用者アメリカ空軍
アメリカ海軍
ベルギー空軍
デンマーク空軍
オランダ空軍
ノルウェー空軍
ギリシャ空軍
イタリア空軍
ポーランド空軍
ポルトガル空軍
バーレーン空軍
エジプト空軍
イスラエル空軍
イラク空軍
ヨルダン空軍
オメーン空軍
トルコ空軍
アラブ空軍
モロッコ空軍
インドネシア空軍
パキスタン空軍
シンガポール空軍
台湾空軍
韓国空軍
タイ空軍
チリ空軍
ベネゼエラ空軍
ブルガリア空軍
コロンビア空軍
フィリピン空軍
ルーマニア空軍
主要なバリエーションYF-16 試作機。YF-17と争った
F-16FSD 量産テスト機
F-16A/B 最初の量産型。Bは複座型
F-16A/B ADF 空軍州兵向け迎撃戦闘機
F-16AM/BM NATO4か国向け改修型。電子機器全般を改修
F-16CCV YF-16を改修した試験機
RF-16 偵察機
F-16C/D ブロック25以降。1984年から配備。電子機器や機体を改良。途中からエンジンも換装
F-16CG/DG 夜間作戦能力向上型
F-16N 米海軍のアドバーサリー機(仮想敵機)
F-16E/F 電子機器、エンジン改修。胴体両側に張り出した箱型が特徴
F-16V 近代化改修型。電子機器などを改修
生産数4,540
スペック型式F-16C
全 幅9.96m
全 長15.06m
全 高4.88m
翼面積27.87㎡
自 重8,570kg
総重量/最大離陸重量19,200kg
発動機F110-GE-100(7,781kg/AB 12,972kg)
最大速度2,120km/h
実用上昇限度15,240m
戦闘行動半径1,520km
航続距離4,220km
乗 員1名
初飛行1974年2月2日
就 役1978年12月
退 役-
兵 装

ロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡ(C)

Lockheed Martin F-35 Lightning Ⅱ(C)
ロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡ(C)Lockheed Martin F-35 Lightning Ⅱ(C)

最新鋭ステルス戦闘機(艦上戦闘機型)

初の艦上ステルス機

※文頭写真:Lockeed Martin
※F-35の基本性能等については、ロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡ(A)記事をご覧ください。

ロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡはアメリカが開発した最新の戦闘機です。一つの基本設計でアメリカ空・海・海兵隊の戦闘機を開発しようという、統合打撃戦闘機(JSF=Joint Strike fighter)計画からうまれました。

基本設計から生み出される形は3種類あり、通常の飛行場において運用するA型、垂直に離着陸できるB型(短距離離陸垂直離着陸)、航空母艦において運用するC型(艦上戦闘機)の3種類があります。

C型は航空母艦において運用する艦載機型です。F-35は英国や日本、イタリア、オランダなどアメリカと同盟関係にある国々が導入しますが、艦載機型のC型は米海軍と海兵隊のみが導入します。

アメリカ海軍の主力戦闘機としては久しぶりの単発機。エンジンの信頼性が向上してきたのでしょう。PHOTO Lockeed Martin
アメリカ海軍の主力戦闘機としては久しぶりの単発機。エンジンの信頼性が向上してきたのでしょう。PHOTO Lockeed Martin

陸上の飛行場から離発着するA型と違い、C型は狭い空母の甲板に離発着するため低速時の安定性が求められることから、主翼、垂直・水平尾翼がそれぞれ大型化しています。また、離着陸時の衝撃に耐えるため、機体構造や降着装置の強化が行われ、主翼も折りたためるようになっています。戦闘機は主翼に燃料を搭載しているため、主翼を大型化したC型は、燃料搭載量が増え航続距離が延びています。

F-35Cの試験機。離着艦時の揚力を得るため主翼が大きくなっているのが最も特徴的です。PHOTO Lockeed Martin
F-35Cの試験機。離着艦時の揚力を得るため主翼が大きくなっているのが最も特徴的です。PHOTO Lockeed Martin

空母を中心とし他の追随を許さない断トツの洋上戦力を持つアメリカ海軍にまたひとつ、ステルス戦闘機という武器が加わります。PHOTO Lockeed Martin
空母を中心とし他の追随を許さない断トツの洋上戦力を持つアメリカ海軍にまたひとつ、ステルス戦闘機という武器が加わります。PHOTO Lockeed Martin

ステルス性維持のため兵装は胴体内に格納します。そのためすっきりとした胴体下面。ただ、主翼下にハードポイントをつけるテストも行われています。それほどステルス性が問われない任務に対するものでしょう。PHOTO Lockeed Martin
ステルス性維持のため兵装は胴体内に格納します。そのためすっきりとした胴体下面。ただ、主翼下にハードポイントをつけるテストも行われています。それほどステルス性が問われない任務に対するものでしょう。PHOTO Lockeed Martin

F-35は昔のように脚の間に太い操縦桿があり、加える力によって運動が加減されるのではなく、電気信号を伝達するステッィクにより操縦します。大雑把にいえばゲームのジョイスティックと同じ様なものです。さらに、戦闘機乗りにとっても難しい空母への着艦を、ある程度自動で行われるオートスラスト機能(自動推力制御装置)が装備されています。

試験中のF-35C(艦載機型)。PHOTO Lockeed Martin
試験中のF-35C(艦載機型)。PHOTO Lockeed Martin

多用途性と信頼性の高さから現在、アメリカ海軍空母の艦上を占拠することとなったF/A-18(前)とF-35(後)。PHOTO Lockeed Martin
多用途性と信頼性の高さから現在、アメリカ海軍空母の艦上を占拠することとなったF/A-18(前)とF-35(後)。PHOTO Lockeed Martin

米海軍としては、初めてのステルス艦上戦闘機となります。米海軍のニミッツ級原子力空母に最新鋭のステルス戦闘機が配備される、ということは日本にとっても大変良い抑止力となるでしょう。

F-35には最新のヘッドマウントディスプレイ(HMD)が採用されています。バイザーには飛行情報や戦術データなどの情報が表示され、前を向いたまま全周囲をカバーできます。
F-35には最新のヘッドマウントディスプレイ(HMD)が採用されています。バイザーには飛行情報や戦術データなどの情報が表示され、前を向いたまま全周囲をカバーできます。

運用者-
主要なバリエーションX-35A 試作機。通常離着陸型(CTOL)
X-35C 試作機。艦上離着陸型
X35B X35Aを改造した試作機。短距離離陸・垂直着陸型(STOVL)
生産数-
スペック型式-
全 幅13.11m
全 長15.70m
全 高4.6m
翼面積62.1㎡
自 重13,924kg
総重量/最大離陸重量31,800kg
発動機F135-400(C/12,746kg/AB 19,505kg)×1
最大速度2,220km/h(C)
実用上昇限度15,240m
戦闘行動半径1,111km
航続距離2,520km
乗 員
初飛行2010年6月8日(C)
就 役-
退 役-
兵 装

ロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡ(B)

Lockheed Martin F-35 Lightning Ⅱ(B)
ロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡ(B)Lockheed Martin F-35 Lightning Ⅱ(B)

最新鋭ステルス戦闘機(短距離離陸垂直離着陸型)

短距離離陸・垂直着陸型

※文頭写真:F-35 Lightning II program F-35 Lightning II program
※F-35の基本的な性能等についてはロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡ(A)の記事をご覧ください。

ロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡはアメリカが開発した最新の戦闘機です。一つの基本設計でアメリカ空・海・海兵隊の戦闘機を開発しようという、統合打撃戦闘機(JSF=Joint Strike fighter)計画からうまれました。

基本設計から生み出される形は3種類あり、通常の飛行場において運用するA型、垂直に離着陸できるB型(短距離離陸垂直離着陸)、航空母艦において運用するC型(艦上戦闘機)の3種類があります。

アメリカ海兵隊に引き渡されてテスト中のF-35B。2014年3月。PHOTO Lockeed Martin
アメリカ海兵隊に引き渡されてテスト中のF-35B。2014年3月。PHOTO Lockeed Martin

STOVL(短距離離陸垂直離着陸)のB型は、垂直に離着陸することができます。これまで米海兵隊で運用されていたSTOVL戦闘機は米国マクドネル・ダグラス社(現 ボーイング社)が開発したAV-8BハリアーⅡ(1978年初飛行)でした。もともとは、英国ホーカー・シドレー社が開発したハリアーGR.1(1960年初飛行)であり、これを米国のマクドネル・ダグラス社が改良したのがAV-8BハリアーⅡです。

米海兵隊の強襲揚陸艦USSパターンにおいて垂直着陸を行う、AV-8ハリアー。PHOTO USNAVY
米海兵隊の強襲揚陸艦USSパターンにおいて垂直着陸を行う、AV-8ハリアー。PHOTO USNAVY

垂直離着陸機は必然、構造が複雑となり陸上戦闘機や艦上戦闘機に比べ戦闘能力にも劣っており、米軍としては、ハリアーの後継としてすでに海兵隊で使用されている艦載機のF/A-18ホーネットなどの戦闘攻撃機を考えていましたが、世界中に部隊を展開する米海兵隊は、必ずしも設備の整った飛行場ばかりを使うわけではありませんから、米海兵隊としては垂直離着陸機にこだわりがありハリアーⅡが開発されることになりました。そして、そのハリアーⅡの後継がF-35Bということになります。ちなみに、ハリアーⅡは日本も導入計画がありました。

F-35Bの試作機BF-02とBF-03。PHOTO Lockeed Martin
F-35Bの試作機BF-02とBF-03。PHOTO Lockeed Martin

アメリカ海軍の強襲揚陸艦USSワスプにおいて着艦テスト中のF-35B。空母だけでなくF-35BはSTOVL能力を活かし、空母でなくても運用できます。PHOTO Lockeed Martin
アメリカ海軍の強襲揚陸艦USSワスプにおいて着艦テスト中のF-35B。空母だけでなくF-35BはSTOVL能力を活かし、空母でなくても運用できます。PHOTO Lockeed Martin

垂直離着陸の際には、ジェットエンジンの排気をノズルを折り曲げることにより下方に向け、同時にクラッチを介して前方のリフトファンを動かします。これら垂直離着陸用の構造が他の性能を低下させることはハリアーⅡと変りなく、航続距離はA型(通常離着陸型)、C型(艦載機型)と比べ約70%となり、兵装搭載量も20%程少なくなっています。

2013年(平成25年)8月13日、アメリカ海軍の強襲揚陸艦USSワスプ艦上において短距離離陸のテストを行うイギリス軍のF-35B。PHOTO Lockeed Martin
2013年(平成25年)8月13日、アメリカ海軍の強襲揚陸艦USSワスプ艦上において短距離離陸のテストを行うイギリス軍のF-35B。PHOTO Lockeed Martin

ユーロファイター・タイフーン(手前2機)と飛ぶF-35B。PHOTO Lockeed Martin
ユーロファイター・タイフーン(手前2機)と飛ぶF-35B。PHOTO Lockeed Martin
F-35に搭載されている最新のAN/APG-81火器管制レーダー。レーダー反射断面積(RCS)が1平米程のステルス性に優れたラファールなどでも150km先から探知できます。同時に23個もの標的を探知できる能動型電子走査配列のレーダーです。
F-35に搭載されている最新のAN/APG-81火器管制レーダー。レーダー反射断面積(RCS)が1平米程のステルス性に優れたラファールなどでも150km先から探知できます。同時に23個もの標的を探知できる能動型電子走査配列のレーダーです。

米海兵隊、英国空海軍、イタリア海軍などがB型の導入を予定しており、平成25年(2013年)には米国において垂直離陸に成功し、平成27年(2015年)から運用が始まっています。

運用者-
主要なバリエーションX-35A 試作機。通常離着陸型(CTOL)
X-35C 試作機。艦上離着陸型
X35B X35Aを改造した試作機。短距離離陸・垂直着陸型(STOVL)
生産数-
スペック型式-
全 幅10.67m
全 長15.60m
全 高4.6m
翼面積42.73㎡
自 重13,888kg
総重量/最大離陸重量27,300kg
発動機F135-600(B/12,746kg/AB 19,505kg)×1
最大速度1,960km/h(B)
実用上昇限度15,240m
戦闘行動半径833km
航続距離1,670km
乗 員
初飛行2008年7月11日(B)
就 役-
退 役-
兵 装

ロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡ(A)

Lockheed Martin F-35 Lightning Ⅱ(A)
ロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡ(A)Lockheed Martin F-35 Lightning Ⅱ(A)

最新鋭ステルス戦闘機(通常離着陸型)

いよいよ運用迫る

※文頭写真:USAF

ロッキード・マーチンF-35ライトニングⅡはアメリカが開発した最新の戦闘機です。一つの基本設計でアメリカ空・海・海兵隊の戦闘機を開発しようという、統合打撃戦闘機(JSF=Joint Strike fighter)計画からうまれました。

基本設計から生み出される形は3種類あり、通常の飛行場において運用するA型、垂直に離着陸できるB型(短距離離陸垂直離着陸)、航空母艦において運用するC型(艦上戦闘機)の3種類があります。

アメリカ空軍に引き渡され、カリフォルニア上空でテスト中のF-35A。PHOTO Lockeed Martin
アメリカ空軍に引き渡され、カリフォルニア上空でテスト中のF-35A。PHOTO Lockeed Martin

試作機AA-1(A型)のテスト飛行。PHOTO Lockeed Martin
試作機AA-1(A型)のテスト飛行。PHOTO Lockeed Martin

アメリカは1960年代にF-111という戦闘機で同じように基本設計を空・海軍で共用するという構想を進めましたが、艦上戦闘機の制約から海軍が不採用を決め、失敗に終わっています。

実に優秀な爆撃性能を有する戦闘攻撃機となったF-111。PHOTO USAF
実に優秀な爆撃性能を有する戦闘攻撃機となったF-111。PHOTO USAF

約30年を経て進化して復活した統合打撃戦闘機(JSF=Joint Strike fighter)計画は、どうやら成功しつつあります。電子機器の複雑化などにより戦闘機の開発は年々高度化、高額化しており、このJSF計画もアメリカを主とし、イギリス、イタリア、オランダ、ノルウェー、デンマーク、オーストリアなどが開発に参加する国際共同の形をとり、巨額の費用を賄っています。

1980年代に冷戦構造は弱まり始め、1991年には東の領主ソ連が崩壊します。最大にして唯一といってもいいライバルがいなくなったアメリカは、当然の如く軍事費削減が急ピッチで進みます。

いつ最新鋭機が出現するかもわからないソ連を凌駕する高性能な戦闘機を常に配備する必要がなくなり、高性能&高コストの兵器開発は次々に中止となっていきます。それでも戦闘機の老朽化は進み、1990年代には空軍、海軍ともに次期戦闘機の計画を立てる必要に迫られていました。

とはいえ高度な電子機器、ステルス技術、複雑化するソフト開発など現代の戦闘機開発は膨大な開発費が必要です。そこで1995年、空軍・海軍・海兵隊の戦闘機を共通の基本設計から造るという統合打撃戦闘機(JSF=Joint Strike fighter)計画が考えられました。

これには、ボーイング、ロッキード・マーチン、マクドネル・ダグラスの3社が設計案を提出し、ボーイングとロッキード・マーチンの案が選ばれ試作機が発注されました。とはいえマクドネル・ダグラスはこの後ボーイングに吸収されましたから、結果的に3社とも関わっていくことになります。

2000年にはボーイングのX-32、ロッキード・マーチンのX-35共に初飛行に成功し各種のテストが繰り返されていきます。2006年には1号機が完成し2010年頃から各軍に引き渡されテストフライトが行われており、A型は2016年、B型は2015年、C型は2018年の運用開始を目指しています。

通常離着陸型のX-32A。PHOTO Boeing
通常離着陸型のX-32A。PHOTO Boeing

F-35は空対空、空対地などの様々な任務をこなす多目的戦闘機(マルチロール)です。レーダーにほぼ映らないステルス機であり、アフターバーナーを使用せずに音速を超える超音速巡航(スーパークルーズ)能力を持ち、高度な電子機器を搭載、ディスプレイをみながら背後の敵を攻撃するなどということも容易にこなします。

F-35のコクピットは一般的に想像する計器だらけのコクピットとは全く違っています。ヘルメットにはターミネーターのように情報が表示され、正面にはipadのようなディスプレイが並び、操縦桿は電子式となっています。

中央に大きなパネル、左右にスティックが配されたF-35のコクピット。
中央に大きなパネル、左右にスティックが配されたF-35のコクピット。

アメリカが統合運用するリンク21という情報ネットワークに繋がり、情報はリアルタイムに共有されます。高度な電子機器と情報ネットワークを駆使し、一方的に敵を葬り去る能力は未来の戦闘機とも、空の忍者ともいいたい存在です。

F-35は空対空、空対地、双方をこれまでにない能力をもって遂行します。レシプロ戦闘機の時代から、戦闘機同士の戦いを制する鉄則は「先制発見、先制攻撃、即時逃走」であり、正々堂々と勝負などしてはいけないのです。肉眼で敵をみつけていた時代、エースパイロットといわれた人々は例外なく、良い目と優れた注意力を持っていました。

戦闘機が楽々と超音速で飛行する現在、敵を肉眼で捉えるということはありません。かわりに目となるのはレーダーとネットワークです。F-35を筆頭にアメリカ(及び西側)の戦闘機はネットワーク力に優れており、たとえ飛行性能が劣っていようともネットワークを駆使して先に敵の位置を掴めれば圧倒的優位に立つことができます。

F-35の敵戦闘機との戦いを想定してみます。
あるF-35が敵機を捉えたとします。敵機を捉えたF-35はネットワークに情報を送信したら即座に退避します。その情報はリンク21ネットワークに接続するすべての味方戦闘機が共有します。敵機を発見したF-35は敵機のレーダーに感知された可能性がごくわずかでもありますから、すぐに退避するわけです。

その中から最もリスクの少ない戦闘機がミサイルの射程圏内まで接近。最新のAIM-120アムラーム空対空ミサイルであれば、一昔前のように母機である戦闘機が途中まで敵機を補足してあげる必要はなく、自立誘導ですから射程距離である70km〜100kmに入ったところでミサイルを発射し、即座に退避します。

恐らく敵機はF-35の存在に気がついていないでしょうから、いきなり撃墜されて終わりということになります。

対地攻撃においては、信じられないように精密なピンポイント空爆が可能です。太平洋戦争末期にアメリカが日本にしたような、民間人でもおかまいなしにすべてを焦土と化すような絨毯爆撃は、現在では起こる可能性は少なく、一人もしくは一つの建物を狙い打つような暗殺空爆が起こりやすいシチュエーションです。

グリーンベレーやネイビーシールズ、特殊作戦群(USSOCOM)といったアメリカ軍の特殊部隊や、アメリカ中央情報局(CIA)などの情報機関が「この建物に標的がいる」と確定すれば、F-35は敵レーダーをかいくぐって「どの窓」という精度で爆撃が可能です。これだけの正確性がありますから、あえて火薬を積まずに狙うこともあります。

また、ステルス性と精密な爆撃精度、そして空中戦にも強いというF-35は、敵防空網が充分に機能している戦争初期段階での攻撃にはうってつけであり、ステルス戦闘機を持たないアメリカ海軍にとっては特に大変重要な役割を担うことになりそうです。

2013年(平成25年)5月14日、空中給油ミッション中のF-35。PHOTO USAF
2013年(平成25年)5月14日、空中給油ミッション中のF-35。PHOTO USAF

ステルス能力獲得のために形状制御されたフォルムは独特の美しさを感じさせます。PHOTO USAF
ステルス能力獲得のために形状制御されたフォルムは独特の美しさを感じさせます。PHOTO USAF

航空自衛隊 F-35A

◎F-35空自初号機、平成28年10月に納入と発表
航空自衛隊はF-35Aを航空自衛隊の次期主力戦闘機として採用しています。平成28年(2016年)7月22日、航空自衛隊の杉山良行 航空幕僚長は記者会見を行ない、10月に初号機が米国ロッキード・マーチン社より納入されると発表しました。
これにあわせ、11月から米国アリゾナ州にある米空軍基地において操縦訓練が実施され、平成29年度(2017年度)には青森県の空自三沢基地に配備される予定です。平成28年度(2016年度)は4機が納入され、その後、38機は国内組立により随時納入されることになっています。購入価格は1機約180億円です。

◎F-35配備可能となる。空自への納入も間近
米空軍は8月2日、F-35A(通常離着陸型)が初期運用能力を獲得し、配備可能になったと発表しました。これに伴い、自衛隊にも平成29年(2017年)3月末までに4機が引き渡される予定となっていて、最初の機体は平成28年9月にも引き渡される可能性があります。米海兵隊仕様のF-35Bは既に初期作戦能力を獲得しており、平成29年(2017年)に山口県の岩国基地に配備されることとなっています。(平成28年8月2日、時事通信他)

◎航空自衛隊F-35A、初号機の写真が公開される
平成28年(2016年)8月15日、航空自衛隊に全42機が納入されるF-35Aの写真が公開されました。公開されたのは平成24年度契約分4機のうちの初号機であり、米国ロッキード・マーティン社フォートワース工場において製造中のものです。初号機は、組み立て作業と塗装が完了し、地上試験等を実施中。機体側面にグレーの日の丸が描かれています。同年8月中にはさらに試験飛行が行われます。

平成28年(2016年)8月15日、初公開された航空自衛隊に納入予定のF-35A初号機。写真:航空自衛隊
平成28年(2016年)8月15日、初公開された航空自衛隊に納入予定のF-35A初号機。写真:航空自衛隊

平成28年(2016年)8月15日、初公開された航空自衛隊に納入予定のF-35A初号機。写真:航空自衛隊
平成28年(2016年)8月15日、初公開された航空自衛隊に納入予定のF-35A初号機。写真:航空自衛隊

◎航空自衛隊F-35A、初号機ロールアウト
航空自衛隊F-4EJ改の後継として平成23年(2011年)12月19日に採用が決定したF-35Aの初号機が完成し、平成28年(2016年)9月23日、製造元の米ロッキード・マーチン社フォートワース工場(テキサス州)において、日本の政府関係者を招いてロールアウト式典が行われました。ロールアウトとは、完成後に工場から出て公表されることです。航空自衛隊は平成28年(2016年)〜平成36年(2024年)にかけて42機を導入する計画となっています。うち4機は米国にて製造され、残りの38機は国内の三菱重工において組み立てが行われます。
米国にて4機が製造され、その機体を使って航空自衛隊のパイロットが米軍パイロットとともに訓練を行い、早ければ来年度にも三沢基地(青森県)に配備される予定となっています。

運用者-
主要なバリエーションX-35A 試作機。通常離着陸型(CTOL)
X-35C 試作機。艦上離着陸型
X35B X35Aを改造した試作機。短距離離陸・垂直着陸型(STOVL)
生産数-
スペック型式-
全 幅10.67m
全 長15.70m
全 高4.6m
翼面積42.73㎡
自 重12,426kg
総重量/最大離陸重量31,800kg
発動機F135-100(A/12,746kg/AB 19,505kg)×1
最大速度2,220km/h(A)
実用上昇限度15,240m
戦闘行動半径1,092km
航続距離2,220km
乗 員1名
初飛行2000年10月24日(検証機) 2006年12月15日(A)
就 役-
退 役-
兵 装

ボーイングF/A-18スーパーホーネット

Boeing F/A-18 Super Hornet
ボーイングF/A-18スーパーホーネットBoeing F/A-18 Super Hornet

優れた多用途戦闘機

アメリカ海軍の艦上を占拠するスズメバチ

※文頭写真:アメリカ海軍空母カール・ビンソンから出撃するF/A-18スーパーホーネット。PHOTO USNAVY

ボーイング(マクドネル・ダグラス)F/A-18E/Fスーパーホーネットは、アメリカ海軍の艦上戦闘機です。1978年に初飛行し、1983年より部隊配備されたF/A-18A〜Dホーネットの発展型として1988年より開発されました。Eは単座型、Fは複座型です。

F/A-18Fスーパーホーネット。PHOTO Boeing
F/A-18Fスーパーホーネット。PHOTO Boeing

空対空、空対地、空中給油と多目的に活躍し、低い故障発生率、優れた整備の容易性をも兼ね備えた高性能機です。F-35配備前の現在、アメリカ海軍空母の艦上はF/A-18ホーネット/スーパーホーネットが占拠しているといった様相です。

F/A-18スパーホーネットの下面。高い多用途性を担保する優れた兵装搭載量を誇ります。PHOTO Boeing
F/A-18スパーホーネットの下面。高い多用途性を担保する優れた兵装搭載量を誇ります。PHOTO Boeing

開発の経緯などは「F/A-18A〜Dホーネットの項」をご覧ください。

1988年からマクドネル・ダグラス社はF/A-18ホーネットを大幅に改良したホーネット2000という機種を計画し営業活動を行います。

1992年、アメリカ海軍はホーネット2000をF/A-18E/Fスーパーホーネットとして採用、1995年には初飛行を行います。F/A-18ホーネットに比べて大きさ・重量・翼面積・燃料搭載量は25%〜30%増加し、エンジン推力は7,300kgから9,980kgに強化、飛行性能は向上し、より多くの兵装を搭載することが可能となりました。

F/A-18スーパーホーネットの電子戦機型、EA-18Gグロウラー。PHOTO Boeing
F/A-18スーパーホーネットの電子戦機型、EA-18Gグロウラー。PHOTO Boeing

F/A-18スーパーホーネットのコクピット。電子化が進んでいます。
F/A-18スーパーホーネットのコクピット。電子化が進んでいます。

F/A-18A〜DとE/Fを外見上すぐに判別できる点は、E/Fは機体が大きいこと、コクピット後部両側から張り出したエラのような部分が大きいこと、空気取入口(インテーク)が円形から角ばった形になっていることなどです。

アメリカ海軍空母エンターブライズの格納庫に収容されるホーネット。右がスーパーホーネット、左がホーネット。PHOTO USNAVY
アメリカ海軍空母エンターブライズの格納庫に収容されるホーネット。右がスーパーホーネット、左がホーネット。PHOTO USNAVY

運用者アメリカ海軍
オーストラリア空軍
主要なバリエーションF/A-18E 単座量産型
F/A-18F 複座量産型
EA-18G 複座の電子戦機
生産数500
スペック型式-
全 幅13.68m
全 長18.5m
全 高4.87m
翼面積46.45㎡
自 重14,007kg
総重量/最大離陸重量29,932kg
発動機F414-GE-400(6,350kg/AB 10,000kg)×2
最大速度2,205km/h
実用上昇限度15,240m
戦闘行動半径910km
航続距離3,705km
乗 員1名
初飛行1995年11月29日
就 役1999年1月
退 役-
兵 装

ボーイングF/A-18ホーネット

Boeing F/A-18 Hornet
ボーイングF/A-18ホーネットBoeing F/A-18 Hornet

どこか地味な傑作機

高い多目的性を有し、運用しやすい

※文頭写真:アメリカ海軍原子力空母ニミッツに着艦する、海兵隊のF/A-18Aホーネット。PHOTO USNAVY

ボーイング(マクドネル・ダグラス)F/A-18ホーネットは、アメリカ海軍の艦上戦闘機です。1978年に初飛行し、1983年より部隊配備されています。F/A-18A〜Dをホーネット、大きく改修された発展型のF/A-18E/Fをスーパーホーネットと呼びます。空対空、対地攻撃双方の任務をこなす戦闘攻撃機であり多用途性、費用対効果の高さなどから約1,500機が生産され、F-35配備前の現在、アメリカ海軍空母艦上のほとんどを占めています。

アメリカ海軍空母ロナルド・レーガン艦上で離艦準備をするF/A-18ホーネット。2011年(平成23年)2月27日。PHOTO USNAVY
アメリカ海軍空母ロナルド・レーガン艦上で離艦準備をするF/A-18ホーネット。2011年(平成23年)2月27日。PHOTO USNAVY

本機は現在も運用されベストセラーとなったアメリカ空軍のF-16採用にあたって提案された2案のうちの一つです。アメリカ空軍は大型のF-15が高価となり維持費もかさむことから、軽量で比較的安価な空戦戦闘機とあわせて運用するハイローミックスという運用構想を推進すべく開発を進め、ジェネラル・ダイナミクスYF-16とノースロップYF-17のうちからYF-16を選び、F-16ファイティングファルコンとして採用しました。

この時、F-16と争ったノースロップYF-17は飛行性能や先端技術の導入、コスト面で劣っていたためアメリカ空軍には採用されませんでしたが、ちょうどF-4ファントムⅡやA-7コルセアの代替となる戦闘攻撃機を求めていたアメリカ海軍に対し、議会から先述の空軍コンペの2機種のうちから選ぶよう決定が下されたのでした。

YF-16(後のF-16)と米空軍のトライアルを受けたYF-17(後のF/A-18)。写真:USAF
YF-16(後のF-16)と米空軍のトライアルを受けたYF-17(後のF/A-18)。写真:USAF

そこで、海軍は、優れた低速性能、双発エンジン、余裕のある機体サイズなどを評価してYF-17を選びます。マクドネル・ダグラスはYF-17を海軍の仕様にあわせて大型化し、エンジンも改修、電子機器も更新するなど高性能化し、艦上機としての装備を追加してF/A-18ホーネットとして提案し1976年に制式に契約を交わします。

2010年(平成22年)環太平洋合同演習(RIMPAC)におけるF/A-18ホーネット。2010年7月20日。PHOTO USAF
2010年(平成22年)環太平洋合同演習(RIMPAC)におけるF/A-18ホーネット。2010年7月20日。PHOTO USAF

F/A-18は特に攻撃機A-6Eイントルーダーを代替するものとして企図されましたが、冷戦終結後に起こった軍事予算削減の流れがローコストで多用途に運用できるF/A-18にとって追い風となりました。中でも高額の取得・維持費用がかかるF-14は真っ先に削減の対象となります。

エンジン強化型のF-14B。主翼を68度の最後退翼位置にして飛行中。1993年(平成5年)。PHOTO USNAVY
エンジン強化型のF-14B。主翼を68度の最後退翼位置にして飛行中。1993年(平成5年)。PHOTO USNAVY

アメリカ海軍としては予算があれば、最強の艦隊防空(FAD)戦闘機F-14を充分な数揃えたかったと思います。F/A-18も優れた性能とコストパフォーマンスを誇る戦闘機ですが、空対空の制空戦闘や艦隊防空(FAD)においてはF-14に劣っていたからです。

フルアフターバーナーで離艦するVFA34飛行隊ブルーバスターズのF/A-18Cホーネット。2011年(平成23年)3月18日。PHOTO USNAVY
フルアフターバーナーで離艦するVFA34飛行隊ブルーバスターズのF/A-18Cホーネット。2011年(平成23年)3月18日。PHOTO USNAVY

アメリカ海軍空母カール・ビンソン艦上のF/A-18(右)。左は発展型のF/A-18スーパーホーネット。2011(平成23年)1月15日。PHOTO USNAVY
アメリカ海軍空母カール・ビンソン艦上のF/A-18(右)。左は発展型のF/A-18スーパーホーネット。2011(平成23年)1月15日。PHOTO USNAVY

当時アメリカ海軍は艦上戦闘機として戦闘攻撃機F-8クルーセイダー(1955-1987)、戦闘攻撃機F-4ファントムⅡ(1958-1992)、攻撃機A-6Eイントルーダー(1963-1997)、要撃戦闘機F-14トムキャット(1970-2006)などを配備していました。

1987年にF-8、1992年にF-4、1997年にA-6Eが退役し、これらが担っていた任務はF/A-18が代替することとなり、徐々にF-14部隊もF/A-18へと代替されていきました。2006年にF-14が退役してからは、アメリカ海軍航空母艦の艦上はF/A-18に占拠されているといった様相です。

全天候型となったF-8D(F-8U-2N)。PHOTO USNAVY
全天候型となったF-8D(F-8U-2N)。PHOTO USNAVY

F-4ファントムⅡの魅力的な様子が感じられる角度からの写真。アメリカ海軍予備役飛行隊のひとつ、ミラマーに本拠地を置くVF-301飛行隊所属機。PHOTO USNAVY
F-4ファントムⅡの魅力的な様子が感じられる角度からの写真。アメリカ海軍予備役飛行隊のひとつ、ミラマーに本拠地を置くVF-301飛行隊所属機。PHOTO USNAVY

なぜF/A-18はこれほどのシェアを獲得したのでしょうか。F/A-18は1978年から試作機によってテストが開始されましたが、旋回性能、離陸重量(兵器搭載量)、戦闘行動半径、航続力、加速力など多くの項目で海軍の要求値を下回るという受難のスタートでした。

アメリカ海軍空母カール・ビンソン艦上のF/A-18(右)。左は発展型のF/A-18スーパーホーネット。2011(平成23年)1月15日。PHOTO USNAVY
アメリカ海軍空母カール・ビンソン艦上のF/A-18(右)。左は発展型のF/A-18スーパーホーネット。2011(平成23年)1月15日。PHOTO USNAVY

マクドネル・ダグラス社とアメリカ海軍はこれらの問題を粘り強く解決し、当初アメリカ海軍が要求した通りの高性能な戦闘攻撃機となっていきます。F/A-18の前任攻撃機、A-6EやA-7Eに比べて格段に高性能となっており、爆弾やミサイル、増槽を積んだ状態でも敵戦闘機と空中戦が戦えるほどの多用途性を有していました。また、整備性がとてもよく、1飛行時間あたりの整備に要する時間(マンアワー)はF-14F-4の約半分、故障発発生間隔は132分時間とされており、F-14AやA-7の35〜40分程度と比べても突出して優秀です。

F/A-18はアメリカ海軍の曲技飛行隊ブルーエンジェルスの使用機ともなっています。PHOTO USNAVY
F/A-18はアメリカ海軍の曲技飛行隊ブルーエンジェルスの使用機ともなっています。PHOTO USNAVY

整備性が高く故障率が低いということは、稼働率が高くなり同じ機数ならばより多くの任務をこなせるということになります。飛行場で運用する陸上戦闘機はもちろん、空母という限られたスペースの中で運用する艦上戦闘機にとってはより重要な項目です。

アメリカ海軍空母エイブラハム・リンカーンの格納庫において、F/A-18のコクピットに防塵メンテナンスを施すメカニック。2010年(平成22年)10月13日。PHOTO USNAVY
アメリカ海軍空母エイブラハム・リンカーンの格納庫において、F/A-18のコクピットに防塵メンテナンスを施すメカニック。2010年(平成22年)10月13日。PHOTO USNAVY

アメリカ海軍空母カール・ビンソンの格納庫においてF104-GE-400エンジンの整備をうけるF/A-18ホーネット。PHOTO USNAVY
アメリカ海軍空母カール・ビンソンの格納庫においてF104-GE-400エンジンの整備をうけるF/A-18ホーネット。PHOTO USNAVY

有体にいって、F/A-18は一般的には戦闘機として地味な印象があるものの使いやすい戦闘機として傑作でした。さらに1988年からマクドネル・ダグラス社はF/A-18ホーネットを大幅に改良したホーネット2000という機種を計画し営業活動を行います。

F/A-18はアメリカ海軍の曲技飛行隊ブルーエンジェルスの使用機ともなっています。PHOTO USNAVY
F/A-18はアメリカ海軍の曲技飛行隊ブルーエンジェルスの使用機ともなっています。PHOTO USNAVY

こちらはF/A-18E/Fスーパーホーネットの項に続きますのでそちらをご覧ください。

運用者アメリカ海軍
アメリカ海兵隊
オーストラリア空軍
カナダ空軍
フィンランド空軍
クウェート空軍
マレーシア空軍
スイス空軍
スペイン空軍
主要なバリエーションF/A-18A 単座型最初の量産型
F/A-18B 複座型最初の量産型
F/A-18A+/B+ アビオニクス(電子機器)換装型
F/A-18C/D A/Bの改良型
F/A-18C/D Night Attack
F/A-18E/F C/Dの新規改良型。スーパーホーネットの項を参照
生産数1,480
スペック型式-
全 幅11.43m
全 長17.07m
全 高4.66m
翼面積37.16㎡
自 重10,460kg
総重量/最大離陸重量19,960kg
発動機F404-GE-402(4,420kg/AB 7,330kg)
最大速度2,205km/h
実用上昇限度15,240m
戦闘行動半径800km
航続距離3,700km
乗 員1名
初飛行1978年11月18日
就 役1980年11月
退 役-
兵 装

ミツビシF-2

Mitsubishi F-2
ミツビシF-2Mitsubishi F-2

平成の零戦

突出した対艦攻撃能力と対空能力を併せ持つ

文頭写真:USAF

概要

三菱F-2(1995-)は国産戦闘機F-1の後継機として1982年(昭和57年)に開発が始まりました。ソ連健在の冷戦期に開発が始まったこともあり、押し寄せるソ連艦隊を撃破すべく高い対艦攻撃能力を有した戦闘機となっています。

アメリカ空軍の戦闘機として開発され、世界各国が使用するベストセラー機となったF-16ファイティング・ファルコンを母体として開発されました。素材から始まり全ての項目を再設計、飛行を制御するコンピュータプログラムは完全な日本オリジナルとなっています。

1995年(平成7年)に初飛行、2000年(平成12年)に配備開始、2011年(平成23年)に総数94機にて調達終了となっています。2017年(平成29年)より調達開始が予定されている次期主力戦闘機F-35は、F-4EJ改及び初期型のF-15Jと入れ替わる予定ですから、F-2は引き続き、続々と能力改修が施され、ますます多用途化されながら運用されることになります。

日米合同演習Cope Northに参加する築城(福岡)基地の第6飛行隊。PHOTO USAF
日米合同演習Cope Northに参加する築城(福岡)基地の第6飛行隊。PHOTO USAF

イラク上空を飛ぶF-16。PHOTO USAF
イラク上空を飛ぶF-16。PHOTO USAF

F-2の特徴は、世界最強といってもいい対艦攻撃能力と空対空戦闘能力を両立させていることです。この組み合わせは世界的に珍しく、海に囲まれた国土に由来する研究開発の成果を示しています。

F-2と同等の対艦攻撃能力を持つ戦闘機はいまのところロシアのSu-34しか見当たりません。中型の対艦ミサイルを4発搭載できるのはもはや戦闘機ではなく、もっと大型の哨戒機のレベルです。Su-34は対地・対艦攻撃に優れており、対空・対艦に優れたF-2とは全体の性格が異なっています。

空対艦能力

搭載される対艦ミサイルは、技術研究本部と三菱重工が開発した国産ミサイル、80式空対艦誘導弾(ASM-1)及び93式空対艦誘導弾(ASM-2)です。これらを最大4発、主翼下に搭載することができます。これらに加えて防衛技術開発本部が2016年度(平成28年度)に開発完了を目指す、新型空対艦誘導弾XASM-3の開発が進んでいます。

国産ASM-2空対艦ミサイルをより高性能に進化させたXASM-3(開発中)。写真:技術研究本部HPより
国産ASM-2空対艦ミサイルをより高性能に進化させたXASM-3(開発中)。写真:技術研究本部HPより

XASM-3は防空能力の向上が図られている敵艦船に対して、F-2の持つ驚異的な対艦攻撃能力を維持する目的で開発されました。マッハ3超の高速で飛行し、射程距離は150km以上という中型対艦ミサイルとしては最高の性能を持っています。

アクティブ/パッシブ両方式のレーダー・ホーミングを搭載した複合シーカー方式となっており、赤外線誘導方式のASM-2と併用される予定となっています。なお、対艦ミサイルを4発満載した状態でも空対空ミサイルを4発搭載することができます。

北海道に侵攻してくるソ連艦隊を洋上において撃破する目的で開発されたF-2の対艦攻撃能力はソ連の崩壊により行き場を失う形になったことは否めません。中国が洋上戦力の増強にひた走ってはいますが、4機編隊で最大16発もの最新鋭対艦ミサイルを発射できるF-2の出番はまだまだ先といったところでしょう。とはいえ、いずれくる中国の空母配備に備え、研究開発は継続しなくてはいけません。

日米合同演習Cope Northに参加する築城(福岡)基地の第6飛行隊。PHOTO USAF
日米合同演習Cope Northに参加する築城(福岡)基地の第6飛行隊。PHOTO USAF

空対空能力

F-2が裝備できる空対空ミサイルは、アメリカの短距離空対空ミサイル「AIM-9Lサイドワインダー」、国産の短距離空対空ミサイル「90式空対空誘導弾(AAM-3)」、アメリカの中距離空対空ミサイル「AIM-7スパロー」、そしてF-2の空対空戦闘能力を飛躍的に向上させた国産の中距離空対空ミサイル「99式空対空誘導弾B(AAM-4B)」の概ね4種類です。

特に2012年度より調達されている「99式空対空誘導弾B(AAM-4B)」は、射程100kmを有し、撃ちっぱなし(ファイヤアンドフォゲット)が可能なミサイルです。同種であるアメリカ製のAIM-120BやAIM-120Cと比べてもより高性能を誇っています。

さらには、量産機として世界で初めて戦闘機に搭載されたアクティブ・フェーズド・アレイ・レーダー、三菱電機製J/APG-1火器管制レーダーはさらに強化され、発展型のJ/APG-2へと換装されています。「99式空対空誘導弾B(AAM-4B)」とあわせて、母体となったF-16やロシアのSu-27SMに対して分が悪かったF-2の空対空戦闘能力をそれらと同等かそれ以上のレベルに押し上げています。

ネットワーク能力の付与も検討されており、自衛隊デジタル通信システム(JDCS(F))とのデーターリンク裝備が進められています。2015年度(平成27年度)予算において2機の改修が計上されており、随時残りの機体にも改修が施されると思われます。

近年の戦闘機はミサイルやデジタル能力の進化によって、空対空戦闘はほぼ視界外戦闘となっており、ネットワーク能力の重要性は増す一方ですから、改修が進めばF-2の戦闘能力は確実に強化されます。

空対地能力

多用途戦闘機(マルチロール)化を目指すF-2にとって最も弱いのが空対地攻撃能力です。これは、専守防衛というスローガンとも関わりのあることでしょう。現在は通常爆弾の他、JDAMという通常爆弾に取り付けるGPS誘導キットが主な兵装です。直系15m程度に自律誘導で着弾するため、母機F-2は投下後すぐに離脱できるため有利です。

しかし、対艦ミサイルを4発+対空ミサイルを4発を同時に搭載できるF-2の兵器投射能力を活かすためには、さらに高性能な空対地ミサイルの搭載が期待されます。

開発の経緯

航空自衛隊の新戦闘機開発に際しての要求は以下のようなものでした。
1 空対艦ミサイルを4発装備した状態で戦闘行動半径450海里(833km)。
2 短距離空対空ミサイルと中距離空対空ミサイルをそれぞれ2〜4発装備。
3 全天候運用能力。
4 高度な電子戦能力の搭載。

これを踏まえて、国産戦闘機F-1の耐用年数を迎える1997年(平成9年)までに、2代目の純国産戦闘機として開発される予定でしたが、アメリカの横槍が入りアメリカ製F-16を母体とした日米共同開発となりました。

アメリカは、F-16を母体として日米6:4の割合で開発することを了承させ、培われた飛行機を制御する運動能力向上機(CCV=Control Configured Vehicle)や火器管制のコンピュータ・システムを稼働させるソースコードは日本に一切開示せず、日本からは自分たちが欲しかった炭素繊維強化複合材一体成型技術やAESAレーダー技術などの日本の技術を無条件に得られるという条件を日本にのませました。この点はかなり嫌気がさします。アメリカらしいといえばらしい暴力的なやり方です。

共同開発においてアメリカがつきつけた条件は以下のようでした。
1 F-16のソース・コードの供与を制約する。
2 生産段階でのアメリカの仕事分担率は最大限に確保を目指す。
3 日本からの技術を必ず提供するとの保証を設ける。

時代錯誤の不平等条約などといわれましたが、当時は日米貿易摩擦が激化しており、交渉にあたった政治家や担当官僚、現場の技術者まで大いに苦労した結果、何とか得られた結論であろうことは想像に難くありません。

日米合同演習Cope Northに参加する築城(福岡)基地の第6飛行隊。PHOTO USAF
日米合同演習Cope Northに参加する築城(福岡)基地の第6飛行隊。PHOTO USAF

全て再設計した日本の意欲作

「ただのF-16改良型」、「欠陥機」などという批判が飛び交ったのは悲しいことです。T-2高等練習機、F-1と戦闘機開発技術を必死に守り育ててきた日本が、高度経済成長で培った各種技術力を結集して、細部に渡るまで再設計された機体であり、日米関係上仕方なく母体をF-16としただけです。形を残して話を進め、中身は全面的に技術を傾注したといってもいいでしょう。

「欠陥機」という批判は、試験機における主翼の亀裂と、レーダーの初期不調のために起こったようです。しかし、試験機で機体に亀裂が入る程度のことはよくあることです、特にF-2の主翼がアメリカが欲しがった炭素繊維強化複合材一体成型技術により製造されており、入念な試験が行われました。

試験というのは限界を知るために行うのであり、ある程度壊してみなければ限界はわかりません。亀裂程度で欠陥云々というのは意味不明です。戦闘機開発においては機体そのものが失われることが多いですが、F-2は機体そのものは失っていません。

レーダーの初期不良は確かにあったようです。しかしながら、戦闘機開発における最新式レーダーの初期不良はある程度問題ありません。結局配備から15年経った現在でも改善されないというのであれば欠陥ですが、不良は早期に改善され、現在ではさらに高性能なJ/APG-2レーダーへの換装が行われています。

現代の戦闘機というのはプログラムのアップデートや各種更新改修によって完成し、また進化していき、長期間運用されるものです。家電と同じように、買ったその日から完璧に動いて当たり前と考えるのは浅はかすぎます。

F-2は火器管制レーダーとして世界で初めてアクティブ式電子走査アレイレーダー(AESAレーダー)を搭載しています。F-22やF-35といったF-2より後に開発されたアメリカの戦闘機にはこのAESAレーダーが搭載されており、F-2の技術を少なからず活用したことが想像できます。

このレーダーは三菱電機が開発したJ/APG-1であり、首振りではなく、位相変換方式という原理によってレーダー面を動かさずに電波ビーム方向を制御するため、それまでのレーダーとは比べ物にならない程広範囲を一瞬にして索敵できます。また、地上、対空、対艦などいくつもの対象に対して同時に索敵し、かつ攻撃することができます。

F-2の最も特長的な部分は上記の2つ、炭素繊維強化複合材一体成型技術による主翼、AESAレーダーですが、F-16からの再設計箇所は全体に及んでいます。

炭素繊維強化複合材を多く使用し(18%)、強度アップと軽量化に苦心しています。主翼は新技術によって製造されるだけでなく面積も25%拡大し、対艦攻撃時に界面すれすれを飛行するシースキミング時などに重要な低速での安定性を向上させる他、全般的に機動性を高め、主翼下に裝備する兵装の搭載量を増やします。

各種電子機器などのスペースを確保するため胴体そのものも延長され、コクピットの下あたりにあるエアインテーク(空気取入口)は再設計によりF-16よりも効果的な空気流入が図られています。

エンジンはジェネラル・エレクトリック製F110-GE-129ターボファンエンジンが採用され、ライセンス生産によりIHI(旧社名 石川島播磨重工業株式会社)が製造しています。
エンジンは開発当初、国産開発が不可能とされライセンス生産が予定されていましたが、これに関してもアメリカ議会でライセンス提供拒否の議案が提出され、僅差でライセンス生産可能になったという経緯があります。

次期国産戦闘機i-3 fighterへの期待

日米関係に振り回されつつも、意地を見せたF-2。しかし、調達機数が94機にとどまり、ライセンス料の支払いも乗っかり、1機あたり約120億円という世界一高価な戦闘機となってしまいました。
世界第6位の海洋面積を持つ日本の命綱は、制空権と制海権です。制空権なくして制海権もないわけですから、空を守る戦闘機の開発技術は維持していきたいものです。戦闘機を造るための技術を維持するためには定期的に新型機を開発しなくてはいけません。これは式年遷宮と同じです。
次世代の国産戦闘機としては防衛省がステルス戦闘機i-3 Fighter構想を発表しています。世界情勢をみると、最新鋭機の開発はアメリカのF-35やヨーロッパのユーロファイターのように単一国家での開発ではなく、国際共同の形式が主流ですが、欧米がそうだからといって日本は日本です。

どのような開発形態となるかはわかりませんが、F-1、F-2とつないだ日の丸戦闘機の系譜はぜひ、なるべく純国産で引き継いで欲しいものです。

運用者航空自衛隊
主要なバリエーション
生産数94
スペック型式-
全 幅10.80m
全 長15.52m
全 高4.96m
翼面積34.82㎡
自 重9,527kg
総重量/最大離陸重量22,100kg
発動機F110-IHI-129×1(7,711kgf/AB 13,154kgf)
最大速度2,448km/h
実用上昇限度-
戦闘行動半径833km+
航続距離4,000km+
乗 員1名
初飛行1991年10月7日
就 役2000年
退 役-
兵 装