10式戦車

10式戦車

純国産のネットワーク型(C4I搭載)主力戦車

10式戦車(ひとまるしきせんしゃ)は、平成22年度(2010年度)から調達が始まった日本の主力戦車。国産戦車としては61式から数えて4代目になります。コンパクトかつ軽量な車体に、圧倒的な機動性と精密な打撃力、そして強力なネットワーク力を持ち、大規模戦争からテロ等との市街戦まで広範囲に高い能力を発揮します。

また、これまで主要部品の中で唯一国外品のライセンス生産となっていた主砲をも国産としており「純国産戦車」の名にふさわしい存在でもあります。前代の90式戦車がライセンス生産していたドイツ・ラインメタル社の主力戦車用砲身は、ほとんどの西側諸国が採用している信頼性の高い砲身ですからもちろん問題ないのですが、10式はさらに砲身も国産化(日本製鋼所)しました。ちなみに、日本製鋼所は明治40年(1907年)に創立し大日本帝国海軍の戦艦用砲身なども製造していた、日本が誇るべき企業です。

陸上自衛隊の戦車がほとんどが国産であることは、一般にはあまり馴染みがないかもしれません。大東亜戦争後しばらくは米国から供与されたM24軽戦車やM4A3E8戦車が使用されましたが、昭和36年(1961年)採用の61式戦車から戦後国産戦車の系譜が始まり、昭和49年(1974年)採用の74式戦車、平成2年(1990年)採用の90式戦車、そして平成22年(2010年)の10式戦車と受け継がれました。

陸上自衛隊の主力戦車、10式戦車。写真:陸上自衛隊
陸上自衛隊の主力戦車、10式戦車。写真:陸上自衛隊

戦車を国産できる国は、日本、アメリカ、ロシア、イギリス、ドイツ、フランス、イスラエルくらいです。中国や韓国が必死になっていますが、まだまだこれらの国々には及びません。大雑把に考えると、良い自動車や二輪車を造る技術を持っている国が良い戦車を造ることができるようです。

10式戦車は、前代の主力戦車90式に比べ「純国産、小型軽量化、機動力向上、攻撃力強化、防護力強化、ネットワーク能力(C4Iシステム)付与、コストダウン」が実現されています。

前後進とも時速70kmという高速で走り、砲身にワインを注いだワイングラスを置き、それを落とさずに自由に車体を傾け、超信地旋回までしてしまう精密な制御能力、2km先にある普通車のボンネットを狙える程精密な射撃能力をネットワークと高度な電子機器により統合しています。その結果、スラローム射撃といった難易度の高い攻撃も可能にしています。

陸上自衛隊の主力戦車、10式戦車。写真:陸上自衛隊
陸上自衛隊の主力戦車、10式戦車。写真:陸上自衛隊

10式戦車及び対応兵器とネットワーク化されているということは、10台の戦車が同時に行動しているとすれば、全車両のディスプレイに敵味方の情報が表示され、指揮官はそれを見ながら最適な攻撃方法を選択できるということになります。恐らく、歩兵や本部ともつながることから、多様な情報をリアルタイムに得ながら作戦行うことができると思われます。

10式戦車の開発

◎開発の概要
10式戦車の開発は平成14年度(2002年度)から始まりました。防衛省技術研究本部と主契約企業である三菱重工業により進められ、約5年後の平成20年(2008年)2月、神奈川県相模原市にある防衛省技術研究本部陸上装備研究所において報道陣に初公開されました。

開発は平成14年度に始まり、平成22年度に装備化という当初の予定どおり順調に進みました。開発開始当時の防衛省資料(「平成13年度 政策評価書」)から、「新戦車に求め荒れたコンセプト=なぜ10式戦車が必要だったのか」また、あわせて「74式戦車や90式戦車の改良や輸入によらず、新戦車開発だった理由」も確認します。

◎新戦車に求められた性能
「将来戦においては、戦車には、①情報を早期に獲得し敵に対し優位な態勢を確立して撃破するため、C4Iの連接により情報を共有し、迅速・正確に火力と機動力を指揮統制できる能力、②対象戦車を確実に撃破できる火力、③多様な脅威に対応できる防護力、④所望の時期場所に迅速に進出できる戦場機動力及び⑤迅速な戦力集中が可能な戦略機動性が必要となるため、将来戦に対応できる機能・性能を有した新戦車を開発し、将来戦においても有効な対機甲戦闘及び機動打撃が行い得るようにすることを目的とする。」

◎なぜ新規開発だったか
「① 既存の装備等によらない理由
現有の74式戦車及び90式戦車は、将来戦に必要となるIT革命に対応した高度なC4I機能を付加しようとしても、内部スペースの関係上、一部限定的な付加しかできないこと等から、新たな戦車のコンセプトに合致せず、不適当である。

② なぜ国産だったか 〜 代替手段との比較検討状況
代替手段の候補としては、海外からの導入又は90式戦車の改修が考えられる。このうち、海外からの導入については、米国のM1A2、独国のレオパルド2A5、仏国のルクレール等が検討の候補となるが、これら外国の戦車は、戦闘に必要な情報を共有し火力と機動力を指揮統制できる能力、日本の錯雑した国土地形を敏捷に運動する機動力、直接防護力及び間接防護力を総合した防護力を有し、かつ機動的な輸送に適した小型軽量化という、新戦車の装備化において目標としている水準を満足しない。また、90式戦車の改修についても、主として重量の点で新戦車の目標とする水準を満足せず、また、C4I機能の追加等の改修を実施した場合、全体の経費が上昇するなど、効率的であるとはいえない。
以上から判断した場合、開発に替わり得る有効な手段はなく、各種任務に必要な性能を満足する戦車を装備するためには、当該事業を実施する必要がある。」

◎平成14年度に開発が始まった理由
「現有の90式戦車は、開発から10年以上が経過し、IT革命等を受けた現在の諸外国の技術水準から取り残されつつあり、早急に国際的な技術進歩の趨勢に対応していくことが、我が国の防衛上必要不可欠である。また、90式戦車は、現在の整備ペースを前提とすれば、平成22年度には所要部隊への配備を終了する予定であり、戦車全体の数量も、同年度頃から大綱水準を大幅に割り込んでいくことから、新戦車を平成22年度に装備化する必要があり、開発期間も考慮すれば、平成14年度に開発に着手する必要がある。」

◎開発途中の評価(平成20年「新戦車」に関する外部評価委員会の概要)
「小型軽量化を図り、我が国の国土地形に適合した国産戦車である。
特に強化された機能として指揮・統制・通信性能及び機動性能があり、火力と機動力
を連携させた総合戦闘力の発揮を可能にしている。」

◎整備にあたって「整備理由」
開発が終了した平成22年度(2010年)、配備にあたって「予算執行事前審査等調書(平成22年度第3四半期)という政府の資料に整備理由がありましたので、これも確認します。

「厳しさを増す安全保障環境のもと、防衛力の整備を着実に推進し、各種事態(本格的な侵略事態、島嶼部に対する侵略、ゲリラや特殊部隊による攻撃等)への即応・実効的対処能力の向上等を図ることにより、我が国の平和と国民生活の安全・安心を確保するため、甲類装備品(戦車)を整備する。」

10式戦車の特長

10式戦車の特長は、概ね「火力強化、小型軽量化、機動力向上、攻撃力強化、防護力強化、ネットワーク能力(C4Iシステム)、コストダウン」となっています。以下、順を追って調べてみます。

◎火力強化〜主砲の国産化、新型砲弾〜
上述のように陸自の戦車は10式戦車で国産戦車4代目ですが、主砲を国産化したことによりあえて純国産と表記しました。兵器が国産であるということは何がよいのでしょうか。
大東亜戦争の頃のようにお互いに戦車をずらりと並べて激しい戦いをする、ということは考えにくく、10式戦車も自衛隊の国土防衛任務に沿って造られたものです。

新国産主砲「44口径120mm滑腔砲」(日本製鋼所 製)は、最大腔圧を上げつつ軽量化しています。現在の数値は非公開のためわかりませんが、開発段階では90式戦車よりも最大腔圧は約4%向上し質量は約89%となっています。

陸上自衛隊の主力戦車、10式戦車。写真:陸上自衛隊
陸上自衛隊の主力戦車、10式戦車。写真:陸上自衛隊

ケーブルテレビの情報特番で10式を扱っており、そこでは主砲を製造している日本製鋼所の担当者が取材に応じ、次のように語っていました。「高速で弾頭が通過するため、その削る精度は機械ではできない。職人が確認しながらやっていく。中はみえないので、音などを頼りに行う。そこも職人の技術。秒速1600m。主砲内部の圧力は5700気圧もある。そのために特殊な素材が必要。その圧力は、世の一般的な機械ではないような圧力がかかる。通常の材料にはない強度と粘り強さが要求される」。

90式戦車の砲弾との共通化が図られるとともに、あわせて、新型砲弾「10式120mm装弾筒付翼安定徹甲弾」(10式APFSDS)も開発・装備されており打撃力の強化が実現されています。10式戦車は他の現代戦車と同じように、徹甲弾(運動エネルギー弾)と対戦車榴弾(化学エネルギー弾)を主に使用します。

前者は自身の質量と運動エネルギーにより敵戦車の装甲を貫いて打撃を与えるもので、現代では中に矢の入ったカプセルのような形状の装弾筒付翼安定徹甲弾(APFSDS = Armor-Piercing Fin-Stabilized Discarding Sabot)が主流になっています。10式戦車の新型砲弾「10式120mm装弾筒付翼安定徹甲弾」(10式APFSDS)もこれにあたります。開発製造はダイキン工業が担います。

陸上自衛隊の主力戦車、10式戦車とともに開発された新型砲弾、「10式120mm装弾筒付翼安定徹甲弾」(10式APFSDS)。写真:陸上自衛隊
陸上自衛隊の主力戦車、10式戦車とともに開発された新型砲弾、「10式120mm装弾筒付翼安定徹甲弾」(10式APFSDS)。写真:陸上自衛隊
陸上自衛隊の主力戦車、10式戦車とともに開発された新型砲弾、「10式120mm装弾筒付翼安定徹甲弾」(10式APFSDS)の構造図。写真:陸上自衛隊
陸上自衛隊の主力戦車、10式戦車とともに開発された新型砲弾、「10式120mm装弾筒付翼安定徹甲弾」(10式APFSDS)の構造図。写真:陸上自衛隊

APFSDSは撃ち出された直後にカプセルを破棄して中に入った矢のような飛翔体が飛翔します。「10式120mm装弾筒付翼安定徹甲弾」の貫通力は公表されていませんが、10式より一世代前の90式戦車が使用するドイツ・ラインメタル社製JM33(ダイキン工業がライセンス生産)は距離2,000mから約500mmの鉄の板を貫通するといわれます。また、時速マッハ5にもなる高速で飛翔し、超高速で着弾するため流体化しつつ貫通していきますから、昔のような傾斜による避弾経始はほぼ無効となります。

この徹甲弾に対して後者の化学エネルギー弾は、炸薬を使用する砲弾であり対戦車榴弾などといわれます。敵戦車の装甲に着弾した瞬間に砲弾内部の炸薬が爆発し、その爆発力を利用してメタルジェットが装甲を貫くというものです。

10式では90式と共通の多目的対戦車榴弾(HEAT-MP=High-Explosive Anti-Tnak Multi-Purpose)を使用します。上記のようにメタルジェットが装甲を貫くとともに、その際に余剰となった爆発を利用して鉄球などを周囲に飛ばし、より広範囲への打撃を可能にしています。

◎小型軽量化
10式戦車は90式戦車に比べ重量で約6トン軽量化、全長は0.38m、全幅が0.16m小型化されています。火力、防御力、機動力、操作性、兵員の居住性が同じ、もしくは上回るのであれば小さいに越したことはありません。輸送によく、市街戦にも強くなりますが、しかし、その実現には難題が多くあります。

特に44口径120mmという長大な砲身の衝撃に耐えうるためには、車体にある程度の重量が必要であり、そのため主要各国の主力戦車は10式を除きたいていの戦車は60トン前後の重量となっています。

10式戦車では軽量化と火力増強を両立させるためにアクティブ・サスペンションを採用、これにより主砲の反動を計算して吸収することにより軽量化を実現しています。将来的にはさらに口径の大きな55口径120mm砲への換装も可能とされています。

陸上自衛隊の主力戦車、10式戦車。写真:陸上自衛隊
陸上自衛隊の主力戦車、10式戦車。写真:陸上自衛隊

平成22年4月の防衛省「防衛生産・技術基盤」によれば、日本国内にある橋梁の通過率は、10式戦車(約44トン)の場合84%、90式戦車(約50トン)では65%、海外主力戦車(60トン以上)では約40%となっています。

冷戦末期に開発され、平成2年(1990年)に始まった一世代前の90式戦車は、北海道に上陸する旧ソ連戦車部隊を撃滅することを前提に開発されていたため、小型軽量化への努力はあまり払われず、上記のように橋梁通過率が65%であっても問題ありません。

その後、平成3年(1991年)にソ連が崩壊してロシアとなり、同時多発テロ、湾岸戦争などを経て、対応すべき戦闘形態は北海道の大地における装甲師団同士の戦いではなく、市街地を含む、日本各地でのテロ・ゲリラ戦及び島嶼防衛に変わりました。仮想敵国はそれまでのロシア、北朝鮮に中国が加わることとなりました。竹島を侵略しているという点では韓国もでしょうか。

こういった観点から全国的かつ市街地を含めた展開が想定され、小型軽量化が図られたということです。

現在陸上自衛隊に配備されている3種類の主力戦車の大きさと重量を比べてみます。
〈10式戦車〉全長:9.42m 全幅:3.24m 全高:2.30m 重量:44t
〈90式戦車〉全長:9.80m 全幅:3.40m 全高:2.30m 重量:50.2t
〈74式戦車〉全長:9.41m 全幅:3.18m 全高:2.25m 重量:38t

続いて主要各国が開発する主力戦車です。
〈日本・10式戦車〉全長:9.42m 全幅:3.24m 全高:2.30m 重量:44t
〈露・T-90〉全長:9.53m 全幅:3.78m 全高:2.23m 重量:46.5t
〈独・レオパルト2〉全長:10.97m 全幅:3.74m 全高:3.03m 重量:62.5t
〈米・M1A2〉全長:9.83m 全幅:3.66m 全高:2.37m 重量:63.3t
〈イスラエル・メルカバ〉全長:9.04m 全幅:3.7m 全高:2.7m 重量:65t
〈仏・ルクレール〉全長:9.87m 全幅:3.71m 全高:2.92m 重量:56.5t

◎機動力向上

10式戦車は砲身国産化、小型軽量化とともにエンジンも新規開発され、最大出力1,200ps/2,300rpmの水冷4サイクルV型8気筒ディーゼルエンジンを搭載しています。

エンジンの専門的なことは理解できないのですが、小型軽量化とあいまって主要各国の主力戦車と比べても優れていることは一見してわかります。

主要各国主力戦車の主砲と速度
〈日本・10式戦車〉44口径120mm滑腔砲、整地:時速70km(前後進共)
〈日本・90式戦車〉44口径120mm滑腔砲、整地:時速70km
〈露・T-90〉51口径125mm滑腔砲、整地:時速65km、不整地:時速45km
〈独・レオパルト2〉55口径120mm滑腔砲、整地:時速68km、後退時:時速31km
〈米・M1A2〉44口径120mm滑腔砲、整地:時速67.6km
〈イスラエル・メルカバ〉44口径120mm滑腔砲、整地:時速60km、不整地:時速55km
〈仏・ルクレール〉52口径120mm滑腔砲、整地:時速72km、不整地:時速55km、後進:時速38km

特に後退時にも時速70kmを発揮することや、90式に比べ半分の半径で旋回できるという点はすごいですね。これらは、油圧機械式無段階自動変速操向機(HMT= Hydro-Mechanical Transmission)という優れた変速機が大きな役割を果しているようです。この変速機はエンジン出力の大きな効率の良い回転数付近で使うことにより、エンジンの小型化と機動性向上を実現しています。

◎攻撃力強化〜スラローム射撃も100発100中〜

動画配信等でも富士総合火力演習をみたことのある方なら、印象深かったのが10式戦車によるスラローム射撃でしょう。急激にスラローム走行をしながら100発100中で射撃する姿には驚きました。また、急速に後退しながらの精密射撃も目を見張るものがありました。

90式でも走行しながら射撃するシーンはありその命中精度にも驚いたものですが、あれほど急激なスラロームをしながらの精密射撃は始めてみました。

さらに、これも動画なのですがある駐屯地の一般公開において、10式戦車の砲身前部あたりに簡単な板を設置し,その上にワインの入ったワイングラスを置き、前後左右の車体傾斜のみならず、超信地旋回(その場で旋回)を行い、ワインは全くこぼれていませんでした。

このような精密な車体制御能力があるから、車体がどのような状態にあっても砲塔は設定した目標を追尾し続け、先のスラローム射撃が可能なのですね。

◎防護力強化
戦車の防護といわれて一般にイメージするのは分厚い鋼の装甲と効果的な傾斜角度でしょう。独ソ戦においてソ連軍を救ったT-34中戦車の傾斜装甲のイメージです。しかし現代では、上述のAPFSDS弾やHEAT弾などの登場により、鋼を使った傾斜装甲はほとんど意味のないものになってしまいました。

傾斜装甲に変わって昭和40〜50年代(1970年代)に導入されたのが複合装甲と、昔からいろいろな方法で行われていた増加装甲です。複合装甲はそれまで鋼だけだったものに、セラミックや金属を挟み込んで防護力を高めたもので、10式を始め主要各国の新鋭戦車が取り入れています。

10式は炭素繊維やセラミックを使用し、防護力を確保しつつ軽量化を実現しているようです。詳しいことは情報が開示されていませんが日本はこれらの分野では世界のトップランナーであり、非常に進んだ技術を駆使しているであろうことは明白です。

平成22年(2010年)8月28日の時事通信記事によれば、「車体前部に外装式モジュール装甲が採用されている」とありますので、複合装甲は一部取り外し式であることがわかります。

別件ですが、国産戦闘機F-2の開発では主翼の強度を高めるため、炭素繊維の複合素材による主翼の一体成型という画期的な技術が使われました。残念ながら、米国の暴力的介入により共同開発となり、開発された新しい技術はタダで米国に提供するという契約となっていたため、そのとおりに実行され、その技術は米国のF-35戦闘機開発に大いに利用されました。

増加装甲とはその名のとおり、必要に応じて追加するものです。古い戦車が土嚢を付けているのもその一種です。10式では恐らく上記炭素繊維やセラミックを使った最新の増加装甲となっていて、最も被弾しやすい砲塔の両側面への取り外し式になっています。

◎ネットワーク能力(C4Iシステム)
朝雲新聞によれば「陸自ネットワークに組み込まれ、戦車同士が情報共有できるほか、普通科の野外コンピューター・ネットワーク「基幹連隊指揮統制システム」とも連接、普通科部隊と一体化した作戦行動が可能だ。」となっています。

「将来的には上空のOH1観測ヘリやAH46D戦闘ヘリからの敵情も入手できるようになり、戦車部隊は作戦環境をほぼリアルタイムで受けながら行動できるようになる。」ともあり、「パネルタッチ射撃可能」であることも触れられています。

先進国家による現代兵器による戦闘は陸海空すべてにおいて、ネットワーク化が進んでいます。どれか1両の10式戦車が敵を補足すれば、ネットワーク化された10両の10式戦車すべてのディスプレイに瞬時に敵の位置が表示され、即座に最適な攻撃が実行されます。

本質からいえば人間が無線で伝えることと同じですが、人間が介在しない分、情報の伝達速度、量、共時性、正確性が圧倒的に違う上、高度な射撃指揮装置とも連携しているため、無線で伝え、それぞれの砲手が手作業で調整することとは比べ物にならないスピードと正確さで敵を葬ります。

上述のように観測ヘリや普通科部隊も含めた「基幹連隊指揮統制システム」と連携するため、このシステムに連携する誰かが敵を補足すれば、瞬時に情報が共有され、迅速に最適な攻撃が実行できます。

ネットワーク能力、車両統制能力が進化していけば、いずれ人は乗らなくなるのではないでしょうか。研究は着々と進んでいます。悲しいかな、最も脆弱で飛び抜けて高価なのは人間です。高価というのは、人であるということに加え自衛隊のように優れた練度の軍人を育てようと思えば、多くの時間と費用がかかるからです。

したがって、人が乗らないということはあらゆる点で断然有利になります。更に進めば、人が判断する必要もなくなるかもしれません。

◎コストダウン
10式戦車は約484億円の開発費を投じ、約10年の開発期間を経て整備されました。1両あたりの取得価格は90式戦車の約11億円(平成2年度予算単価)から、9.5億円(平成22年度)となっています。

製造数が増えれば単価が下がり、90式戦車の場合は最終の平成21年度予算単価では8.3億円となっていますから、同様であれば10式戦車も最終的には7億円程度になるのではないでしょうか。

数字を見ればコストダウンが図られていることがわかりますが、どのような方法がとられたかは、防衛省等の資料でも民生品の活用等によるということしかわかりません。

どこに配備されているか

日本の戦車定数はソ連崩壊後の周辺情勢とともに削減が続いています。「平成23年度以降に係る防衛計画の大綱」では600両から400両となり、第2次安倍内閣で閣議決定された「平成26年度以降に係る防衛計画の大綱」においては、400両から300両に削減されました。

10式戦車の調達は年度ごとに徐々に行われ、平成22年度から平成28年度にかけて82両が配備されています。配備先をみると、第2戦車連隊(北海道)、富士教導団(静岡県)、第1機甲教育隊(静岡県)、第1戦車大隊(静岡)、第8戦車大隊(大分)、武器学校となっています。

どのような方針で配備されていくのか知るために中期防衛力整備計画(平成26年/2014年)をみてみます。戦車は定数を400両から300両に削減され、北海道と九州をメインに配備されるようです。

本州・四国には戦車に替わり平成28年度予算から調達が始まる国産の16式機動戦闘車が配備されることとなっています。平成35年度(2023年度)までに300両という調達計画も想像を裏付けます。

16式機動戦闘車は戦車のように履帯はなく、8つの車輪により走行し、52口径105mmライフル砲を主砲に12.7mm重機銃、7.62mm機関銃を備えています。戦場における機動力、打撃力、防護力では10式戦車には到底及びませんが、トレーラーや空輸に頼る戦車に比べ、自走して目的地に移動できる機動性の高さに勝ります。

現代戦においても戦車は陸の王者

国産新戦車として10式戦車を開発したことには、否定的な意見も聞かれます。「もはや戦車の時代ではないのでは?」というそもそも論までありますが、それはどうでしょうか?

よく戦車の天敵としてヘリや個人携行のミサイル(RPG-7など)が挙げられます。映画などに登場する戦闘ヘリを想像すると地上をのそのそと走る戦車は格好の的にみえますし、ゲリラの個人携行ミサイルにやられるようでは意味がないのでは? と思うのは無理もありません。

対戦車ミサイルを装備したヘリと戦車が一対一で戦えばヘリが勝つでしょうが、そんな状況こそ考えられません。逆にヘリこそ個人携行の地対空ミサイルで撃墜されやすく、運用は天候にも左右されます。それなら、戦闘機は? といわれそうですが、高速で飛行する戦闘機が移動する戦車部隊を確実に撃破するのは困難です。

中東などの内戦において個人携行ミサイルによる戦車撃破が報道されたことは記憶にありますが、こういったケースは稀です。内戦において撃破された旧式の戦車とは異なり90式、10式のような新しい高性能戦車は個人携行ミサイルで撃破することは大変難しくなっています。

さらに日本のように高度に組織化された部隊では、戦車単独の行動はまずありえません。日本国内においてテロ・ゲリラ組織の殲滅作戦が発動された場合、偵察部隊、歩兵、戦車、装甲車、兵站部隊などが一体となって行動します。さらには、上空にも自軍の航空戦力があるわけですから、その網の目をくぐって接近し、小さな面積の装甲の薄い部分を狙い撃ちするのは難しいでしょう。

現代の戦闘であっても、最後は歩兵が制圧しなくては戦闘は終わりません。その時、最も頼りになるのは長大な火力と重装甲を備え、不整地を逞しく乗り越える陸戦の王者、戦車なのです。

一時期、軍関係でも戦車不要論などが語られたことはあります。しかし、一昔前のミサイル万能論と同じように、その後に起こったイラクやアフガンでの戦闘を経て、戦車の重要性が再認識されています。

とはいえ、敵の陸上部隊が上陸してくるということは、制空権と制海権を侵されていることになりますから、その時点でよくありません。日本は長大な海岸線を抱え世界第六位の海洋面積を有しています。テロ対策や島嶼防衛に10式戦車が有効であるとは思いますが、まずは海軍力・空軍力の強化が優先と思います。

高性能主力戦車を配備しているという抑止力

だからこそ、日本が10式や90式といった高性能な戦車を大量に保有しているということは大きな抑止力になるのです。例えば中国は本気で北海道をとろうと考えているようですが、そこに強力な戦車があるのとないのとでは、大きな差がうまれ、それが外交を支える原動力となるのです。軍事力なき外交は絵空事に過ぎません。

ちなみに、北海道には戦車を中心とした機甲師団があります。陸上自衛隊第7師団(北海道)です。第71・第72・73戦車連隊を基幹とし、第11普通科連隊、第7偵察隊、第7特科連隊、第7高射特科連隊、第7飛行隊、第7施設大隊、第7後方支援連隊、第7化学防護隊、第7音楽隊により構成される強力な部隊です。

根本を考えれば日本は完全に平和ではありません。南樺太と北方四島をロシアに、竹島を韓国に侵略され、北朝鮮により国民が拉致されています。さらには、中国が沖縄と北海道を侵略すべく計画を進めているいるというのが、現実です。したがって、領土と国民を取り返すための軍備を整える努力をすることは必要です。

そのためには、強力な戦車を必要数配備しなくてはなりませんが、いかんせん日本の軍事費は少なすぎます。それを考えると軍事評論家が10式の開発配備を否定し「90式戦車や74式戦車の改修で対応してコストを削減し、その分を兵站や個人装備、ネットワーク化など陸自の弱い部分にあてるべきだ」という意見は的を射ています。

しかし個人的には、GDPの1%という諸外国に比べ非常に少ない軍事費を最低でもGDPの2%にすることで解決するのが最良の策だと思います。

スペック

全長:9.42m
全幅:3.24m
全高:2.30m
全備重量:約44t
懸架方式:油気圧式
速度:時速70km(前進・後進)
主砲:10式戦車砲(44口径120mm滑腔砲)
副武装:12.7mm重機関銃M2(砲塔上面)、74式車載7.62mm機関銃(主砲同軸)
装甲:複合装甲(正面要部)、増加装甲(砲塔側面)
発動機:水冷4サイクルV型8気筒ディーゼル(1,200ps/2,300rpm)
乗員:3名

運用者
主要なバリエーション
生産数
スペック型式
全 幅3.24m
全 長9.42m
全 高2.30m
翼面積
自 重
総重量/最大離陸重量
発動機水冷4サイクルV型8気筒ディーゼル(1,200ps/2,300rpm)
最大速度
実用上昇限度
戦闘行動半径
航続距離
乗 員3名
初飛行
就 役
退 役
兵 装

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