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こんごう(DDG-173)

こんごう(DDG-173)

イージス護衛艦「こんごう型」1番艦

イージス武器システム、弾道ミサイル防衛(BMD)

※文頭写真:海上自衛隊
※「こんごう」(DDG-173)の性能など詳しい内容は「こんごう型」記事をご覧ください。

「こんごう」(DDG-173)は、海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう型」の1番艦です。平成2年(1990年)5月8日、三菱重工長崎造船所において起工され、平成3年(1991年)8月26日に進水、平成5年(1993年)3月25日に就役し、長崎県佐世保の第2護衛隊群第62護衛隊に編入され、その後改編により第1護衛隊群第5護衛隊(佐世保)の所属となりました。

艦名の「こんごう」は、日本海軍初の超弩級巡洋戦艦として第1次世界大戦、大東亜戦争において活躍した金剛型戦艦「金剛」(全長219.4m、排水量31,720t、乗員2,367名)以来となります。

戦艦「金剛」は建造当時世界屈指の戦艦であったことを考えると、海自初のイージス艦として建造された「こんごう」(DDG-173)が引き継ぐに相応しい艦名と思えます。イージス武器システムは、128以上の目標を同時に補足・追跡し、10以上の目標を同時迎撃可能といわれる強力な戦闘システムです。

本艦を含む「こんごう型」は弾道ミサイル防衛(BMD)を担っています。平成19年(2007年)12月18日、ハワイ・カウアイ島沖において弾道ミサイル防衛に使用するミサイルSM-3の迎撃演習を行ない、高度160kmの熱圏を飛翔する標的(ミサイル)の迎撃に成功しています。

平成24年(2012年)12月6日、翌平成25年(2013年)春と続けて北朝鮮が弾道ミサイルを発射実験を行った際には、破壊措置命令に従い出撃しました。

海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。写真:海上自衛隊

海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。写真:海上自衛隊
ハワイ沖でのミサイル発射実験のためハワイ真珠湾に停泊する、海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。平成19年(2007年)10月15日。写真:USNAVY
ハワイ沖でのミサイル発射実験のためハワイ真珠湾に停泊する、海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。平成19年(2007年)10月15日。写真:USNAVY
平成19年(2007年)12月18日、ハワイカウアイ島沖において弾道ミサイル迎撃実験のため、RIM-161スタンダードミサイル3(SM-3)を発射する、海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。写真:USNAVY
平成19年(2007年)12月18日、ハワイカウアイ島沖において弾道ミサイル迎撃実験のため、RIM-161スタンダードミサイル3(SM-3)を発射する、海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。写真:USNAVY
運用者海上自衛隊
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅21m
全 長161m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機COGAC方式/ゼネラル・エレクトリック(IHIライセンス生産)LM2500型ガスタービンエンジン(25,000ps)×4
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員300名
初飛行
就 役平成5年(1993年)3月25日
退 役-
兵 装

きりしま(DDG-174)

きりしま(DDG-174)

イージス護衛艦「こんごう型」2番艦

弾道ミサイル防衛を担うイージス護衛艦

※文頭写真:海上自衛隊
※「きりしま」(DDG-174)の性能など詳しい内容は「こんごう型」記事をご覧ください。

「きりしま」(DDG-174)は、海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう型」の2番艦です。平成4年(1992年)4月7日、三菱重工長崎造船所において起工され、平成5年(1993年)8月19日に進水、平成7年(1995年)3月16日に就役し、神奈川県横須賀の第1護衛隊群第61護衛隊に編入され、その後改編により第2護衛隊群第6護衛隊(横須賀)の所属となりました。

艦名の「きりしま」は、大日本帝国海軍金剛型戦艦の4番艦「霧島」を受け継いでいます。「霧島」は、大正4年(1915年)に就役し、大東亜戦争のソロモン海戦において沈没しました。

「きりしま」(DDG-174)が搭載するイージス武器システムは、128以上の目標を同時に補足・追跡し、10以上の目標を同時迎撃可能といわれる世界最強の戦闘システムです。本艦を含む「こんごう型」4隻はイージス武器システムを使用した弾道ミサイル防衛システム(BMD)能力を持っています。

弾道ミサイル防衛システム(BMD)はVLS垂直発射装置からSM-3(スタンダードミサイル3)を発射し、日本に飛来する弾道ミサイルを迎撃するものです。

海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊

海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊
運用者海上自衛隊
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅21m
全 長161m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機COGAC方式/ゼネラル・エレクトリック(IHIライセンス生産)LM2500型ガスタービンエンジン(25,000ps)×4
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員300名
初飛行
就 役平成7年(1995年)3月16日
退 役-
兵 装

みょうこう(DDG-175)

みょうこう(DDG-175)

イージス護衛艦「こんごう型」3番艦

弾道ミサイル防衛能力を持つ高性能イージス艦

※文頭写真:海上自衛隊
※「みょうこう」(DDG-175)の性能など詳しい内容は「こんごう型」記事をご覧ください。

「みょうこう」(DDG-175)は、海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう型」の3番艦です。平成5年(1993年)4月8日、三菱重工長崎造船所において起工され、平成6年(1994年)10月5日に進水、平成8年(1996年)3月14日に就役し、京都府舞鶴の第3護衛隊群第63護衛隊に編入され、その後改編により第3護衛隊群第7護衛隊(舞鶴)の所属となりました。

本艦を含む「こんごう型」は弾道ミサイル防衛(BMD)を担っています。平成21年(2009年)、弾道ミサイル防衛(BMD)機能が付加され、ハワイ・カウアイ島沖において発射試験が行われ、模擬弾道ミサイルの迎撃に成功しました。

平成24年(2012年)12月6日、北朝鮮が弾道ミサイルを発射実験を行った際には、破壊措置命令に従い出撃しました。

海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)。写真:海上自衛隊

海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)から発射された弾道防衛用のSM-3(スタンダートミサイル3)。平成21年(2009年)10月28日、ハワイカウアイ島沖における実射実験。写真:USNSVY
海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)から発射された弾道防衛用のSM-3(スタンダートミサイル3)。平成21年(2009年)10月28日、ハワイカウアイ島沖における実射実験。写真:USNSVY
フィリピン海上において米海軍と訓練中の「みょうこう」(DDG-175)。となりを航行するのは米海軍原子力空母「ロナルド・レーガン」(CVN-76)。写真:USNAVY
フィリピン海上において米海軍と訓練中の「みょうこう」(DDG-175)。となりを航行するのは米海軍原子力空母「ロナルド・レーガン」(CVN-76)。写真:USNAVY
海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「みょうこう」(DDG-175)。写真:海上自衛隊
運用者海上自衛隊
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅21m
全 長161m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機COGAC方式/ゼネラル・エレクトリック(IHIライセンス生産)LM2500型ガスタービンエンジン(25,000ps)×4
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員300名
初飛行
就 役平成8年(1996年)3月14日
退 役-
兵 装

ちょうかい(DDG-176)

ちょうかい(DDG-176)

イージス護衛艦「こんごう型」4番艦

弾道ミサイル防衛能力を持つ高性能イージス艦

※文頭写真:海上自衛隊
※「ちょうかい」(DDG-176)の性能など詳しい内容は「こんごう型」記事をご覧ください。

「ちょうかい」(DDG-176)は、海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう型」の4番艦です。平成7年(1995年)5月29日、石川島播磨重工東京第1工場において起工され、平成8年(1996年)8月27日に進水、平成10年(1998年)3月20日に就役し、長崎県佐世保の第4護衛隊群第64護衛隊に編入され、その後改編により第4護衛隊群第8護衛隊(佐世保)の所属となりました。

本艦を含む「こんごう型」は、イージス艦の開発国である米国以外で初めてのイージス艦です。また、イージス武器システムを使用した弾道ミサイル防衛(BMD)を担っています。
平成24年(2012年)12月6日、北朝鮮が弾道ミサイルを発射実験を行った際には、破壊措置命令に従い出撃しました。

海上自衛隊のイージス護衛艦「ちょうかい」(DDG-176)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「ちょうかい」(DDG-176)。写真:海上自衛隊

海上自衛隊のイージス護衛艦「ちょうかい」(DDG-176)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「ちょうかい」(DDG-176)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「ちょうかい」(DDG-176)。写真:海上自衛隊
海上自衛隊のイージス護衛艦「ちょうかい」(DDG-176)。写真:海上自衛隊
「ちょうかい」(DDG-176)から発射された弾道ミサイル防衛用スタンダードミサイル3(SM-3)。ハワイカウアイ島沖において行われた発射実験の模様。平成20年(2008年)11月19日。写真:USNAVY
「ちょうかい」(DDG-176)から発射された弾道ミサイル防衛用スタンダードミサイル3(SM-3)。ハワイカウアイ島沖において行われた発射実験の模様。平成20年(2008年)11月19日。写真:USNAVY
運用者海上自衛隊
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅21m
全 長161m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機COGAC方式/ゼネラル・エレクトリック(IHIライセンス生産)LM2500型ガスタービンエンジン(25,000ps)×4
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員300名
初飛行
就 役平成10年(1998年)3月20日
退 役-
兵 装

こんごう型

こんごう型

海自初のイージス艦

日本の弾道ミサイル防衛を担うイージス艦

※文頭写真:環太平洋合同演習(RIMPAC)2014において航行中の「こんごう型」2番艦「きりしま」(DDG-174)。写真:海上自衛隊

「こんごう型」は海上自衛隊初のイージス艦です。米海軍「アーレイ・バーク級」ミサイル駆逐艦をモデルに、三菱重工長崎造船所及び石川島播磨重工東京第1工場において建造されました。

イージス艦の母国、米国以外では日本が初めてのイージス艦保有国となりました。これは、ソ連の対艦飽和攻撃に脅威を感じた米国が、同盟国であり、自国空母の母港ともなっている日本にイージス武器システムを提供したものです。

昭和61年(1986年)・平成3年(1991年)の中期防衛力整備計画に基づいて、昭和63年(1989)に建造が始まり、平成5年(1993年)までに「こんごう」(DDG-173)、「きりしま」(DDG-174)、「みょうこう」(DDG-175)、「ちょうかい」(DDG-176)の4隻が建造されました。

※中期防衛力整備計画とは、日本における安全保障政策の指針、防衛計画大綱に従って策定される軍備の5か年計画です。状況により5年を待たずに変更されることもあります。

「こんごう型」建造計画が整備された昭和61年(1986年)〜平成3年(1991年)頃は冷戦(1945〜1989年)の終了前後にあたる激動の時代でした。

昭和60年(1985年)からソ連のゴルバチョフ書記長がペレストロイカ(政治改革運動)を推し進め、昭和61年(1986年)にはチェルノブイリ原子力発電所の事故、平成元年(1989年)ベルリンの壁が崩壊、中国天安門事件、平成3年(1991年)にはソ連崩壊という大事件が勃発しました。さらに同年、湾岸戦争が始まっています。

ソ連の対艦飽和攻撃への対抗策

日本のイージス艦建造が計画された頃は、冷戦の終末期。日米はソ連という強大な仮想敵国を持っていました。それゆえ、ソ連の対艦飽和攻撃による脅威が、日本がイージス艦を保有する大きな要因となったといわれます。対艦飽和攻撃とはどのようなもので、なぜソ連はその戦術を進めたのか、それを知るために簡単にソ連海軍の歴史を振り返ってみます。

ロシア海軍は、17世紀末のロシア帝国海軍創設に始まります。日露戦争頃には10隻の潜水艦を有する大海軍となっており、「南の土地、不凍港が欲しい」という、いかにも白人らしい徹底的な侵略嗜好により日露戦争となります。

自信満々で戦ったロシア帝国海軍でしたが、黄海海戦、日本海海戦などに大敗、大日本帝国海軍によってほとんど壊滅という状態に追い込まれます。そして、大正6年(1917年)のロシア革命によりロシア帝国海軍は終焉を迎え、ソ連海軍へと生まれ変わります。

ソ連海軍は陸軍戦力に重点を置いたため、海軍は沿岸警備という面が強く、そのために有効な潜水艦の増強を図ります。第2時世界大戦後も潜水艦の増強を進め、弾道ミサイル搭載艦などは西側自由陣営に先んじて配備しました。

米国は航空母艦を中心とした洋上戦力の強化を進め、ソ連は地理的条件から陸上戦力を中心に戦力を強化し続けます。昭和37年(1962年)のキューバ危機に際して、外洋における米国洋上戦力の力を思い知らされたソ連は、その対抗策に迫られ、対艦ミサイルによる飽和攻撃という戦術を進めます。

対艦ミサイルによる飽和攻撃は、大型爆撃機、水上艦、潜水艦などから一斉に米空母めがけて対艦ミサイルを発射し、空母部隊の防空能力を超えて撃沈しようというものです。ソ連はTu-22中距離爆撃機、長距離空対艦ミサイルKh-22(次第飛翔速度マッハ4.6、射程600km)を投入し、西側自由陣営の大きな脅威となりました。

対艦飽和攻撃に直面した場合、従来ような人の手に多くを負った戦闘システムでは対処しきれません。この脅威が日本のイージス艦保有に繋がりました。

128以上の目標を補足・追跡し、10以上の標的を同時に迎撃するイージス武器システム

「こんごう型」に搭載されたイージス武器システムは多機能レーダーAN/SPY-1Dを中心に各種レーダー、センサー、アンテナ、データリンクなどの情報を集約し、最適な戦闘をオペレートするものであり、人間が個々に情報収集し、判断、攻撃という時代とは比べ物にならない戦闘力を発揮します。128以上の目標を同時に補足追跡し、10以上の目標を同時に迎撃する能力を持っているといわれます。そして、このイージス武器システムを搭載した艦艇はイージス艦といわれます。

「こんごう型」2番艦「きりしま」(DDG-174)の艦橋。イージス武器システムの中核をなす多機能レーダーAN/SPY-1Dが納められています。写真:海上自衛隊
「こんごう型」2番艦「きりしま」(DDG-174)の艦橋。イージス武器システムの中核をなす多機能レーダーAN/SPY-1Dが納められています。写真:海上自衛隊

日本の海上自衛隊は、平成28年(2016年)現在、「こんごう型」4隻、「あたご型」2隻、計6隻のイージス艦を保有しており、これは米国に次ぐものです。さらに、平成29年・30年に計2隻のイージス艦建造計画があり、これが就役するとイージス艦8隻体制となります。

弾道ミサイル防衛を担う「こんごう型」

1998年(平成10年)北朝鮮がテポドン1号の打ち上げを強行したため、弾道ミサイル防衛(BMD)の日米共同開発が始まり、日本はイージス艦とPAC3による多層防衛システムを構築しました。

「こんごう型」は約340億円の予算によりBMD能力が付与され、続いて「あたご型」にも同様に改修がなされたため、横須賀の米軍基地を母港とする米海軍イージス艦とあわせ、10隻以上のBMD能力を持つイージス艦が日本にあることとなります。

平成18年(2006年)の北朝鮮による発射実験の際には、こんごう型の「こんごう」(DDG-173)と「みょうこう」(DDG-175)が日本海に展開し、テポドン1号の探知・追尾に成功しました。

平成19年(2007年)12月18日、ハワイカウアイ島沖において弾道ミサイル迎撃実験のため、RIM-161スタンダードミサイル3(SM-3)を発射する、海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。写真:USNAVY
平成19年(2007年)12月18日、ハワイカウアイ島沖において弾道ミサイル迎撃実験のため、RIM-161スタンダードミサイル3(SM-3)を発射する、海上自衛隊のイージス護衛艦「こんごう」(DDG-173)。写真:USNAVY

武装

◎54口径127mm単裝速射砲
艦の前方に設置されている艦載砲。イタリアのオート・メラーラ社が開発した艦載砲システムです。昔の戦艦は艦載砲を主力としていましたが、今や軍艦における戦闘力の中心はすっかりミサイルと電子機器となりました。1950年代〜60年代のミサイル万能論全盛時には、米海軍でも艦砲を搭載しないミサイル巡洋艦が建造されたこともあります。

しかし艦砲の優れたコスト、近距離戦闘での利便性などから、現在では最新イージス艦においても艦砲が搭載されています。昔の戦艦が搭載していた巨大な艦砲とは異なり、単裝で口径も小さくなっていますが、技術の進歩により高性能化しています。本艦の「54口径127mm単裝速射砲」は1分間に45発を発射し、有効射程は約30km、遠隔操作化され砲塔内は無人です。

◎高性能20mm機関砲(CIWS)
54口径127mm単裝速射砲よりも近距離、約1.5kmを有効射程とする米国、レイセオンシステムズ社が開発した、近接防御火器システム(CIWS=Close In Weapon Systtem)です。半世紀以上前から使われているM61A1という20mmガトリング砲を、レーダーと火器管制システムにより完全自動化したものです。毎分3,000〜4,500発を発射します。

◎Mk41 VLS
打撃力の中心となるミサイルを発射するのはMk41 VLS(Vertical Launching System)と呼ばれる米国製のミサイル発射機です。日本語ではMk41垂直発射システムといい、その名のとおり、ミサイルを縦に1発収納した筒が整然と並んでおり、垂直にならんだ蜂の巣のようです。

「こんごう型」は艦首甲板に29筒(セル)、艦尾甲板に61筒(セル)、計90筒(セル)が裝備されています。発射する場合には、その筒の先端がパカっと空いて、そのまま発射されます。VLSからは、SM(スタンダードミサイル)-2、SM-3(弾道ミサイル防衛用)という対空ミサイル及び、VLA(VL-Asroc)という対潜ミサイルを発射します。

SM(スタンダードミサイル)は、西側自由諸国で標準的に利用される米国製ミサイル。主に「あたご型」のようなイージス艦に搭載され、飛来するミサイルや航空機を撃墜するために使用されます。

SM-2は通常のミサイルや航空機を迎撃し、SM-3は弾道ミサイル防衛に使われます。敵戦闘機や敵艦から発射されたミサイルが「あたご型」に襲来した場合にはSM-2で粉砕し、弾道ミサイルや偵察衛星などは、SM-3によって撃ち落とします。ちなみにSM-3の価格は1発約20億円です。

SM-2にはいくつかのバリエーションがありますが、概ね全長4.72m、直径0.35m、重量700g、射程距離70〜160kmといったスペックです。

弾道ミサイル防衛用のSM-3は、北朝鮮による度重なるミサイル発射実験を契機に開発・国産化が進められており、現在ではSM-3 Block2Aの生産体制の準備が予算化されています。当初のSM-3は射程距離700kmと中距離弾道ミサイルへの対処が限定的でしたが、Block2Aではこれに対処し、射程2,500km、最高高度1,500kmと飛躍的に性能向上がなされています。

VLA(VL-Asroc)はMk.41垂直発射システム(VLS)から発射するアスロック対潜ミサイル。射程距離は22km程です。

◎ハープーン4連装発射機
ハープーンは、米国マクドネル・ダグラス社が開発した対艦ミサイル。30以上の自由諸国が採用する代表的な対艦ミサイルです。全長は種類により差がありますが約4m、直径は約34cm、射程距離は124km〜315km、速度マッハ0.85で飛翔します。

発射されると自身のセンサーにより慣性誘導により飛翔し、目標近くになって自らのレーダーを作動させ、目標艦に向かいます。

◎68式3連装短魚雷発射管
米海軍が開発した水上艦用魚雷発射管。上記VLSから、VLAアスロックという対潜ミサイルが発射できるのだが、安価かつ信頼性が高いため裝備が続いています。

◎電子戦装置
「こんごう型」には技術研究本部が開発した国産のNOLQ-2電波探知妨害装置が裝備され、電波探知と電波妨害の両方を行ないます。「あたご型」にも改良型NOLQ-2Bが裝備されていることから、日本イージス艦の標準といってもいいでしょう。

◎艦載機
ハンガー(格納施設)はないものの、後部にはヘリコプター甲板があり給油機能ももっています。

運用者海上自衛隊
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅21m
全 長161m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機COGAC方式/ゼネラル・エレクトリック(IHIライセンス生産)LM2500型ガスタービンエンジン(25,000ps)×4
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員300名
初飛行
就 役平成5年(1993年)〜平成10年(1998年)
退 役
兵 装

モービル・ベイ

Mobile Bay(CG-53)
モービル・ベイMobile Bay(CG-53)

アメリカ海軍イージス巡洋艦

第3空母打撃群の防空を担う

モービル・ベイ(1985-)は、イージス・システムを搭載したアメリカ海軍のタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の7番艦です。1984年6月に起工され、1985年8月に進水、1987年2月に就役しました。空母ジョン・C・ステニスを中心とした第3空母打撃群に所属しています。

タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦については、ポート・ロイヤルの項を参照ください。

運用者アメリカ海軍
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅16.8m
全 長173m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機ゼネラル・エレクトリック LM2500×4(80,000shp)、2軸推進
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員
初飛行
就 役1987年2月21日
退 役-
兵 装

バンカー・ヒル

Bunker Hill(CG-52)
バンカー・ヒルBunker Hill(CG-52)

アメリカ海軍イージス巡洋艦

かつて横須賀を母港としたイージス・ミサイル巡洋艦

バンカー・ヒル(1985-)は、イージス・システムを搭載したアメリカ海軍のタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の6番艦です。1984年1月に起工され、1985年3月に進水、1986年9月に就役しました。

ミサイルランチャーを、艦上に出ている砲のような従来のMk.26から現在主流となっているMk.41垂直発射システム(VLS=Vertical Launching System)に変更したことが大きな特徴です。Mk.41はカプセルホテルのカプセルが垂直に床に埋め込まれているような形状をしています。この変更によりトマホーク・ミサイルが使用できるようになり、大きく攻撃能力を向上させました。

1988年8月から1998年まで横須賀を母港とし、空母ミッドウェイを中心とした空母打撃群に加わっていました。1998年以降はアメリカカリフォルニア州サンディエゴを母港とし、空母エイブラハム・リンカーン(CVN-72)を中心とした空母打撃群に所属しています。

タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦については、ポート・ロイヤルの項を参照ください。

運用者アメリカ海軍
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅16.8m
全 長173m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機ゼネラル・エレクトリック LM2500×4(80,000shp)、2軸推進
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員
初飛行
就 役1986年9月20日
退 役-
兵 装

アンティータム

Antietam(CG-54)
アンティータムAntietam(CG-54)

アメリカ海軍イージス巡洋艦

シャイロー(CG-67)とともに横須賀を母港とするイージス巡洋艦

アンティータム(1986-)は、イージス・システムを搭載したアメリカ海軍のタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の8番艦です。1984年11月に起工され、1986年2月に進水、1987年6月に就役しました。

2013年2月よりカウペンス(CG-63)と交代し、横須賀を母港としています。

タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦については、ポート・ロイヤルの項を参照ください。

運用者アメリカ海軍
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅16.8m
全 長173m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機ゼネラル・エレクトリック LM2500×4(80,000shp)、2軸推進
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員
初飛行
就 役1987年6月6日
退 役-
兵 装

サン・ジャシント

San Jacinto(CG-56)
サン・ジャシントSan Jacinto(CG-56)

アメリカ海軍イージス巡洋艦

現代最強のイージスシステムを搭載した巡洋艦

サン・ジャシント(1986-)は、イージス・システムを搭載したアメリカ海軍のタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の10番艦です。1985年7月に起工され、1986年11月に進水、1988年1月に就役しました。

タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦については、ポート・ロイヤルの項を参照ください。

運用者アメリカ海軍
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅16.8m
全 長173m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機ゼネラル・エレクトリック LM2500×4(80,000shp)、2軸推進
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員
初飛行
就 役1988年1月23日
退 役-
兵 装

レイテ・ガルフ

Leyte Gulf(CG-55)
レイテ・ガルフLeyte Gulf(CG-55)

アメリカ海軍イージス巡洋艦

現代最強のイージスシステムを搭載した巡洋艦

レイテ・ガルフ(1986-)は、イージス・システムを搭載したアメリカ海軍のタイコンデロガ級ミサイル巡洋艦の9番艦です。1985年3月に起工され、1986年6月に進水、1987年9月に就役しました。

タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦については、ポート・ロイヤルの項を参照ください。

運用者アメリカ海軍
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅16.8m
全 長173m
全 高
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機ゼネラル・エレクトリック LM2500×4(80,000shp)、2軸推進
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員
初飛行
就 役1987年9月26日
退 役-
兵 装