「SH-60K」タグアーカイブ

くらま(DDH-144)

くらま(DDH-144)

「しらね型」2番艦

海自の主力を担ったヘリコプター搭載護衛艦(DDH)

※文頭写真:海上自衛隊
※「くらま」(DDH-144)の性能詳細については、「しらね型」記事をご覧ください。

しらね型」は昭和55年(1980年)の就役以来、「こんごう型」が平成5年(1993年)に就役するまで海上自衛隊最大の護衛艦として活躍したヘリコプター搭載護衛艦です。

「くらま」(DDH-144)は「しらね型」の2番艦として、昭和53年(1978年)2月17日に起工、昭和54年(1979年)9月20日進水、昭和56年(1981年)3月27日に就役、第2護衛隊群第52護衛隊(佐世保)に配備されました。

排水量5,200トン、全長159m、全幅17.5m、石川島播磨重工製の蒸気タービン(35,000ps)を2基搭載し、速力は32ノット以上、定員350名、駆逐艦型のヘリコプター搭載艦艇としては珍しい3機のヘリコプター搭載能力を持ちます。自衛隊、米軍及び同盟国の双方向情報処理装置に対応した、海自初のシステム艦でもあります。

本艦は、米軍主催の大規模演習、環太平洋合同演習(RIMPAC)を始め、各国との合同演習や式典に数多く参加しています。外国船訪問時やVIPを迎えるホストシップとしての設備を備えており、数多くの観閲式観閲艦を務め、まさに海自を代表する護衛艦として活躍しました。

「くらま」(DDH-144)。写真:海上自衛隊
「くらま」(DDH-144)。写真:海上自衛隊

「くらま」(DDH-144)の所属は次のようになっています。第2護衛隊群第52護衛隊(佐世保)、昭和58年(1983年)3月30日 第2護衛隊群直轄艦(佐世保)、翌昭和59年3月30日 第2護衛隊群旗艦、平成20年(2008年)3月26日 第2護衛隊群第2護衛隊、平成27年(2015年)10月18日 自衛隊観艦式観閲艦(安倍晋三首相乗艦)、平成29年(2017年)退役予定。

「くらま」(DDH-144)。写真:海上自衛隊
「くらま」(DDH-144)。写真:海上自衛隊

平成15年(2003年)改修工事が行われました。内容は、短SAM用の射撃指揮装置をWM-25から国産の81式射撃指揮装置2型(FCS-2-12)に、ミサイルは米国製RIM-7Mに変更されました。先年に除籍となった「たかつき」(DD-164)の裝備を利用したものです。

「くらま」(DDH-144)。写真:海上自衛隊
「くらま」(DDH-144)。写真:海上自衛隊

RIM-7Mは、二重推進の固体燃料ロケットを推進装置とする射程18kmの短距離艦対空ミサイルで、有効射程は18kmとなっています。この後、RIM-7は僚艦防空が可能な射程距離50kmの発展型シースパロー(ESSM)に進化し、国産射撃指揮装置FCS-3との組み合わせにより、国産システム防空艦といえる「あきづき型」の中枢を担うことになります。

「くらま」(DDH-144)。写真:海上自衛隊
「くらま」(DDH-144)。写真:海上自衛隊

ヘリコプター搭載型護衛艦は大切な裝備

中国が日米艦隊(もしくは海上自衛隊だけでも)に対抗しうる唯一の手段は潜水艦です。いきなり核ミサイル大量発射という極論をいう人もいますが、貿易と外資に頼っている中国は核ミサイルなんて撃てないでしょう。そもそも、核を撃ったら自分たちも終わりくらいのことは中国もわかっています。

「くらま」(DDH-144)。写真:海上自衛隊
「くらま」(DDH-144)。写真:海上自衛隊

そして、潜水艦の脅威となるのがヘリコプターと相手の潜水艦ですから、「くらま」(DDH-144)のようなヘリコプター搭載護衛艦はとても重要な抑止力を発揮し続けてきたわけです。日本には、SH-60J/Kという優秀な対潜ヘリがあります。双方とも、米シコルスキー社のSH-60を母機として日本で開発されました。
日本の優秀な潜水艦ハンター、SH-60Jヘリコプター。
日本の優秀な潜水艦ハンター、SH-60Jヘリコプター。

SH-60K。写真:海上自衛隊
SH-60K。写真:海上自衛隊

くらま、有終の美

イギリスから脱出、アメリカ大陸を侵略し尽くし、太平洋をものともせずハワイ、グアム、フィリピン、日本、イラク、アフガニスタンとひたすら西へ西へと猛進したイギリス人(アメリカ人)がついに西に向けた侵攻を止め、シリアから撤退し始めた歴史的な年、平成27年(2015年)、「くらま」(DDH-144)は、世界一の美技を誇る海上自衛隊観艦式の観閲艦に選ばれ、有終の美を飾りました。その時「くらま」(DDH-144)に乗艦した時の首相が戦後日本にあらわれた、総合的にみれば稀有なリーダーである安倍晋三さんであったことも、記憶に残ります。

観閲艦を務め、有終の美を飾った平成27年(2015年)海上自衛隊観艦式において、首相の乗るヘリコプター(MHC-101)を迎える「くらま」(DDH-144)。写真:海上自衛隊(撮影:自艦司 石川2曹)
観閲艦を務め、有終の美を飾った平成27年(2015年)海上自衛隊観艦式において、首相の乗るヘリコプター(MHC-101)を迎える「くらま」(DDH-144)。写真:海上自衛隊(撮影:自艦司 石川2曹)

平成27年(2015年)海上自衛隊観艦式において、MHC-101ヘリコプターから観閲艦となった「くらま」(DDH-144)に降りる安倍晋三首相。写真:海上自衛隊(撮影:海幕 伊藤曹長)
平成27年(2015年)海上自衛隊観艦式において、MHC-101ヘリコプターから観閲艦となった「くらま」(DDH-144)に降りる安倍晋三首相。写真:海上自衛隊(撮影:海幕 伊藤曹長)

「くらま」(DDH-144)は平成27年(2015年)海上自衛隊観艦式の観閲艦を務めました。写真は「くらま」艦上において受閲部隊に返戻する安倍総理大臣ら。首相の右は重岡自衛艦隊司令官、武居海上幕僚長。
「くらま」(DDH-144)は平成27年(2015年)海上自衛隊観艦式の観閲艦を務めました。写真は「くらま」艦上において受閲部隊に返戻する安倍総理大臣ら。首相の右は重岡自衛艦隊司令官、武居海上幕僚長。
平成27年(2015年)海上自衛隊観艦式、観閲艦となった「くらま」(DDH-144)艦上において訓示を行う安倍晋三総理大臣。
平成27年(2015年)海上自衛隊観艦式、観閲艦となった「くらま」(DDH-144)艦上において訓示を行う安倍晋三総理大臣。

平成29年(2017年)後継の19,500トン級ヘリコプター搭載護衛艦「かが」(DDH-184)が就役し、それに伴い退役する予定です。長きに渡りお疲れ様でした。

韓国船に衝突され、艦首全壊

平成21年(2009年)10月27日午後7時56分頃、「くらま」(DDH-144)は韓国籍のコンテナ船「カリナ・スター」に衝突され、乗員6名が負傷、艦首を全壊し、単独航行困難な状況に陥りました。
韓国籍「カリナ・スター」の船長は、当初責任逃れの虚偽供述をしていたが、追突直前まで回避行動をとらず、これが事故の主因であったことが明らかになりました。彼らが我々日本人とは違う常識を持っていることは、平成26年(2014年)に起きた「セウォル号」沈没事件で真っ先に逃亡する船長の姿に象徴されていると思ってしまいます。
この事故により「くらま」(DDH-144)は三菱重工長崎造船所に入り、約半年間の修理を行ないました。

運用者海上自衛隊
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅17.5m
全 長159m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機石川島播磨重工FWD2_2胴水管型缶×2、石川島播磨重工2胴衝動型蒸気タービン×2
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員350名
初飛行
就 役1981年3月27日
退 役2017年
兵 装

しらね(DDH-143)

しらね(DDH-143)

「しらね型」の1番艦

35年間、護衛艦隊の中枢を担い「いずも型」に後を託す

※文頭写真:海上自衛隊
※「しらね」(DDH-143)の性能詳細については、「しらね型」記事をご覧ください。

「しらね型」は昭和55年(1980年)の就役以来、「こんごう型」が平成5年(1993年)に就役するまで海上自衛隊最大の護衛艦として活躍したヘリコプター搭載護衛艦です。

「しらね」(DDH-143)は「しらね型」の1番艦、ネームシップとして、昭和52年(1977年)2月25日に起工、昭和53年(1978年)9月18日進水、昭和55年(1980年)3月17日に就役、護衛艦隊の直轄艦となり横須賀に配備されました。

排水量5,200トン、全長159m、全幅17.5m、石川島播磨重工製の蒸気タービン(35,000ps)を2基搭載し、速力は32ノット以上、定員350名、自衛隊、米軍及び同盟国の双方向情報処理装置に対応した、海自初のシステム艦でもあります。

「しらね」(DDH-143)。写真:海上自衛隊
「しらね」(DDH-143)。写真:海上自衛隊

「しらね」(DDH-143)。写真:海上自衛隊
「しらね」(DDH-143)。写真:海上自衛隊

本艦は、米軍主催の大規模演習、環太平洋合同演習(RIMPAC)を始め、各国との合同演習や式典に数多く参加しています。外国船訪問時やVIPを迎えるホストシップとしての設備を備えており、数多くの観閲式観閲艦を務め、まさに海自を代表する護衛艦として活躍しました。

「しらね」(DDH-143)の所属は次のようになっています。第1護衛隊群第51護衛隊(横須賀)、第1護衛隊群(横須賀)、平成20年(2008年)3月の改編により第1護衛隊群第1護衛隊、平成21年(2009年)3月18日、第3護衛隊群第3護衛隊(舞鶴)に転籍。

「しらね」(DDH-143)。写真:海上自衛隊
「しらね」(DDH-143)。写真:海上自衛隊

「しらね」(DDH-143)。写真:海上自衛隊
「しらね」(DDH-143)。写真:海上自衛隊

平成27年(2015年)3月25日、後継の19,500トン級ヘリコプター搭載護衛艦「いずも」(DDH-183)が就役したことにより、除籍となりました。空対艦ミサイルの実艦標的として最後の任務を全うすることになっています。35年間お疲れ様でした。

54口径5インチ単装速射砲。写真:海上自衛隊
54口径5インチ単装速射砲。写真:海上自衛隊

「しらね」(DDH-143)。写真:海上自衛隊
「しらね」(DDH-143)。写真:海上自衛隊

「いずも」(DDH-183)。写真:海上自衛隊
「いずも」(DDH-183)。写真:海上自衛隊

最大の脅威、潜水艦に備えシーレーンを確保する

一般的には、ヘリコプター搭載護衛艦の価値はちょっとわかりにくいかもしれません。高性能レーダーやコンピュータ・システム、たくさんのミサイルを搭載していた方が強そうにみえます。

日本は米国と同盟関係にあり、いざ有事となれば生命線であるシーレーン確保のため、日米連合艦隊が出撃するでしょう。米国の海軍力は圧倒的世界第一位、日本は第ニ位ですから、日米艦隊と正面から戦って勝てる存在はありません。

唯一ともいえる大きな脅威は潜水艦です。打撃力を担う米海軍の原子力空母やイージス艦は象徴的な存在でもありますから、一隻でも沈められれば大変なことになります。そのため、海上自衛隊は対潜水艦能力を最重要事項としており、そこで重要な裝備となるのが対潜・哨戒ヘリコプター、そしてそれを機動運用するヘリコプター搭載護衛艦ということになります。

SH-60Jを従えて航行する「しらね」(DDH-143)。写真:海上自衛隊
SH-60Jを従えて航行する「しらね」(DDH-143)。写真:海上自衛隊

搭載ヘリコプター

3機の搭載ヘリコプターは、HSS-2B、SH-60J、SH-60Kという機種が使用されました。
いずれも米国シコルスキー社のヘリコプターを基に日本で開発が行われました。HSS-2Bは昭和38年(1963年)から使用され、平成15年(2003年)に全機退役しました。
後継のSH-60J/Kは潜水艦対策を重要視する日本らしい能力向上に余念のない高性能機となりました。特に最新のK型は音響探知機(ソノブイ)、磁気探知機(MAD=Magnetic Anomaly Detector)、長距離を探知する低周波音波探知機(ソナー)、逆合成開口レーダーを備え、ホバリングによる滞空性能を活かし、海中の潜水艦を追い詰めます。さらにK型は水上の艦艇に対する対艦ミサイル「ヘルファイア」も搭載しています。海上自衛隊と正面から戦う力のない中国海軍が、通常戦力で唯一脅威を与えられる潜水艦の力を削ぐもので、日本の国防にとって大きな存在です。

海中を捜索する海自のSH-60J。写真:海上自衛隊
海中を捜索する海自のSH-60J。写真:海上自衛隊

着艦するSH-60K。写真:海上自衛隊
着艦するSH-60K。写真:海上自衛隊

火災事故

平成19年(2007年)12月14日(金)午後10時19分頃、横須賀に停泊中の「しらね」(DDH-143)において火災が発生し、翌15日(土)午前6時19分に鎮火されました。
戦闘指揮所(CIC)において出火し、コンピュータや計器などの設備は全損、消火活動による冠水などの被害がありました。原因は艦内に持ち込まれた中国製の保冷温庫であるとされました。
艦を指揮する中枢を全損したことから除籍も検討されましたが、平成20年度末(2008年末)の除籍予定であったヘリコプター搭載護衛艦「はるな」(DDH-141)の戦闘指揮所(CIC)を移植し、継続して就役することとなりました。

詳しくはこちら(防衛省による報告書)→http://www.mod.go.jp/j/press/sankou/report/shirane_080321.pdf

運用者海上自衛隊
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅17.5m
全 長159m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機石川島播磨重工FWD2_2胴水管型缶×2、石川島播磨重工2胴衝動型蒸気タービン×2
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員350名
初飛行
就 役1980年3月17日
退 役2015年3月25日
兵 装

しらね型

しらね型

海上自衛隊を代表する艦艇として活躍

駆逐艦型、ヘリコプター搭載護衛艦

※文頭写真:艦載機(HSS-2ヘリコプター)と富士山を背景に写る「しらね」(DDH-143)。このヘリは平成15年(2003年)に全機退役していますから、それ以前の写真ということになります。写真:海上自衛隊

「しらね型」(5,200トン)は海上自衛隊最大の護衛艦(当時)として建造された5,200トン級ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)です。自衛艦隊旗艦として数多くの観艦式において観閲艦の大任を果し、国内外のVIPを迎える設備を備えるなど海上自衛隊を代表する艦艇として活躍しました。

海自ヘリコプター搭載護衛艦は、本艦の前級「はるな型」(4,950トン)、本艦、「ひゅうが型」(13,950トン)、「いずも型」(19,500トン)と建造されてきました。

艦載機(HSS-2ヘリコプター)と富士山を背景に写る「しらね」(DDH-143)。このヘリは平成15年(2003年)に全機退役していますから、それ以前の写真ということになります。写真:海上自衛隊
艦載機(HSS-2ヘリコプター)と富士山を背景に写る「しらね」(DDH-143)。このヘリは平成15年(2003年)に全機退役していますから、それ以前の写真ということになります。写真:海上自衛隊

本艦と前級「はるな型」は艦後部3分の1程を甲板としてヘリコプター3機を搭載します。「ひゅうが型」以降はいわゆる空母の形態である全通甲板を備え「ひゅうが型」11機、「いずも型」14機と搭載数を飛躍的に増やしています。

「くらま」(DDH-144)。写真:海上自衛隊
「くらま」(DDH-144)。写真:海上自衛隊

「ひゅうが」(DDH-181)。写真:海上自衛隊
「ひゅうが」(DDH-181)。写真:海上自衛隊

「いずも」(DDH-183)。写真:海上自衛隊
「いずも」(DDH-183)。写真:海上自衛隊

海自では一貫してヘリコプター搭載護衛艦と呼称していますが、全通甲板の「ひゅうが型」や「いずも型」は、世界の軍事一般からみればヘリ空母です。ヘリコプターを3機も運用する駆逐艦型の艦艇はおそらく本艦が最終艦となるでしょう。

駆逐艦型のヘリコプター搭載艦は自らも防御兵器を多く搭載しており、空母型は航空機搭載、輸送や指揮管制の能力が飛躍的に向上し、自艦の防御は基本として僚艦が担います。そのため、全通甲板の空母型は強力な僚艦防空能力を持つ艦艇が揃うことが必要になります。

海自では、「こんごう型」(平成5年〜就役)、「あたご型」(平成19年〜就役)、「あきづき型」(平成24年〜就役)と僚艦を守る強力な護衛艦が次々と就役しています。防空を任せられるこれら強力な護衛艦の就役に伴い、全通甲板型の「ひゅうが型」が平成21年から就役、「いずも型」は平成27年から就役します。

ちなみに、最新の「いずも型」は「ひゅうが型」よりもさらに防空能力を削らし、より高いヘリ運用・指揮管制・輸送能力を有しています。

2隻が就役

「しらね型」は2隻建造されました。建造はどちらも石川島播磨重工東京第1工場です。
1番艦の「しらね」(DDH-143)は昭和55年(1980年)3月17日に就役し、平成27年(2015年)3月25日に除籍、技術研究本部が開発中の空対艦ミサイルXASM-3の実験標的艦になる予定です。XASM-3は平成28年度の開発完了を目指していますから、それに合わせて実験が実行されることと思われます。

2番艦「くらま」(DDH-144)は昭和56年(1981年)3月27日に就役、海上自衛隊最大の艦艇として、第2護衛隊群旗艦、各合同演習への参加、中国潜水艦領海侵犯対処のための出動、スマトラ島沖地震の救援活動(平成17年)、自衛隊観艦式観閲艦など、1番艦「しらね」(DDH-143)とともに海上自衛隊の中枢艦として活躍してきましたが、平成29年(2017年)の退役が予定されています。

54口径5インチ単装速射砲。写真:海上自衛隊
54口径5インチ単装速射砲。写真:海上自衛隊

アスロック(74式)。写真:海上自衛隊
アスロック(74式)。写真:海上自衛隊
3連装短魚雷発射管から発射される短魚雷。写真:海上自衛隊
3連装短魚雷発射管から発射される短魚雷。写真:海上自衛隊

友好国へ売却か

「しらね型」の後任は、これも海自最大の護衛艦として誕生した「いずも型」2隻が取得されます。平成27年(2015年)フィリピンから退役した本艦の中古購入要望があるようです。「しらね」(DDH-143)は実験標的艦となることが決まっていますから、あるとすれば「くらま」(DDH-144)ということになるのでしょう。同国からは軍事援助の要請もあったようです。

これに先だち、ベトナムには中古船が供与されていますし、平成28年(2016年)にはミャンマーへの軍事援助も決まりました。大東亜戦争後の建国以来、他国の領土・領海を侵略し続ける中国への対処は国防の最重要事項ですから、着々と進めて欲しいものです。艦艇においても日本製品の品質に対する信頼は高く、心強く感じます。

特徴の多い護衛艦

「しらね型」は、海上自衛隊の護衛艦として技術的な過渡期にあったようで多くの特徴があります。おおむね次のようなものです。

〈1〉最後の蒸気タービン搭載艦
ボイラーは石川島播磨重工FWD2・2胴水管型缶、蒸気タービンは同じく石川島播磨重工の2胴衝動型蒸気タービンを2基搭載し、各35,000hp、計70,000hpを出力します。本艦以降、護衛艦は全てガスタービンエンジンを採用しています。

〈2〉自衛隊・米海軍の情報ネットワークとリンクしたシステム艦
海上自衛隊のC4I(戦術情報処理装置)の一つであり、対潜能力向上のためにOYQ-3情報処理装置が裝備されました。米軍のC4Iシステムの一つ、海軍戦術情報システム(NDTS)、米軍及び同盟国が運用する双方向の戦術データ・リンク(リンク11)にも対応しています。これにより、日米統合能力は大幅に向上しています。また、2番艦「くらま」(DDH-144)では曳航式ソノブイを運用可能なHSS-2Bヘリも搭載し、情報処理装置などもアップグレードされ、さらに対潜能力の向上が図られています。

〈3〉高性能20ミリ機関砲(CIWS)を初めて搭載
米国が開発した射程約数kmの近距離において敵対艦ミサイルを迎撃する近接防御火器システムが「高性能20mm機関砲(CIWS=Close In Weapon System)」。ガトリング砲を自動制御したものです。艦の防御としては、最後の手段となります。米国では1970年代から裝備され、日本では「しらね型」2番艦「くらま」(DDH-144)に初めて搭載され、1番艦「しらね」にも後に搭載されました。

高性能20ミリ機関砲(CIWS)。写真:海上自衛隊
高性能20ミリ機関砲(CIWS)。写真:海上自衛隊

〈4〉OPS-28(低空・水上レーダー)の初装備。
いずも型」や「こんごう型」、「あたご型」にも搭載されている日本無線社製の低空警戒・水上探索のためのパルス・ドップラー・レーダーです。水上の敵艦や海面近くを飛翔してくる対艦ミサイルの探知も担います。

〈5〉短SAMランチャー(シースパローBPDMS)初装備。後に発展型シースパローに更新。
「短SAM」とは、短距離の艦対空ミサイル(SAM=Ship to Air Missile)のことです。
BPDMSというのはBasic Point Defense Missile Systemの略で、要するに戦闘機に発展に伴い危機に晒された近接艦艇防空のために開発されたシステム。初装備のRIM-7シースパローは射程26km、改良を経て現在は射程約50kmの発展型シースパロー(ESSM=Evolved Sea Sparrow Missile)が最新型となっています。海自のヘリコプター搭載型護衛艦としては初めて搭載されました。

〈7〉新型HSS-2Bシーキング対潜ヘリコプターへの対応
主たる対潜戦術をアクティブ式(自発式)からパッシブ式(受動式)へと移行。アクティブ式はやまびこのように自ら発した音波の反射から探知。パッシブ式は自ら電波を発することなく聴音により探知するため、隠密性が高いが測定精度を高めることが難しかったのですが、様々な技術の進歩により可能になりました。自らが電波を発信しないことにより発見され難く、有利に作戦を展開することができます。

〈9〉駆逐艦型ヘリコプター運用艦としては世界でも最多の3機のヘリを搭載
対潜作戦は海自の重要任務であるため、それに欠かせない対潜・哨戒ヘリコプターは重要な裝備です。「しらね型」では当初HSS-2B、後にSH-60J/Kが使用されました。
HSS-2は、昭和38年(1963年)から米シコルスキー社のSH-3シーキングを三菱重工がライセンス生産した対潜・哨戒に強い多用途ヘリコプター。HSS-2、HSS-2A、HSS-2Bと改良され、平成15年(2003年)に全機退役。「しらね型」にはレーダー、ソノブイ、電子戦、戦術情報処理など特に対潜・哨戒能力を大幅に向上したHSS-2Bが搭載されました。
SH-60J/KはHSS-2Bの後継。米シコルスキー社のSH-60Bを基に日本が開発した哨戒ヘリです。昭和末期の開発のため日米貿易摩擦の影響から主要な電子機器の輸出を米国が拒否したため、ほとんどを日本の技術研究本部が開発しました。対潜・水平線外索敵を主に多用途任務をこなします。K型はJ型を基本に三菱重工と防衛庁が開発し、平成17年(2005年)から納入開始、順次入れ替わっています。飛行性能、対潜・対水上、輸送・監視など大幅に能力が向上された世界トップクラスの高性能ヘリとなっています。

SH-60J。写真:海上自衛隊
SH-60J。写真:海上自衛隊

ディッピングソナーを吊下するSH-60J。写真:海上自衛隊
ディッピングソナーを吊下するSH-60J。写真:海上自衛隊
SH-60K。写真:海上自衛隊
SH-60K。写真:海上自衛隊
運用者海上自衛隊
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅17.5m
全 長159m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機石川島播磨重工FWD2_2胴水管型缶×2、石川島播磨重工2胴衝動型蒸気タービン×2
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員350名
初飛行
就 役1980年-1981年
退 役2015年-2017年
兵 装

ふゆづき(DD-118)

ふゆづき(DD-118)

「あきづき型」護衛艦の4番艦

国産純度の高い注目すべき艦艇

※文頭写真:海上自衛隊
※「ふゆづき」(DD-118)についての性能詳細は「あきづき型」記事をご覧ください。

海洋国家日本の安全保障にとって注目すべき「あきづき型」の4番艦として建造されました。平成21年度(2009)計画で起工され、平成26年(2014年)3月13日に就役、第3護衛隊群第7護衛隊(舞鶴)に編入されました。造船は三井造船玉野事業所、排水量は5,100トン、全長150.5m、定員は約200名、建造費は726億円です。対潜裝備の追加により1番艦「あきづき」(DD-115)よりも50トン増加しています。

本艦を含む「あきづき型」最大の注目点は、米国のイージスシステムに当たる射撃指揮装置に国産の00式射撃指揮装置(FCS-3)が搭載されていることです。さらに他にも多々国産装置が採用されています。詳しくは「あきづき型」記事をご覧いただくとして、ともかく記念碑的な軍艦であることは間違いありません。

大型のイージス艦「こんごう型」(いずれ「あたご型」も)が弾道ミサイル防衛にあたると僚艦の防空が手薄になるということから、近接僚艦防空(LAD=Local Area Defense)を補う目的で計画・建造されました。

250kmの範囲を探知・追尾するレーダーと射程50kmの発展型シースパローミサイル(ESSM)の組み合わせで、自艦や僚艦へと向かう敵ミサイルを迎撃します。イージス艦よりも新しい設計のため高精度となっており、データの発表がなく推測になりますが、おそらく24発の敵ミサイルを同時に迎撃することが可能です。

基幹となる射撃指揮装置を中心に国産純度の高い護衛艦として大いに活躍してもらい、次に続く国産高性能護衛艦の発展に寄与してくれるよう期待しています。

「ふゆづき/冬月」という名は大日本帝国海軍の秋月型駆逐艦「冬月」に続き2代目です。

「あきづき型」4番艦「ふゆづき」(DD-118)。写真:海上自衛隊
「あきづき型」4番艦「ふゆづき」(DD-118)。写真:海上自衛隊

「あきづき型」4番艦「ふゆづき」(DD-118)。写真:海上自衛隊
「あきづき型」4番艦「ふゆづき」(DD-118)。写真:海上自衛隊
運用者海上自衛隊
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅18.3m
全 長151m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機COGAC方式/ロールス・ロイス スペイ(川崎・16,000shp)×4 
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員200名
初飛行
就 役平成26年(2014年)3月13日
退 役-
兵 装

すずつき(DD-117)

すずつき(DD-117)

「あきづき型」護衛艦の3番艦

僚艦防空を担う。国産の射撃指揮装置(イージスシステムに相当)を搭載

※文頭写真:海上自衛隊
※すずつき(DD-117)の性能詳細は「あきづき型」記事をご覧ください。

海洋国家日本の安全保障にとって注目すべき「あきづき型」の3番艦として建造されました。平成21年度(2009)計画で起工され、平成26年(2014年)3月12日に就役、第4護衛隊群第8護衛隊(佐世保)に編入されました。造船は三菱重工業長崎造船所、排水量は5,100トン、全長150.5m、定員は約200名です。対潜裝備の追加により1番艦「あきづき」(DD-115)よりも50トン増加しています。

本艦を含む「あきづき型」最大の注目点は、米国のイージスシステムに当たる射撃指揮装置に国産の00式射撃指揮装置(FCS-3)が搭載されていることです。さらに他にも多々国産装置が採用されています。詳しくは「あきづき型」記事をご覧いただくとして、ともかく記念碑的な軍艦であることは間違いありません。

大型のイージス艦「こんごう型」(いずれ「あたご型」も)が弾道ミサイル防衛にあたると僚艦の防空が手薄になるということから、僚艦防空(LAD=Local Area Defense)を補う目的で計画・建造されました。

250kmの範囲を探知・追尾するレーダーと射程50kmの発展型シースパローミサイル(ESSM)の組み合わせで、自艦や僚艦へと向かう敵ミサイルを迎撃します。イージス艦よりも新しい設計のため高精度となっており、データの発表がなく推測になりますが、おそらく24発の敵ミサイルを同時に迎撃することが可能です。

基幹となる射撃指揮装置を中心に国産純度の高い護衛艦として大いに活躍してもらい、次に続く国産高性能護衛艦の発展に寄与してくれるよう期待しています。

「すずつき/涼月」という名は大日本帝国海軍の秋月型駆逐艦「涼月」に続き2代目です。

「あきづき型」護衛艦の3番艦「すずつき」(DD-117)。写真:海上自衛隊
「あきづき型」護衛艦の3番艦「すずつき」(DD-117)。写真:海上自衛隊

「あきづき型」護衛艦の3番艦「すずつき」(DD-117)。写真:海上自衛隊
「あきづき型」護衛艦の3番艦「すずつき」(DD-117)。写真:海上自衛隊
「あきづき型」護衛艦の3番艦「すずつき」(DD-117)。写真:海上自衛隊
「あきづき型」護衛艦の3番艦「すずつき」(DD-117)。写真:海上自衛隊
運用者海上自衛隊
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅18.3m
全 長151m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機COGAC方式/ロールス・ロイス スペイ(川崎・16,000shp)×4 
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員200名
初飛行
就 役平成26年(2014年)3月12日
退 役-
兵 装

てるづき(DD-116)

てるづき(DD-116)

「あきづき型」護衛艦の2番艦

FCS-3A 国産射撃指揮装置を搭載した僚艦防衛艦

※文頭写真:海上自衛隊
※「てるづき」(DD-116)の性能詳細は「あきづき型」記事をご覧ください。

海洋国家日本の安全保障にとって注目すべき「あきづき型」の2番艦として建造されました。平成20年度(2008)計画で起工され、平成25年(2013年)3月7日に就役、第2護衛隊群第6護衛隊(横須賀)に編入されました。造船は三菱重工業長崎造船所、排水量は5,100トン、全長150.5m、定員は約200名です。対潜裝備の追加により1番艦「あきづき」(DD-115)よりも50トン増加しています。

本艦を含む「あきづき型」最大の注目点は、米国のイージスシステムに当たる射撃指揮装置に国産の00式射撃指揮装置(FCS-3)が搭載されていることです。さらに他にも多々国産装置が採用されています。詳しくは「あきづき型」記事をご覧いただくとして、ともかく記念碑的な軍艦であることは間違いありません。

大型のイージス艦「こんごう型」(いずれ「あたご型」も)が弾道ミサイル防衛にあたると僚艦の防空が手薄になるということから、近接僚艦防空(LAD=Local Area Defense)を補う目的で計画・建造されました。

250kmの範囲を探知・追尾するレーダーと射程50kmの発展型シースパローミサイル(ESSM)の組み合わせで、自艦や僚艦へと向かう敵ミサイルを迎撃します。イージス艦よりも新しい設計のため高精度となっており、データの発表がなく推測になりますが、おそらく24発の敵ミサイルを同時に迎撃することが可能です。

基幹となる射撃指揮装置を中心に国産純度の高い護衛艦として大いに活躍してもらい、次に続く国産高性能護衛艦の発展に寄与してくれるよう期待しています。

「てるづき/照月」、という名は大日本帝国海軍の秋月型駆逐艦「照月」、昭和35年(1960年)に就役した海上自衛隊初代旗艦「てるづき」に続き3代目です。

「あきづき型」護衛艦の2番艦「てるづき」(DD-116)。写真:海上自衛隊
「あきづき型」護衛艦の2番艦「てるづき」(DD-116)。写真:海上自衛隊

「あきづき型」護衛艦の2番艦「てるづき」(DD-116)。写真:海上自衛隊
「あきづき型」護衛艦の2番艦「てるづき」(DD-116)。写真:海上自衛隊
「あきづき型」護衛艦の2番艦「てるづき」(DD-116)。写真:海上自衛隊
「あきづき型」護衛艦の2番艦「てるづき」(DD-116)。写真:海上自衛隊
運用者海上自衛隊
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅18.3m
全 長151m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機COGAC方式/ロールス・ロイス スペイ(川崎・16,000shp)×4 
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員200名
初飛行
就 役平成25年(2013年)3月7日
退 役-
兵 装

あきづき(DD-115)

あきづき(DD-115)

「あきづき型」1番艦

待望の国産00式射撃指揮装置(FCS-3A)を搭載

※文頭写真:海上自衛隊
※「あきづき」についての性能詳細は「あきづき型」記事をご覧ください。

あきづき型」は海洋国家日本の安全保障にとって注目すべき大切な艦艇であり、そのネームシップが1番艦「あきづき」(DD-115)です。平成19年度(2007)計画で起工され、平成24年(2012年)に就役、第1護衛隊群第5護衛隊(佐世保)に編入されました。造船は三菱重工業長崎造船所、排水量は5,050トン、全長は150.5mです。

第1護衛隊群には横須賀の第1護衛隊と佐世保の第5護衛隊があります。あきづき(DD-115)の所属する第5護衛隊は、こんごう(DDG-173)、あけぼの(DD-108)、ありあけ(DD-109)、あきづき(DD-115)により構成されています。

あきづき(DD-115)、最大の注目点は、米国のイージスシステムに当たる射撃指揮装置に国産の00式射撃指揮装置(FCS-3)が搭載されていることです。さらに他にも多々国産装置が採用されています。詳しくは「あきづき型」記事をご覧いただくとして、ともかく記念碑的な軍艦であることは間違いありません。

大型のイージス艦「こんごう型」(いずれ「あたご型」も)が弾道ミサイル防衛にあたると僚艦の防空が手薄になるということから、近接僚艦防空(LAD=Local Area Defense)を補う目的で計画・建造されました。

250kmの範囲を探知・追尾するレーダーと射程50kmの発展型シースパローミサイル(ESSM)の組み合わせで、自艦や僚艦へと向かう敵ミサイルを迎撃します。イージス艦よりも新しい設計のため高精度となっており、データの発表がなく推測になりますが、おそらく24発の敵ミサイルを同時に迎撃することが可能です。

基幹となる射撃指揮装置を中心に国産純度の高い護衛艦として大いに活躍してもらい、次に続く国産高性能護衛艦の発展に寄与してくれるよう期待しています。

「あきづき/秋月」、という名は大日本帝国海軍の防空型駆逐艦「秋月」、昭和35年(1960年)に就役し、特務艦時代を含め平成5年(1993年)まで活躍した海上自衛隊の初代「あきづき」に続き3代目です。

「あきづき型」1番艦「あきづき」(DD-115)。写真:海上自衛隊
「あきづき型」1番艦「あきづき」(DD-115)。写真:海上自衛隊

「あきづき型」1番艦「あきづき」(DD-115)。写真:海上自衛隊
「あきづき型」1番艦「あきづき」(DD-115)。写真:海上自衛隊
「あきづき型」1番艦「あきづき」(DD-115)。写真:海上自衛隊
「あきづき型」1番艦「あきづき」(DD-115)。写真:海上自衛隊
「あきづき型」1番艦「あきづき」(DD-115)。写真:海上自衛隊
「あきづき型」1番艦「あきづき」(DD-115)。写真:海上自衛隊
「あきづき型」1番艦「あきづき」(DD-115)。写真:海上自衛隊
「あきづき型」1番艦「あきづき」(DD-115)。写真:海上自衛隊
運用者海上自衛隊
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅18.3m
全 長151m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機COGAC方式/ロールス・ロイス スペイ(川崎・16,000shp)×4 
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員200名
初飛行
就 役2012年3月14日
退 役-
兵 装

あきづき型

あきづき型

国産射撃管制システムを搭載した護衛艦

僚艦防空(ローカル・エリア・ディフェンス)を担う

※文頭写真:海上自衛隊

海上自衛隊の「あきづき型」護衛艦は、国産のFCS-3(00式射撃指揮装置3型)という射撃指揮装置を搭載した僚艦防空艦です。自艦だけでなく僚艦を防衛でき、その主力システムが国産であるというのが最大の特徴です。

「あきづき型」には4隻があります。1番艦はネームシップの「あきづき」(DD-115)、2番艦「てるづき」(DD-116)、3番艦「すずつき」(DD-117)、4番艦「ふゆづき」(DD-118)となっています。

平成24年(2012年)から順次就役し、排水量は5,050トン(2番艦以降は5,100トン)、全長150.5m、全幅18.3m、深さ10.9m、英国スペイ(川崎重工)のSM1Cガスタービン4基をCOGAC方式にて搭載(16,000馬力×4)、スクリュープロペラ2軸にて最大30キロノットの速力です。艦尾にはヘリコプター1機〜2機を運用できるヘリ甲板とデッキを備えています。

1番艦の「あきづき」(DD-115)〜3番艦「すずつき」(DD-117)までは三菱重工長崎造船所、4番艦の「ふゆづき」(DD-118)は三井造船玉野事業所において建造されました。所属等は次のとおりです。
「あきづき」(DD-115) 第1護衛隊群第5護衛隊(司令部:横須賀、定係港:佐世保)
「てるづき」(DD-116) 第2護衛隊群第6護衛隊(司令部:佐世保、定係港:横須賀)
「すずつき」(DD-117) 第4護衛隊群第8護衛隊(司令部:呉、定係港:佐世保)
「ふゆづき」(DD-118) 第3護衛隊群第7護衛隊(司令部:舞鶴、定係港:舞鶴)

「あきづき型」1番艦「あきづき」(DD-115)。写真:海上自衛隊
「あきづき型」1番艦「あきづき」(DD-115)。写真:海上自衛隊

「あきづき型」護衛艦の2番艦「てるづき」(DD-116)。写真:海上自衛隊
「あきづき型」護衛艦の2番艦「てるづき」(DD-116)。写真:海上自衛隊

「あきづき型」護衛艦の3番艦「すずつき」(DD-117)。写真:海上自衛隊
「あきづき型」護衛艦の3番艦「すずつき」(DD-117)。写真:海上自衛隊

「あきづき型」4番艦「ふゆづき」(DD-118)。写真:海上自衛隊
「あきづき型」4番艦「ふゆづき」(DD-118)。写真:海上自衛隊

海上自衛隊にはイージスシステムを搭載し、通常の防空任務の他、弾道ミサイル防衛も担う大型艦として、こんごう型4隻、あたご型2隻の計6隻があります。弾道ミサイル防衛任務中には低空のミサイル防衛が手薄となることから、これを補うために「あきづき型」が計画・建造されました。英語でいうと、ローカル・エリア・ディフェンス(LAD)となります。

イージスシステムは約450kmのレーダー探索範囲を持ち、SM-2対空ミサイルの射程距離は約120kmです。一方日本のFCS-3は探索距離約250km、ESSM対空ミサイルの射程距離は50kmとなっています。

広範囲の防衛能力が低いといわれることがありますが、ローカル・エリア・ディフェンス(LAD)を目的としていますから的外れな批判です。価格を抑えて双方を満たすことができればよいのでしょうが、現在のところ総合的にみてこれでよいのです。単純比較はできませんが、イージス艦の「こんごう型」は1隻約1,500億円、「あさぎり型」は約750億円です。FCS-3は射程距離内ではイージスを上回る性能を持ち、将来性にも優れています。

国産FCS-3(00式射撃指揮装置3型)を採用した功績

「あさづき型」について大手報道などでは「日本版イージス」というような見出しがつけられていたように思います。間違いではありませんが、我らの祖国を守る軍艦ですから、もう少し細かくみていきましょう。

まずは、米国のイージスシステムに相当し、戦闘能力の中核となるFCS-3(00式射撃指揮装置3型)についてです。

米国が1980年代に開発したイージスシステムは、各種レーダーやミサイル、ネットワークを統合した戦闘システムであり、それまでの属人的な情報収集・判断・攻撃に比べ、飛躍的にその能力を高めました。そして、日本やその他の国々もこうした戦闘システムの開発を進めていました。

日本ではFCS-3の前にFCS-2という防空システムがありましたが、まだまだ人の手が必要な段階的なものであり、多目標への攻撃もできませんでした。1980年代前半から、FCS-2の後継開発が始まり、2000年にFCS-3が制式化されました。

FCS-3はイージスシステムに比べて新しいこともあり、基本設計から異なったものとなっています。

イージスシステムの中核を成す多機能レーダー(SPY-1)はSバンドのパッシブ・フェーズド・アレイ・レーダー(以下、PESA)。これに対して日本のFCS-3はアクティブ・フェーズド・アレイ・レーダー(以下、AESA)です。ちなみに戦闘機に初めてAESAレーダーを搭載したのは日本のF-2です。

一昔前のレーダーというとグルグルと動いている(走査)イメージがあります。それにより広範囲を探知しているわけですが、これをアンテナ素子の位相制御により動かさずに可能にしたのが、PESA、AESAといったフェーズド・アレイ・レーダー(位相配列レーダー)です。

PESAは移相器のみでつくられ、AESAは移相器に加えて増幅回路が組み込まれています。これにより、FCS-3に使われたAESAはPESAに比べて探知性能、省電力、高速、信号の損失低下、半導体化(イージスは電子管)、耐久性、秘匿性等々といった様々面において優れています。要するにAESAはPESAより進んだ技術のレーダーということです。

艦橋に八角形の白い板のようなものがついており、これがAESAレーダーです。大きい方がCバンド、小さい方がXバンドです。

ちなみに、FCS-3のAESAレーダーは300の目標を同時に探知追尾することができます。拡張性にも優れており、ミサイルや戦術情報処理装置など他の様々な装置とのバランスをとりつつ、イージスレーダーに比べて比較的容易に性能向上を計ることができます。

「あさづき型」に搭載されたFCS-3は改良型のFCS-3Aであり、初めて搭載された「ひゅうが型」のFCS-3に比べ、モジュール出力は3倍以上となっており、戦闘指揮システム(QYQ-11)も改良され、より多くの目標を探知追尾でき、自艦以外へと向かうミサイルなどへの対処能力も付与されています。

このような新鋭艦である「あきづき型」の戦闘指揮所(CIC=Combat Information Center)にはディスプレイがいくつも並び、レーダー、通信、武器など様々な情報が集まり、情報が反映された共通状況図など、機密事項が多くあります。戦闘時には当然ながら、艦長がここから指揮を執ります。機密性が高く、乗組員でさえ立入制限されるそうです。

ほぼ国産といってよい記念すべき軍艦

艦船のイージスシステムやFCS-3、戦闘機の飛行制御装置などの複雑な統合装置は膨大な時間をかけて成長していきます。訓練や実験を通して得たデータを反映させ、装置やプログラムを育てていくものであり、特にプログラムの比重は高いものとなっています。我々国民は粘り強く見守っていくことが必要となってきます。
「あきづき型」の建造が計画された時、米国製イージスシステムのLADに適したものも検討されましたが、結局、国産のFCS-3が採用されました。小銃、戦車、戦闘機など自衛隊では多くの国産兵器が活躍し、日本を守ってくれています。ぜひ艦船も国産をと思い続けていましたからFCS-3Aを搭載した「あきづき型」は待望の艦船でした。

「あきづき型」4隻は三菱重工業 長崎造船所及び三井造船 玉野事業所において建造され、船体はもちろん、多くの国産製品が使われています。主には以下のようなものがあります。
・00式射撃指揮装置3型(FCS-3A)
・作戦級システム「海上作戦舞台指揮管制支援(MOF)システム」
・航海レーダー・対水上捜索レーダー「OPS-20C」(日本無線製)
・水上艦用電波探知妨害装置「NOLQ-3D」
・川崎M1A-35ガスタービン発電機(川崎重工業)
・90式艦対艦誘導弾(SSM-1B)

イージスシステムももちろん世界をリードする優秀な兵器です。しかし、ブラックボックス(開けられない極秘部分)があり、そこについては日本の現場でさわれないという問題もあります。国産であれば、日本の現場で起こる問題をどんどん吸い上げ、、日本の技術を存分に発揮した改良を施すことができ、知識・技術を蓄積することができます。

気をつけるのは逆に技術を盗まれないことです。そろそろ米国並にスパイ防止法等の整備を考えるべきだと思います。そもそもあって当たり前ともいえます。

「あきづき型」2番艦「てるづき」(DD-116)。写真:海上自衛隊
「あきづき型」2番艦「てるづき」(DD-116)。写真:海上自衛隊

「あきづき型」2番艦「てるづき」(DD-116)。写真:海上自衛隊
「あきづき型」2番艦「てるづき」(DD-116)。写真:海上自衛隊

難題だったエンジン国産化にも道筋

一つ残念なのはエンジンです。艦艇のガスタービンエンジンは、航空機用に開発されたものが基本となることが多いです。飛行機や艦艇のエンジン開発は大変難しいものです。

大東亜戦争に負け飛行機の開発を禁じられた日本は、戦争末期から始まったジェット・エンジン時代に大きな遅れをとってしまいました。平成30年が間近となったいまでも、国産エンジンを搭載した戦闘機はなく、当然軍艦もありません。

これだけ国産化された「あきづき型」でも、エンジンは英国ロールス・ロイス社が1964年に開発し、以後現在まで改良され続けている「スペイSM1C」を、川崎重工業がライセンス生産し4基搭載しています。しかし、国産エンジンを搭載した護衛艦が就役する日も確実に近づいているのです。

現在開発中のF-2に代わる次期国産戦闘機では待望の国産ジェットエンジンが搭載されることとなっています。このエンジンは防衛省技術研究本部とIHI(旧 石川島播磨重工業)が研究開発しXF5-1と名付けられています。

次期国産戦闘機開発は、平成28年(2016年)4月22日、先進技術実証機X-2が初飛行に成功しました。この開発が順調に進み、国産エンジンを積んだ戦闘機が就役すれば、次はそのエンジン技術を使って艦艇用エンジンの開発が進むはずです。近い将来、海自護衛艦にも国産ターボファンエンジンが搭載される日が確実にくるでしょう。

防衛事務次官の利益供与事件の影響

海自護衛艦はこれまで米国GE社のLM2500(IHI社がライセンス生産)と上記スペイを2基ずつ計4基積むケースが主流でした。「あきづき型」もその予定だったでしょうが、選定時点で防衛事務次官による山田洋行社への便宜供与問題が報じられ、これに関連していたGE社のLM2500が外されることとなりました。

海自機関科の関係者に話をきくと、スペイは燃料の不純物に弱いなどデリケートな部分が多く、LM2500の方が扱いやすいとのことですから現場の方々が苦労されるのではと心配です。

ステルス性

ステルス(stealth)とは、レーダー等のセンサー類から探知され難くする軍事技術であり、形状、素材、表面塗装、磁力、静粛などの手法があります。現代の戦闘は視界外戦闘が主流となっていますから、レーダーに映らなければいないのと同じです。ちなみに、ステルス艦の始まりといわれる一つに大東亜戦争時代の大日本帝国海軍潜水艦があります。

ステルス性の進んだ戦闘機の場合、最新型の米国製F-35では小鳥程度にしか映らないといわれますが、巨大な「あきづき型」が小鳥程度になることはないでしょう。艦船のステルスについてはデータが得られず、その効果は具体的にはわかりませんが、5,050t級の「あきづき型」が1,500t級に映るとすれば、大きな効果があります。

「あきづき型」では、ステルス性能がかなり進歩したといわれます。一見してわかるのは船体や甲板上部の構造物の傾斜。これはレーダーを発信元でない方向に反射させるための形状ステルスです。さらに、上述のAESAレーダーを搭載したFCS-3の恩恵により、それまでマストに設置されていた対空レーダーがなくなったことでマストを減らすことができ、レーダーに移りやすい突起物軽減に役立っています。

システム系

システム系では、初の国産システムということでFCS-3(00式射撃指揮装置3型)が最も重要でしょう。そして、FCS-3を含むいくつかのシステムを統合するC4Iシステムがあり、概ね以下のような構成です。

◎C4Iシステム
MOFシステム(海上作戦部隊指揮管制支援システム)、FCS-3(00式射撃指揮装置3型)、OYQ-11(海軍戦術情報システム)、リンク11/16(戦術データ・リンク)

イメージとしては、自衛隊及び同盟軍のすべての情報を元に判断・行動するということです。例えば、自艦のレーダーを使用することなく(逆探知の可能性を排除)目標のデータだけを受け取り、ミサイルを発射して撃破ということもできます。

艦長等の指揮官はディスプレイに表示された共通作戦状況図(COP=Common Operational Picture)を見ながら指揮することになり、そこには戦力の配置や可能な行動、地形や気象などの戦闘空間の状況等々が表示されます。

対空裝備

対空裝備は、ESSM短SAMと高性能20mm機関砲(CIWS)です。CIWSは至近距離において迎撃する近接防御火器システムであり、非常時ともいえる最終手段であることから、ほぼ独立しています。
「あさづき型」の主力防空を担うのは、FCS-3Aにより管制されたESSM(Evolved Sea Sparrow Missile)短SAMです。米国レイセオン社の艦対空ミサイルであり、日本向けの製造は三菱電機が行っています。
直系は0.25m、全長3.8m、重量300kg、射程距離50km、飛翔速度はマッハ2.5〜3、誘導方式はセミアクティブ・レーダー・ホーミングという概要です。推力を偏向制御できるTVC(Thrust Vector Control)という装置が組み込まれており、低速度でも優秀な運動能力を発揮します。
セミアクティブ・レーダー・ホーミング(SARH)とは、撃ちっぱなしでミサイルが自律誘導により目標に向かうのではなく、発射母体(この場合は「あきづき型」)が目標に対して電波を照射し、その反射をミサイルに搭載した目標捜索装置(シーカー)が検知して追跡する方式です。ESSMを誘導するためのレーダー波照射のアルゴリズムは2種類ある八角形のFCS-3のレーダーのうち、4つある小さい方が担います(イルミネーター)。
かつては発射母体がレーダーを照射し続けなくてはならず、その間、他のミサイルを誘導できないということになります。しかし「あきづき型」のミサイル(ESSM)は中間の誘導を慣性航法装置や他の無線リンクでも可能とし、ICWI(間欠連続波照射)機能も備えています。ここから推測すると、同時に誘導できるミサイルの最大数は1つのイルミネーターにつき6発、計24発と推測します。

「あきづき型」1番艦「あきづき」(DD-115)の艦橋。ステルス性を高めるための傾斜がわかります。中ほど、左右均等に配置された4つの白色八角形のものがFCS-3Aのレーダー。大きい方がCバンド、小さいほうがXバンド(後方にも同数)。正面の長い円筒形のものはCIWS。艦橋上部にはOPS-20C水上レーダーなどがあります。写真:海上自衛隊
「あきづき型」1番艦「あきづき」(DD-115)の艦橋。ステルス性を高めるための傾斜がわかります。中ほど、左右均等に配置された4つの白色八角形のものがFCS-3Aのレーダー。大きい方がCバンド、小さいほうがXバンド(後方にも同数)。正面の長い円筒形のものはCIWS。艦橋上部にはOPS-20C水上レーダーなどがあります。写真:海上自衛隊

ESSMは垂直発射装置(Mk.41 mod.29 VLS(Vertical Launching System))という米国製の発射装置に入っています。筒が甲板に縦に刺さるように整然と並ぶ保管庫のような形状をしており、そのまま上に向けて発射されます。一つ一つの筒はセルと呼ばれ「あきづき型」は32セルを備えています。

対艦裝備

対艦は、主に対水上捜索レーダー「OPS-20C(日本無線製)」と「90式対艦誘導弾(SSM-1B、三菱重工製)」が担い、加えて62口径5インチ単装砲(Mk.45 mod.4)が補います。
OPS-20Cはマスト中段にある細くて横長のものがメイン、左下にある同形状で小型のものがサブです。
90式対艦誘導弾(SSM-1B)は、艦中央やや後部にある筒状のもので2本ずつ左右に設置されています。全長約5m、重量660kg、射程距離は約150km、慣性航法とアクティブ・レーダー誘導により目標に向かい、時速1,150kmで飛翔します。
筒状の発射台などの装置は米国の艦体艦ミサイル、ハープーンも使用することができ、作戦能力を高めています。

対潜裝備

◎魚雷防御システム(TCM=Torpedo Counter Measure)
「あきづき型」は日本電気製のOQQ-22統合ソナー・システムに各種ジャマー・デコイを一元管理する魚雷防御システム(TCM=Torpedo Counter Measure)を備えています。これは、従来護衛艦よりも大幅に刷新されたものであり、最大の特徴は、統合システム化です。

イージスシステムにしても、00式射撃指揮装置3型(FCS-3)にしてもそうですが、最新兵器は自艦だけでなくネットワークを駆使して味方の情報・火力を統合することにより、戦闘能力を飛躍的に高めています。

水中を伝播する音波を利用して探索、探知、測距するソナー(超音波探信儀)は、上記のOQQ-22統合ソナー・システムを搭載し、デコイやジャマーは曳航具4型対魚雷デコイを2基、投射型静止式ジャマー(FAJ)2基、自走式デコイ(MOD)2基を裝備しています。

ジャマーやデコイは、簡単にいってしまえば囮です。ソナーにより敵潜水艦を探知し、敵潜水艦の発射した魚雷を囮となるジャマーやデコイに向かわせ、自艦を守ります。

ある海自関係者は「潜水艦は強い。」としみじみ語っていました。水上艦にとっていかに潜水艦が脅威なのかが伝わってきました。日本は非原子力の潜水艦建造・運用においては世界のトップを走ります。

「潜水艦には潜水艦」がもっとも適切な対処だということでしたが、それだけに頼るわけにもいきませんから、「あさづき型」を始め各水上艦は上記のように様々な手段を用いて脅威に対抗しています。

◎開発中の新システム「バイ/マルチスタティック戦術」
防衛省による平成28年度概算要求の概要では「可変深度ソーナーシステムの開発(予算97億円)」が盛り込まれ、次のような説明がなされています。
「護衛艦に搭載する新たなソーナーシステムとして、層深下に潜航した潜水艦の探知類別能力を向上させるため、えい航式ソーナーにアクティブソーナーの機能を付加し、複数の護衛艦で相互連携による捜索を可能とする可変深度どーナーシステムを開発」。

洋上無線ルータを使用して複数の護衛艦が相互連携するシステムのようですから、より精度の向上が実現するでしょう。バイ/マルチスタティック戦術といわれます。

◎07式垂直発射投射ロケット
魚雷防御システム(TCM)により敵潜水艦から自艦を守るとともに、探知した敵潜水艦を攻撃するのが艦対潜ミサイルです。「あきづき型」1番艦の「あきづき(DD-115)」は、米ロッキード・マーチン社製の垂直発射式(VL)アスロックを、2番艦「てるづき(DD-116)」以降はアスロックよりも性能向上した2007年制式採用の「07式垂直発射投射ロケット」(通称:新アスロック)を裝備しています。

「07式垂直発射投射ロケット」は新アスロックともいわれるように、アスロックの性能向上型といえます。特に、即応性と遠距離での対潜対処能力を高めたものとなっています。

新アスロックというとと言うと米国のアスロックの改良版のようですが、日本の技術研究本部が開発した国産兵器です。その辺あまりこだわらないところが控え目でよいです。

ちなみに、中国や韓国は兵器の性能を現実よりも大変高いものと強調し、実態は欠陥だらけということが往々にしてありますが、日本の場合は実態より高くいうことはまずありませんから、いざというときには信頼できます。

07式垂直発射投射ロケットはその名の通り、VLS(垂直発射システム)から垂直に発射され、目標海域まで飛翔、ロケット部分を切り離しパラシュートを開いて着水、弾頭部分の97式魚雷や12式魚雷が水中を目標に向かいます。

正確な性能は開示されていませんが、速度50〜60ノット、攻撃可能な深度は1,000m程ではないかと思われます。

電子戦装置

電子戦というのは、敵の電波を傍受・分析、敵の電波機器を攻撃、自艦を電子攻撃から防護するなどの活動のことです。日本は戦後一貫して研究開発されており、「あきづき型」に搭載されているNQLQ-3Dは第3世代にあたります。

ヘリコプター

艦尾にヘリ甲板とハンガーが備えられ、SH-60J/K哨戒ヘリコプターは常用1機(最大2機)、MCH-101掃海・輸送ヘリコプターの場合は1機の運用が可能です。SH-60Kと艦はORQ-1C-2ヘリコプター・データリンクにより情報共有されています。

上記の中でもSH-60Kは三菱重工と防衛庁が開発した対潜哨戒・汎用ヘリコプターで、2005年から運用されている高性能ヘリです。
レーダー、ソノブイ(使いきり対潜水艦用音響捜索機器)、磁気探査装置(MAD)、電子戦支援装置(ESM)、赤外線探知装置(FLIR)、逆合成開口レーダー(ISAR)を搭載しており、これらを駆使した探知性能は潜水艦にとっては「嫌な奴」です。

発見した潜水艦を剛撃する97式短魚雷、対潜爆弾の他、AGM-114Mヘルファイア2空対艦ミサイル、74式機銃といった武装を備え、小型艦艇であれば攻撃も可能です。

SH-60J。写真:海上自衛隊
SH-60J。写真:海上自衛隊

SH-60K。写真:海上自衛隊
SH-60K。写真:海上自衛隊
運用者海上自衛隊
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅18.3m
全 長151m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機COGAC方式/ロールス・ロイス スペイ(川崎・16,000shp)×4 
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員200名
初飛行
就 役平成22年(2010年)〜平成24年(2012年)
退 役-
兵 装

あたご(DDG-177)

あたご(DDG-177)

イージス護衛艦「あたご型」1番艦

海自最強のイージス護衛艦

※「あたご」(DDG-177)の性能について詳しくは「あたご型」の記事をご覧ください。
※文頭写真:海上自衛隊

「あたご」(DDG-177)は、海上自衛隊のイージス護衛艦「あたご型」1番艦。海上自衛隊には「あたご型」の他に「こんごう型」4隻のイージス艦があり、計6隻のイージス艦が配備されています。現在計画中の新型イージス護衛艦が就役するまでは、海上自衛隊最強のミサイル護衛艦となります。

新型イージス艦は、平成30年(2018年)から2隻が進水しますから、これが成ればイージス艦8隻体制となります。当初、「こんごう型」のみが弾道ミサイル防衛(BMD)能力を持っていましたが、本艦も平成28年(2016年)に能力が付与されました。。

これらイージス弾道ミサイル迎撃システムに搭載する、弾道ミサイル迎撃用ミサイルSM-3の国産化も進んでおり、THAAD(Terminal High Altitude Area Defense missile=終末高々度防衛ミサイル)、PAC3(Patriot Advanced Capability 3)とともに、日本の領空・領土を犯そうとする輩を迎え撃ちます。

平成29年11月、珍しく横須賀に停泊する「あたご」(DDG-177)。
平成29年11月、珍しく横須賀に停泊する「あたご」(DDG-177)。

「あたご」(DDG-177)の起工は平成16年(2004年)4月5日、進水は平成17年(2005年)8月24日、就役は平成19年(2007年)3月15日、造船は三菱重工業長崎造船所です。京都府の愛宕山にちなんで名づけられました。就役翌年の平成20年(2008年)、同艦が漁船と衝突するという事故がありました。

平成29年11月、珍しく横須賀に停泊する「あたご」(DDG-177)。
平成29年11月、珍しく横須賀に停泊する「あたご」(DDG-177)。

「あたご」(DDG-177)は、全長165m、全幅21m、満載排水量10,000トン(基準排水量7,700トン)、就役後は第3護衛隊群第63護衛隊(舞鶴)に編入、組織改編にともない平成20年(2008年)第3護衛隊群第3護衛隊(舞鶴)となりました。

「あたご」(DDG-177)。写真:海上自衛隊
「あたご」(DDG-177)。写真:海上自衛隊
2011年11月4日、太平洋上において日米年次訓練にのぞむ「あたご」(DDG-177)。写真USNAVY
2011年11月4日、太平洋上において日米年次訓練にのぞむ「あたご」(DDG-177)。写真USNAVY
見上げている大きな構造物にはイージス武器システムの中心となるSPY-1Dレーダーがあります。現代艦には、その他にも様々なレーダーやソナー、情報処理端末など数多くの電子機器が搭載されています。写真:海上自衛隊
見上げている大きな構造物にはイージス武器システムの中心となるSPY-1Dレーダーがあります。現代艦には、その他にも様々なレーダーやソナー、情報処理端末など数多くの電子機器が搭載されています。写真:海上自衛隊
運用者海上自衛隊
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅21m
全 長165m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機COGAC方式/ゼネラル・エレクトリック(IHIライセンス生産)LM2500-30型ガスタービンエンジン(25,000ps)×4
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員300名
初飛行
就 役平成19年(2007年)3月15日
退 役-
兵 装

あしがら(DDG-178)

あしがら(DDG-178)

「あたご型」イージス護衛艦の2番艦

海自のイージス護衛艦「あたご型」2番艦

※「あしがら」(DDG-178)の性能等について詳しくは「あたご型」の記事をご覧ください。
※文頭写真:海上自衛隊

海上自衛隊の「あしがら」(DDG-178)は、平成28年現在、海自最強の軍艦です(「いずも型」、「ひゅうが型」はヘリ空母型ですから除きます)。イージス武器システムとそれを利用したイージス弾道防衛システムを備えています。

全長165m、全幅21m、基準排水量7,700トン(満載排水量10,000トン)、石川島播磨重工がライセンス生産したガスタービンエンジン4基を2軸推進方式で配置し10万馬力を発します。

起工は平成17年(2005年)4月6日、平成18年(2006年)8月30日に進水、平成20年(2008年)3月13日に就役、佐世保の第2護衛隊群第2護衛隊に編入されました。造船は三菱重工長崎造船所です。

ミサイル発射のメイン裝備となるのは、Mk.41VLS(Vertical Launching System=垂直発射装置)です。甲板に縦に埋め込まれた筒が整然と並び、ミサイルはこの筒(発射装置)に収まっています。発射の際には蓋がパカっと空いて発射、ミサイルが飛び出します。

使用するミサイルはSM-2(スタンダードミサイル2)とSM-3です。SM-2は通常のミサイルや航空機を迎撃し、SM-3は弾道ミサイル防衛に使用します。VLS(垂直発射装置)は8セル一組になっており、「あしがら」(DDG-177)には96セルが設置されています。

就役当初はSM-3を使用した弾道ミサイル防衛能力が備わっておりませんでしたが、平成24年(2012年)に予算化され、平成30年(2018年)に能力付与が完了することとなっています。

他にも単装砲、機関砲、対艦誘導弾、魚雷発射管などを備え、ヘリコプター1機が搭載できます。これらの火器はイージス武器システムにより統括され、人力で目標の補足から攻撃までを行っていた時代とは隔世の戦闘力を発揮します。一般的には128以上の目標を同時に補足・追跡し、10以上の目標を同時に迎撃できるといわれています。

「あしがら」(DDG-178)のような現代における一流の軍艦は、各種のレーダー、センサー、ソナー、データ・リンクによる大量の情報をコンピュータ化して迅速・確実に処理し、武器を統制するイージス武器システムが精密に迎撃します。

こういったハイテク化は日進月歩で進んでいますが、それとともにサイバー攻撃の脅威も大きくなっています。すでにアメリカと中国は激しくやりあっていると聞きます。海上自衛隊が誇る艦艇が能力を発揮するためには、サイバー攻撃を跳ね返し、場合によっては防衛のために攻撃しなくてはいけません。艦艇の裝備とともに、自衛隊が世界一のサイバー部隊を保持してほしい、自衛隊ならやってくれると思っています。

「あしがら」(DDG-178)。写真:海上自衛隊
「あしがら」(DDG-178)。写真:海上自衛隊

「あしがら」(DDG-178)。写真:海上自衛隊
「あしがら」(DDG-178)。写真:海上自衛隊
「あしがら」(DDG-178)。写真:海上自衛隊
「あしがら」(DDG-178)。写真:海上自衛隊
「あしがら」(DDG-178)。写真:海上自衛隊
「あしがら」(DDG-178)。写真:海上自衛隊
運用者海上自衛隊
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅21m
全 長165m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機COGAC方式/ゼネラル・エレクトリック(IHIライセンス生産)LM2500-30型ガスタービンエンジン(25,000ps)×4
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員300名
初飛行
就 役平成20年(2008年)3月13日
退 役-
兵 装