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ロッキード・マーチンF-16ファイティング・ファルコン

Lockheed Martin F-16 Fighting Falcon
ロッキード・マーチンF-16ファイティング・ファルコンLockheed Martin F-16 Fighting Falcon

最新鋭の軽量級戦闘機

アメリカ空軍のベストセラー

ジェネラル・ダイナミクス(現 ロッキード・マーティン)F-16ファイティング・ファルコン(1974-)はアメリカ空軍にとってF-86以来のベストセラーとなった軽量級戦闘機です。最新のテクノロジーとコストカットを両立させた傑作戦闘機として世界各国で運用されています。日本のF-2戦闘機はこのF-16を母体として開発されました。

アメリカ空軍は、1972年(昭和47年)に最強の制空戦闘機F-15の初飛行に成功し、1974年(昭和49年)から部隊配備を開始していました。本来であれば、F-15を必要数揃えられればいうことなかったわけですが、全てに最高・最強を目指したF-15の価格は、現在の感覚でいえば概ね1機あたり100億円以上と大変に高額です(飛行機の価格は比較が難しいためあくまで感覚的な参考価格)。

下からF-15、F-16、P-51マスタング。
下からF-15、F-16、P-51マスタング。

ベトナム戦争の影響によるアメリカ国内のインフレやいつもながらの議会のコストカット要求も相まって、アメリカ空軍の希望は叶えられそうにありません。
そこで、機能を絞った小型軽量の優秀な戦闘機を開発し、不足分を補おうということになりF-16の開発が始まりました。F-15を「High」、F-16を「Low」として「ハイ・ロー・ミックス」と呼ばれる戦力構築を目指したわけです。開発発注における選考では後のアメリカ海軍艦上戦闘機F/A-18と争い、F-16が勝利しています。

イスラエル空軍の独自改修型F-16Dブラキート(複座型)。ワイルド・ヴィーゼル(敵防空網制圧)機です。単座型はF-16Cバラクと名付けられています。PHOTO USAF
イスラエル空軍の独自改修型F-16Dブラキート(複座型)。ワイルド・ヴィーゼル(敵防空網制圧)機です。単座型はF-16Cバラクと名付けられています。PHOTO USAF

自身満々、最高級の重量級戦闘機を揃えて失敗したベトナム戦争の教訓

常に考えうる限り最強の戦闘機を目指し続けてきたアメリカ空軍は、過去ほとんどの戦闘機において、最新の電子機器やミサイルなどを裝備し、多大な燃料を搭載した大型の機体を大出力のエンジンで引っ張るという開発方針でしたから、軽量級戦闘機を敬遠する傾向にありました。

イラクで作戦中のF-16。PHOTO USAF
イラクで作戦中のF-16。PHOTO USAF

ところが、それぞれが得意分野において最高の性能を発揮していたセンチュリーシリーズやF-4ファントムⅡといった、超がつく高級重量級ファイターを配備して自身満々でのぞんだベトナム戦争において、大きくつまづくことになりました。

アメリカ空軍の最高級&重量級ファイターに比べれば、貧弱といってもいい電子裝備や旧式な機体構造で軽快な運動性能だけが頼りの、ソ連製MiG-17/19/21といった戦闘機を相手に1.5:1もしくは2:1という程度のキルレシオ(撃墜被撃墜比率)しか残せなかったのです。

ファイター・マフィアのボス、ジョン・ボイド少佐

この反省から、いかなる状況においても敵機を圧倒し制空権を確保する最強の制空戦闘機としてF-15が開発されたわけですが、「有視界の格闘戦に勝利する小型軽量の戦闘機」があれば制空権は確保できると主張する「ファイター・マフィア」と呼ばれる空軍の一派がありました。

ベトナム戦争や中東戦争をみても、マッハ2で戦闘機が戦い合うということは少なく、ほとんどは音速以下、かつ昼間に有視界で行われていました。ならば、空戦に影響の少ない機体の大型化は避け、最高速度は下げて電子裝備を簡易にしても、機動性が高ければ空戦に勝利できるというわけです。

イラク上空でKC-135ストラトタンカーから空中給油を受けるF-16C。PHOTO USAF
イラク上空でKC-135ストラトタンカーから空中給油を受けるF-16C。PHOTO USAF

ファイター・マフィアのボスは空戦理論家としても著名だった、ジョン・ボイド少佐でした。アメリカ海軍戦闘機兵器学校(FWS)の戦闘機教官を務めた後、ジョージア工科大学に物理学と熱力学を学び、後に画期的な航空機の機動性を導き出す、エネルギー機動性理論(E-M理論)を構築します。

これは、航空機の機動性は機動エネルギーと運動エネルギーの総和であるというもので、Ps(航空機の比エネルギー)=(T[推力]ーD[効力])V(速度)/W(機体重量)という公式で表されます。

後には世界の兵法家やその戦史を研究し続け、戦闘・軍事理論を壮大なスケールで構築し、アメリカ空軍のみならず、アメリカ陸軍や海兵隊にも大きな影響を与え、退役後はアメリカ国家機関のコンサルタントとして活躍しました。

アメリカ空軍の伝統的な重量級戦闘機路線と闘ったように、官僚機構との衝突を辞さなかった気骨の人だったようです。国家機関コンサルタント時代、質素な家に住み、周囲から揶揄されても意に介さず、少額の給与しか受け取らなかったという行動からも、その片鱗が伺えます。

F-16が導入した革新的テクノロジー

安価な軽量級戦闘機というと安物のように聞こえますが、そうではありません。F-16は無駄をそぎ落とし、有視界の格闘戦に勝利するための革新的なテクノロジーを備えた戦闘機です。

F-16は機体形状とコンピュータ制御による4重もの飛行制御システム(フライ・バイ・ワイヤ)によって高い運動性を発揮しています。これは、静安定性緩和(RSS)もしくは操縦性優先形態機(CCV)と呼ばれ、実験機ではなく実用機で採用されたのはF-16が初めてです。

飛行するということは一方向の安定性(静安定性)が必要とされますが、空中で機動するということは反対に不安定性が必要とされます。要するに運動性を確保するためには、わざと静安定性を崩さなくてはなりません。静安定性を崩すということは失速や墜落と同じ延長線上にあるということです。

静安定性を崩せば崩すほど、急な機動が可能になるわけですが、その分、人の能力ではまともに真っ直ぐ飛ぶこともできないということになり、失速や墜落のリスクは高くなります。このアンバランスなバランスをコンピュータによって制御することでリスクをカットし、機動性を向上させたのがフライ・バイ・ワイヤと呼ばれる飛行制御システムです。

フライ・バイ・ワイヤと人との最大の接点である操縦桿は、F-16ではジョイスティックとなっています。戦闘機の操縦といえば、股の間にある操縦桿を操作するイメージがあり、実際F-16以前はそうでした。しかし、F-16はパイロットの右側に置かれたジョイスティック(デジタル式操縦桿)によって操縦を行います。

F-16Cのコクピット。PHOTO USAF
F-16Cのコクピット。PHOTO USAF

機体構造には、ブレンデッド・ウィング・ボディが採用されています。主翼と胴体は美しくなだらかに融合されており、全体がまるで一つの翼のようです。この構造は飛行特性は向上させ、構造の単純化により重量軽減ともなっています。

ケンタッキー空軍州兵基地のF-16。PHOTO USAF
ケンタッキー空軍州兵基地のF-16。PHOTO USAF

コストカット

F-16では最新技術を導入すると同時にコストカットも徹底して行われました。1950年代からアメリカの戦闘機に多く使われてきた高額のチタン合金をF-15の10分の1程度に減らし、進化してきた複合素材を多用することで材料費を軽減しています。

既存部品の活用と小改造を合わせると全体の80%にも及び、生産工程の簡易化もあわせて進められました。エンジンはF-15と同じプラット&ホイットニー社製F100を採用し、量産効果による取得価格低下を図っています。

ベストセラー

高性能と取得しやすい価格を実現したF-16はアメリカ軍で2,200機以上が導入された他、現在に至るまで4,500機以上が生産され、ベストセラー戦闘機となっています。F-16A型とC型は米空軍曲技飛行隊サンダーバーズの使用機となっています。A型が昭和58年(1983年)〜平成3年(1991年)、続いてC型が平成4年(1992年)〜現在まで使用されています。ジェット戦闘機の開発サイクルが長くなったとはいえ、30年以上に渡り使用され続けいることはF-16の高い飛行性能を物語っています。

採用した国はアメリカを始め、トルコ、シンガポール、イスラエル、台湾、エジプト、ベルギー、オランダ、ノルウェー、ギリシャなど世界20か国に及び、数多くの派生型、発展型をうみながら、現在も生産が続いています。

2003年に初飛行した発展型のF-16E/Fデザートファルコン。コクピットはグラスコクピットとなり、液晶ディスプレイが並びます。他にも多くの改修が行われ戦闘力が強化されています。PHOTO USAF
2003年に初飛行した発展型のF-16E/Fデザートファルコン。コクピットはグラスコクピットとなり、液晶ディスプレイが並びます。他にも多くの改修が行われ戦闘力が強化されています。PHOTO USAF

運用者アメリカ空軍
アメリカ海軍
ベルギー空軍
デンマーク空軍
オランダ空軍
ノルウェー空軍
ギリシャ空軍
イタリア空軍
ポーランド空軍
ポルトガル空軍
バーレーン空軍
エジプト空軍
イスラエル空軍
イラク空軍
ヨルダン空軍
オメーン空軍
トルコ空軍
アラブ空軍
モロッコ空軍
インドネシア空軍
パキスタン空軍
シンガポール空軍
台湾空軍
韓国空軍
タイ空軍
チリ空軍
ベネゼエラ空軍
ブルガリア空軍
コロンビア空軍
フィリピン空軍
ルーマニア空軍
主要なバリエーションYF-16 試作機。YF-17と争った
F-16FSD 量産テスト機
F-16A/B 最初の量産型。Bは複座型
F-16A/B ADF 空軍州兵向け迎撃戦闘機
F-16AM/BM NATO4か国向け改修型。電子機器全般を改修
F-16CCV YF-16を改修した試験機
RF-16 偵察機
F-16C/D ブロック25以降。1984年から配備。電子機器や機体を改良。途中からエンジンも換装
F-16CG/DG 夜間作戦能力向上型
F-16N 米海軍のアドバーサリー機(仮想敵機)
F-16E/F 電子機器、エンジン改修。胴体両側に張り出した箱型が特徴
F-16V 近代化改修型。電子機器などを改修
生産数4,540
スペック型式F-16C
全 幅9.96m
全 長15.06m
全 高4.88m
翼面積27.87㎡
自 重8,570kg
総重量/最大離陸重量19,200kg
発動機F110-GE-100(7,781kg/AB 12,972kg)
最大速度2,120km/h
実用上昇限度15,240m
戦闘行動半径1,520km
航続距離4,220km
乗 員1名
初飛行1974年2月2日
就 役1978年12月
退 役-
兵 装

ボーイングF/A-18スーパーホーネット

Boeing F/A-18 Super Hornet
ボーイングF/A-18スーパーホーネットBoeing F/A-18 Super Hornet

優れた多用途戦闘機

アメリカ海軍の艦上を占拠するスズメバチ

※文頭写真:アメリカ海軍空母カール・ビンソンから出撃するF/A-18スーパーホーネット。PHOTO USNAVY

ボーイング(マクドネル・ダグラス)F/A-18E/Fスーパーホーネットは、アメリカ海軍の艦上戦闘機です。1978年に初飛行し、1983年より部隊配備されたF/A-18A〜Dホーネットの発展型として1988年より開発されました。Eは単座型、Fは複座型です。

F/A-18Fスーパーホーネット。PHOTO Boeing
F/A-18Fスーパーホーネット。PHOTO Boeing

空対空、空対地、空中給油と多目的に活躍し、低い故障発生率、優れた整備の容易性をも兼ね備えた高性能機です。F-35配備前の現在、アメリカ海軍空母の艦上はF/A-18ホーネット/スーパーホーネットが占拠しているといった様相です。

F/A-18スパーホーネットの下面。高い多用途性を担保する優れた兵装搭載量を誇ります。PHOTO Boeing
F/A-18スパーホーネットの下面。高い多用途性を担保する優れた兵装搭載量を誇ります。PHOTO Boeing

開発の経緯などは「F/A-18A〜Dホーネットの項」をご覧ください。

1988年からマクドネル・ダグラス社はF/A-18ホーネットを大幅に改良したホーネット2000という機種を計画し営業活動を行います。

1992年、アメリカ海軍はホーネット2000をF/A-18E/Fスーパーホーネットとして採用、1995年には初飛行を行います。F/A-18ホーネットに比べて大きさ・重量・翼面積・燃料搭載量は25%〜30%増加し、エンジン推力は7,300kgから9,980kgに強化、飛行性能は向上し、より多くの兵装を搭載することが可能となりました。

F/A-18スーパーホーネットの電子戦機型、EA-18Gグロウラー。PHOTO Boeing
F/A-18スーパーホーネットの電子戦機型、EA-18Gグロウラー。PHOTO Boeing

F/A-18スーパーホーネットのコクピット。電子化が進んでいます。
F/A-18スーパーホーネットのコクピット。電子化が進んでいます。

F/A-18A〜DとE/Fを外見上すぐに判別できる点は、E/Fは機体が大きいこと、コクピット後部両側から張り出したエラのような部分が大きいこと、空気取入口(インテーク)が円形から角ばった形になっていることなどです。

アメリカ海軍空母エンターブライズの格納庫に収容されるホーネット。右がスーパーホーネット、左がホーネット。PHOTO USNAVY
アメリカ海軍空母エンターブライズの格納庫に収容されるホーネット。右がスーパーホーネット、左がホーネット。PHOTO USNAVY

運用者アメリカ海軍
オーストラリア空軍
主要なバリエーションF/A-18E 単座量産型
F/A-18F 複座量産型
EA-18G 複座の電子戦機
生産数500
スペック型式-
全 幅13.68m
全 長18.5m
全 高4.87m
翼面積46.45㎡
自 重14,007kg
総重量/最大離陸重量29,932kg
発動機F414-GE-400(6,350kg/AB 10,000kg)×2
最大速度2,205km/h
実用上昇限度15,240m
戦闘行動半径910km
航続距離3,705km
乗 員1名
初飛行1995年11月29日
就 役1999年1月
退 役-
兵 装

ボーイングF/A-18ホーネット

Boeing F/A-18 Hornet
ボーイングF/A-18ホーネットBoeing F/A-18 Hornet

どこか地味な傑作機

高い多目的性を有し、運用しやすい

※文頭写真:アメリカ海軍原子力空母ニミッツに着艦する、海兵隊のF/A-18Aホーネット。PHOTO USNAVY

ボーイング(マクドネル・ダグラス)F/A-18ホーネットは、アメリカ海軍の艦上戦闘機です。1978年に初飛行し、1983年より部隊配備されています。F/A-18A〜Dをホーネット、大きく改修された発展型のF/A-18E/Fをスーパーホーネットと呼びます。空対空、対地攻撃双方の任務をこなす戦闘攻撃機であり多用途性、費用対効果の高さなどから約1,500機が生産され、F-35配備前の現在、アメリカ海軍空母艦上のほとんどを占めています。

アメリカ海軍空母ロナルド・レーガン艦上で離艦準備をするF/A-18ホーネット。2011年(平成23年)2月27日。PHOTO USNAVY
アメリカ海軍空母ロナルド・レーガン艦上で離艦準備をするF/A-18ホーネット。2011年(平成23年)2月27日。PHOTO USNAVY

本機は現在も運用されベストセラーとなったアメリカ空軍のF-16採用にあたって提案された2案のうちの一つです。アメリカ空軍は大型のF-15が高価となり維持費もかさむことから、軽量で比較的安価な空戦戦闘機とあわせて運用するハイローミックスという運用構想を推進すべく開発を進め、ジェネラル・ダイナミクスYF-16とノースロップYF-17のうちからYF-16を選び、F-16ファイティングファルコンとして採用しました。

この時、F-16と争ったノースロップYF-17は飛行性能や先端技術の導入、コスト面で劣っていたためアメリカ空軍には採用されませんでしたが、ちょうどF-4ファントムⅡやA-7コルセアの代替となる戦闘攻撃機を求めていたアメリカ海軍に対し、議会から先述の空軍コンペの2機種のうちから選ぶよう決定が下されたのでした。

YF-16(後のF-16)と米空軍のトライアルを受けたYF-17(後のF/A-18)。写真:USAF
YF-16(後のF-16)と米空軍のトライアルを受けたYF-17(後のF/A-18)。写真:USAF

そこで、海軍は、優れた低速性能、双発エンジン、余裕のある機体サイズなどを評価してYF-17を選びます。マクドネル・ダグラスはYF-17を海軍の仕様にあわせて大型化し、エンジンも改修、電子機器も更新するなど高性能化し、艦上機としての装備を追加してF/A-18ホーネットとして提案し1976年に制式に契約を交わします。

2010年(平成22年)環太平洋合同演習(RIMPAC)におけるF/A-18ホーネット。2010年7月20日。PHOTO USAF
2010年(平成22年)環太平洋合同演習(RIMPAC)におけるF/A-18ホーネット。2010年7月20日。PHOTO USAF

F/A-18は特に攻撃機A-6Eイントルーダーを代替するものとして企図されましたが、冷戦終結後に起こった軍事予算削減の流れがローコストで多用途に運用できるF/A-18にとって追い風となりました。中でも高額の取得・維持費用がかかるF-14は真っ先に削減の対象となります。

エンジン強化型のF-14B。主翼を68度の最後退翼位置にして飛行中。1993年(平成5年)。PHOTO USNAVY
エンジン強化型のF-14B。主翼を68度の最後退翼位置にして飛行中。1993年(平成5年)。PHOTO USNAVY

アメリカ海軍としては予算があれば、最強の艦隊防空(FAD)戦闘機F-14を充分な数揃えたかったと思います。F/A-18も優れた性能とコストパフォーマンスを誇る戦闘機ですが、空対空の制空戦闘や艦隊防空(FAD)においてはF-14に劣っていたからです。

フルアフターバーナーで離艦するVFA34飛行隊ブルーバスターズのF/A-18Cホーネット。2011年(平成23年)3月18日。PHOTO USNAVY
フルアフターバーナーで離艦するVFA34飛行隊ブルーバスターズのF/A-18Cホーネット。2011年(平成23年)3月18日。PHOTO USNAVY

アメリカ海軍空母カール・ビンソン艦上のF/A-18(右)。左は発展型のF/A-18スーパーホーネット。2011(平成23年)1月15日。PHOTO USNAVY
アメリカ海軍空母カール・ビンソン艦上のF/A-18(右)。左は発展型のF/A-18スーパーホーネット。2011(平成23年)1月15日。PHOTO USNAVY

当時アメリカ海軍は艦上戦闘機として戦闘攻撃機F-8クルーセイダー(1955-1987)、戦闘攻撃機F-4ファントムⅡ(1958-1992)、攻撃機A-6Eイントルーダー(1963-1997)、要撃戦闘機F-14トムキャット(1970-2006)などを配備していました。

1987年にF-8、1992年にF-4、1997年にA-6Eが退役し、これらが担っていた任務はF/A-18が代替することとなり、徐々にF-14部隊もF/A-18へと代替されていきました。2006年にF-14が退役してからは、アメリカ海軍航空母艦の艦上はF/A-18に占拠されているといった様相です。

全天候型となったF-8D(F-8U-2N)。PHOTO USNAVY
全天候型となったF-8D(F-8U-2N)。PHOTO USNAVY

F-4ファントムⅡの魅力的な様子が感じられる角度からの写真。アメリカ海軍予備役飛行隊のひとつ、ミラマーに本拠地を置くVF-301飛行隊所属機。PHOTO USNAVY
F-4ファントムⅡの魅力的な様子が感じられる角度からの写真。アメリカ海軍予備役飛行隊のひとつ、ミラマーに本拠地を置くVF-301飛行隊所属機。PHOTO USNAVY

なぜF/A-18はこれほどのシェアを獲得したのでしょうか。F/A-18は1978年から試作機によってテストが開始されましたが、旋回性能、離陸重量(兵器搭載量)、戦闘行動半径、航続力、加速力など多くの項目で海軍の要求値を下回るという受難のスタートでした。

アメリカ海軍空母カール・ビンソン艦上のF/A-18(右)。左は発展型のF/A-18スーパーホーネット。2011(平成23年)1月15日。PHOTO USNAVY
アメリカ海軍空母カール・ビンソン艦上のF/A-18(右)。左は発展型のF/A-18スーパーホーネット。2011(平成23年)1月15日。PHOTO USNAVY

マクドネル・ダグラス社とアメリカ海軍はこれらの問題を粘り強く解決し、当初アメリカ海軍が要求した通りの高性能な戦闘攻撃機となっていきます。F/A-18の前任攻撃機、A-6EやA-7Eに比べて格段に高性能となっており、爆弾やミサイル、増槽を積んだ状態でも敵戦闘機と空中戦が戦えるほどの多用途性を有していました。また、整備性がとてもよく、1飛行時間あたりの整備に要する時間(マンアワー)はF-14F-4の約半分、故障発発生間隔は132分時間とされており、F-14AやA-7の35〜40分程度と比べても突出して優秀です。

F/A-18はアメリカ海軍の曲技飛行隊ブルーエンジェルスの使用機ともなっています。PHOTO USNAVY
F/A-18はアメリカ海軍の曲技飛行隊ブルーエンジェルスの使用機ともなっています。PHOTO USNAVY

整備性が高く故障率が低いということは、稼働率が高くなり同じ機数ならばより多くの任務をこなせるということになります。飛行場で運用する陸上戦闘機はもちろん、空母という限られたスペースの中で運用する艦上戦闘機にとってはより重要な項目です。

アメリカ海軍空母エイブラハム・リンカーンの格納庫において、F/A-18のコクピットに防塵メンテナンスを施すメカニック。2010年(平成22年)10月13日。PHOTO USNAVY
アメリカ海軍空母エイブラハム・リンカーンの格納庫において、F/A-18のコクピットに防塵メンテナンスを施すメカニック。2010年(平成22年)10月13日。PHOTO USNAVY

アメリカ海軍空母カール・ビンソンの格納庫においてF104-GE-400エンジンの整備をうけるF/A-18ホーネット。PHOTO USNAVY
アメリカ海軍空母カール・ビンソンの格納庫においてF104-GE-400エンジンの整備をうけるF/A-18ホーネット。PHOTO USNAVY

有体にいって、F/A-18は一般的には戦闘機として地味な印象があるものの使いやすい戦闘機として傑作でした。さらに1988年からマクドネル・ダグラス社はF/A-18ホーネットを大幅に改良したホーネット2000という機種を計画し営業活動を行います。

F/A-18はアメリカ海軍の曲技飛行隊ブルーエンジェルスの使用機ともなっています。PHOTO USNAVY
F/A-18はアメリカ海軍の曲技飛行隊ブルーエンジェルスの使用機ともなっています。PHOTO USNAVY

こちらはF/A-18E/Fスーパーホーネットの項に続きますのでそちらをご覧ください。

運用者アメリカ海軍
アメリカ海兵隊
オーストラリア空軍
カナダ空軍
フィンランド空軍
クウェート空軍
マレーシア空軍
スイス空軍
スペイン空軍
主要なバリエーションF/A-18A 単座型最初の量産型
F/A-18B 複座型最初の量産型
F/A-18A+/B+ アビオニクス(電子機器)換装型
F/A-18C/D A/Bの改良型
F/A-18C/D Night Attack
F/A-18E/F C/Dの新規改良型。スーパーホーネットの項を参照
生産数1,480
スペック型式-
全 幅11.43m
全 長17.07m
全 高4.66m
翼面積37.16㎡
自 重10,460kg
総重量/最大離陸重量19,960kg
発動機F404-GE-402(4,420kg/AB 7,330kg)
最大速度2,205km/h
実用上昇限度15,240m
戦闘行動半径800km
航続距離3,700km
乗 員1名
初飛行1978年11月18日
就 役1980年11月
退 役-
兵 装