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ロッキードF-117ナイトホーク

Lockheed F-117 Nighthawk
ロッキードF-117ナイトホークLockheed F-117 Nighthawk

世界初のステルス戦闘機

湾岸戦争での活躍は戦場のハイテク化を印象づけた

※文頭写真:USAF

ロッキードF-117ナイトホーク(1981-2008)はアメリカ空軍とロッキード社が開発した世界初のステルス戦闘機(攻撃機)です。

その異様な姿は不気味な迫力を感じさせ、湾岸戦争の報道画面にみた時は誰もが驚いたことでしょう。

現在、ステルス戦闘機技術はアメリカが突出した存在となっており、無敵のF-22や自衛隊次期主力戦闘機のF-35、B-2爆撃機などが稀に報道されます。そのせいかステルスという言葉も一般的になったように思えます。

F-117は1981年(昭和56年)には初飛行しており、開発は昭和59年(1974年)に始まっています。同年、アメリカ国防高等研究計画局(DARPA=Defense Advanced Research Projects Agency)はレーダー反射断面積(RCS=Radar Cross Section)の低減に関する研究を、グラマン、ジェネラル・ダイナミクス、マクドネル・ダグラス、フェアチャイルド、ノースロップの5社に対して依頼します。後にロッキード社が食い込むことに成功し、1976年(昭和61年)には各社の案を抑えてロッキード社案が採用されます。

試作機「ハブ・ブルー」は1977年(昭和62年)11月に完成し12月には初飛行に成功しています。この頃、ソ連の科学者ピョートル・ユフィンチェフが1964年に発表した「エッジ波の物理的解析理論」なる論文を発見、この理論を応用することにより機体のレーダー反射断面積(RCS)値をより正確に測ることが可能になります。試作機ハブ・ブルーと量産機F-117の形状の違いにはこの理論が大きく貢献しているといわれます。

生産初号機は昭和56年(1981年)に完成し、空戦能力はなく実態は攻撃機でしたが、戦闘機を意味するFナンバーがついたF-117Aという制式呼称を得ています。革新的な機体ということもあり生産型がロールアウトして以降も試験を続けながら59機を製造、昭和57年(1982年)より部隊配備されました。

ステルス性を最優先したため、最高速度はマッハ0.85であり運動性能も低レベルになっています。それどころか、F-117を昔ながらの人間の手によるコントロールで飛行させることはできず、フライ・バイ・ワイヤというデジタル飛行制御によって飛行が可能になっています。

直線のみを使用して構成された機体が異様な印象を与えますが、これは当時のコンピュータ演算能力では、現在のステルス機(B-2やF-22、F-35)のように曲線を使用した設計ができなかったためです。

実戦初参加は1989年(平成元年)12月のパナマ攻撃作戦でしたが、爆撃は失敗に終わりました。そしていよいよ湾岸戦争(1990年)が勃発、40機以上のF-117が展開し爆撃任務を遂行し1,200回を超える出撃回数を記録、1機も撃墜されることはありませんでした。

この時F-117が主に使用したGBU-27は1986年(昭和61年)に配備が始まった最新の精密誘導爆弾、ペイブウェイⅢレーザー誘導爆弾の一つです。ステルス戦闘機F-117と相まって、未来的な戦場の形を我々にまざまざとみせてくれました。

湾岸戦争では1機も撃墜されることなく任務を遂行しましたが、1999年(平成11)のコソボ空爆では、セルビアの首都ベオグラード近郊において、セルビア防空軍の旧式な地対空ミサイルに撃墜され、これが退役するまで唯一の撃墜例となりました。撃墜されたF-117は敵側に回収され、ロシアやソ連が密かに部品を入手したともいわれます。

2000年代に入ってイラクの自由作戦にも参加していますが、ここでも撃墜されることなく任務を遂行しています。

F-117は飛行機に興味のない一般の人々にも強烈な印象を残した画期的な怪物でしたが、ステルス性を追求したため飛行安定性は低く、事故率が高かったことや、先端技術ならではの高額な維持費もあり、2008年には全機退役しています。

湾岸戦争に斬新な衝撃を与えたF-117ステルス戦闘機。まさに砂漠の嵐作戦中の写真です。PHOTO USAF
湾岸戦争に斬新な衝撃を与えたF-117ステルス戦闘機。まさに砂漠の嵐作戦中の写真です。PHOTO USAF

ステルスについて

先に敵を発見し、自らは発見されないということは、絶対的な優勢を得ることができます。広義では迷彩塗装などもステルスの一種であり、古くは戦闘機を透明にするなどという試みもあったようです。

レーダーの進歩により、戦闘機においてみえないということはレーダーに映らないということを意味するようになりました。レーダーは自身のレーダーが発した電波の反射から相手の位置や大きさを探索しますから、敵機に戻る反射をゼロにすれば全くレーダーに映らないということになります。

このレーダー反射断面積をRCS(Radar Cross Section)といいます。この値はF-117では0.025平米程度といわれています。ステルス性に配慮されていないF-15では10平米、F-117よりも進化したF-22やF-35では0.01平米です。(※RCS値は土地の広さなどとは違う表現ですので、詳しくはウィキペディアのRCS値の項目などをご覧ください。)

こういった形状によるステルス性は形状制御といわれています。他にも、赤外線、機体表面の処理、レーダー使用など様々な要素があります。

形状制御の他に、エンジンの放射熱制御や機体表面をレーダーを反射しにくい素材にするなどの工夫が必要です。また、自らレーダーを発してしまえばそれを探知されてしまいますから、F-117はレーダーを搭載していません。爆撃目標を指定するためには、レーザーや赤外線を使用しています。

運用者アメリカ空軍
主要なバリエーション-
生産数64
スペック型式-
全 幅13.20m
全 長20.09m
全 高3.78m
翼面積73㎡
自 重13,380kg
総重量/最大離陸重量23,800kg
発動機F404-GE-F1D2(4,900kg)×2
最大速度993km/h
実用上昇限度13,716m
戦闘行動半径930km
航続距離1,720km
乗 員1名
初飛行1981年6月18日
就 役1983年10月
退 役2008年4月
兵 装